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7(最終話)
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Side:陸斗
オレはずっと考えていた。
どうしたら、「親友」という枠を崩さずに、もっと深い関係になれるのか。
高校に入り、新しくオレ達にかまっている奴らもいたけど、オレはそんなことは望んでなかった。
今まで通り、祐介と一緒にいられるなら。
オレが佐々木、片岡、渚、曾根崎と一緒にいるときの祐介は、どこか寂しそうな、ちょっと怒ったような、それでいてどこか驚いたような……様々な感情が入り交じった表情をしていて、祐介にも独占したいという気持ちがあったことに、どうしようも嬉しくなった。
でも、それはまだ「親友」という枠であることも知っていた。
その日は、オレだけが放課後、カラオケに誘われた日だった。
祐介はオレがあの四人と遊ぶと知ったらどんな顔をするんだろう。その場では祐介の反応が見たくて、適当に返事をしたが、校舎を出ようとしたところで「用事を思い出した」と断った。
オレは祐介との貴重な時間を、他の奴らに費やすわけにはいかなかった。
四人がとても残念そうにしながら先に校舎を出るのを見送り、祐介の下駄箱を確認した。祐介は既に帰宅してしまったようだ。
祐介を追いかけて、いつもの帰り道を小走りで駆けていく。
少し行った先に、祐介の背中が見えた。
走って追いつくこともできたのだが、祐介があまりにも寂しそうな背中をしていて、今祐介の頭の中にはオレのことしかないのかな、なんて考えたら、もっと見ていたくなってしまった。
そこからなんとなく、オレは祐介に気づかれないように後を追っていた。
学校から五分ほど歩いた所に、オレたちがよく行っていた本屋がある。
祐介がそこに入っていったので、不思議に思いながらも、バレないようにオレも本屋に入った。
祐介が何気なく手に取った本には、「催眠術」と書かれている。
なぜそんな本を?
不思議に思いながらも、祐介がその本を購入し、家に帰宅するまで見送ったのだった。
次の日も、四人組はオレを誘い、祐介は誘わなかった。
オレにとっては祐介がいないとなんの意味もないのだが、祐介がオレに対して独占欲を見せてくれるのがたまらなかったので、祐介の視線には気づかないふりをしていた。
ただ、そろそろ潮時だろう。これで祐介の方が他の友達を作ってしまったりしたら元も子もない。それに、オレが祐介の声を聞けなくなってしまうのが何よりも苦しい。
その日は四人組の誘いを断り、昨日祐介が来ていた本屋に向かった。
そして平積みされている同じ催眠術の本を手にとり、購入する。
正直胡散臭いことこの上ないのだが、祐介は催眠術にかけたい相手が誰かいるのだろうか?
近くのカフェに入り、そんな考えをぐるぐると巡らせながら、オレはその本を隅から隅まで読みふけった。
オレが帰宅したとき、祐介が来ていると知って驚いた。
祐介もオレと話したくなったのか。
はやる気持ちを抑えて二階に上がり、オレの部屋にいる祐介を見る。
祐介はなんだかそわそわしているような感じで、少し落ち着きがない様子に見えた。
宿題が切りの良いところまで進むと、祐介は突然催眠術の話題を口にした。
テレビで見た、なんてすぐ嘘だとわかった。
今日見た催眠術の本の内容を頭の中で反芻する。
催眠術をかけてみる、という祐介の言う通り、素直に目を閉じる。
「あなたが目を開けると、そこには人生で一番大切な人がいます」
その言葉を聞いた瞬間、パズルのピースが埋まっていくような感覚がした。
もしかして、祐介は離れていきそうなオレをつなぎ止めるために、催眠術をかけようとしたのか?
――なんてかわいいんだろう。オレの一番大切な人は目の前にいるのに。
どうしようもなく愛おしくて、表情にでないようにするのを必死でこらえた。
次に脳裏に過ぎったのは、ずっとしまい込んでいたこの気持ちを、今こそ祐介に伝えられるのではないか? ということだった。
「大切な人」の定義は曖昧だ。
だったら、オレが抱えていた恋愛感情も含めて「大切」という解釈ができる。
オレは祐介の催眠術にかかったふりをして、恋愛感情もぶつければいい。
祐介がオレのことをどう思っているのかを知って、意識してもらえるチャンスなのではないか。
もし失敗しても、全部祐介の催眠術にかかったせいにしてしまえばいい。
オレは一瞬のうちに様々なことを考えながら、目を開けた。
催眠術にかかったふりをするなんて、簡単だった。
今まで祐介に対してしまい込んできた気持ちを、そのままぶつけるだけで良かったから。
今はまだ、親友を失いたくないという独占欲かもしれない。
でも、絶対に祐介にも親友の枠を超えて、オレを意識させてみせる。
「オレ、祐介のこと好きだ」
そうやって熱の籠もった目で、祐介を見つめた。
Side:陸斗
オレはずっと考えていた。
どうしたら、「親友」という枠を崩さずに、もっと深い関係になれるのか。
高校に入り、新しくオレ達にかまっている奴らもいたけど、オレはそんなことは望んでなかった。
今まで通り、祐介と一緒にいられるなら。
オレが佐々木、片岡、渚、曾根崎と一緒にいるときの祐介は、どこか寂しそうな、ちょっと怒ったような、それでいてどこか驚いたような……様々な感情が入り交じった表情をしていて、祐介にも独占したいという気持ちがあったことに、どうしようも嬉しくなった。
でも、それはまだ「親友」という枠であることも知っていた。
その日は、オレだけが放課後、カラオケに誘われた日だった。
祐介はオレがあの四人と遊ぶと知ったらどんな顔をするんだろう。その場では祐介の反応が見たくて、適当に返事をしたが、校舎を出ようとしたところで「用事を思い出した」と断った。
オレは祐介との貴重な時間を、他の奴らに費やすわけにはいかなかった。
四人がとても残念そうにしながら先に校舎を出るのを見送り、祐介の下駄箱を確認した。祐介は既に帰宅してしまったようだ。
祐介を追いかけて、いつもの帰り道を小走りで駆けていく。
少し行った先に、祐介の背中が見えた。
走って追いつくこともできたのだが、祐介があまりにも寂しそうな背中をしていて、今祐介の頭の中にはオレのことしかないのかな、なんて考えたら、もっと見ていたくなってしまった。
そこからなんとなく、オレは祐介に気づかれないように後を追っていた。
学校から五分ほど歩いた所に、オレたちがよく行っていた本屋がある。
祐介がそこに入っていったので、不思議に思いながらも、バレないようにオレも本屋に入った。
祐介が何気なく手に取った本には、「催眠術」と書かれている。
なぜそんな本を?
不思議に思いながらも、祐介がその本を購入し、家に帰宅するまで見送ったのだった。
次の日も、四人組はオレを誘い、祐介は誘わなかった。
オレにとっては祐介がいないとなんの意味もないのだが、祐介がオレに対して独占欲を見せてくれるのがたまらなかったので、祐介の視線には気づかないふりをしていた。
ただ、そろそろ潮時だろう。これで祐介の方が他の友達を作ってしまったりしたら元も子もない。それに、オレが祐介の声を聞けなくなってしまうのが何よりも苦しい。
その日は四人組の誘いを断り、昨日祐介が来ていた本屋に向かった。
そして平積みされている同じ催眠術の本を手にとり、購入する。
正直胡散臭いことこの上ないのだが、祐介は催眠術にかけたい相手が誰かいるのだろうか?
近くのカフェに入り、そんな考えをぐるぐると巡らせながら、オレはその本を隅から隅まで読みふけった。
オレが帰宅したとき、祐介が来ていると知って驚いた。
祐介もオレと話したくなったのか。
はやる気持ちを抑えて二階に上がり、オレの部屋にいる祐介を見る。
祐介はなんだかそわそわしているような感じで、少し落ち着きがない様子に見えた。
宿題が切りの良いところまで進むと、祐介は突然催眠術の話題を口にした。
テレビで見た、なんてすぐ嘘だとわかった。
今日見た催眠術の本の内容を頭の中で反芻する。
催眠術をかけてみる、という祐介の言う通り、素直に目を閉じる。
「あなたが目を開けると、そこには人生で一番大切な人がいます」
その言葉を聞いた瞬間、パズルのピースが埋まっていくような感覚がした。
もしかして、祐介は離れていきそうなオレをつなぎ止めるために、催眠術をかけようとしたのか?
――なんてかわいいんだろう。オレの一番大切な人は目の前にいるのに。
どうしようもなく愛おしくて、表情にでないようにするのを必死でこらえた。
次に脳裏に過ぎったのは、ずっとしまい込んでいたこの気持ちを、今こそ祐介に伝えられるのではないか? ということだった。
「大切な人」の定義は曖昧だ。
だったら、オレが抱えていた恋愛感情も含めて「大切」という解釈ができる。
オレは祐介の催眠術にかかったふりをして、恋愛感情もぶつければいい。
祐介がオレのことをどう思っているのかを知って、意識してもらえるチャンスなのではないか。
もし失敗しても、全部祐介の催眠術にかかったせいにしてしまえばいい。
オレは一瞬のうちに様々なことを考えながら、目を開けた。
催眠術にかかったふりをするなんて、簡単だった。
今まで祐介に対してしまい込んできた気持ちを、そのままぶつけるだけで良かったから。
今はまだ、親友を失いたくないという独占欲かもしれない。
でも、絶対に祐介にも親友の枠を超えて、オレを意識させてみせる。
「オレ、祐介のこと好きだ」
そうやって熱の籠もった目で、祐介を見つめた。
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turarin様
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すごく面白かったです!
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かえるのめだまやき様
お読みいただき、さらにご感想までありがとうございます!
本当ですか!??めちゃくちゃ嬉しいです🥹最高に舞い上がっております!笑
あらためて私も、その後の二人のことを考えてしまいました🥰
こうしてコメントをくださって、とっても励みになります!!✨