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第1章 目覚め
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しおりを挟む「やまさん、昼休憩行ってくるよ」
国城護、29歳。
産まれてから18年間、瀬戸内海に浮かぶ島にて育った。
「はいよ。なんかあったら無線で呼ぶよ~」
都会の大学へ入学し教師を目指した。
だが、4年生になったある日、親と連絡がつかなくなった。
休日に実家へ帰ると、家には知らない家族が住んでいた。
親が何処へ行ったのか近所の人に聞くも誰も知らず途方にくれた。
後期の授業料が支払われず、半期待ってもらえることになったがバイト代だけでは足りず中退となった。
それからも不運は続き、塾のバイトは大学を中退したことによりクビになり、一般企業への就職は採用されなかった。
生活していくための繋ぎとしてやっていた警備員をズルズルと現在までやることとなった。
「はぁ~、さすがにこのままだと不味いんだが、何かと実入りはいいんだよなぁ」
長年やっているうちで、資格を取り隊長として優遇されて給料はいい。
酒は付き合いでのむ程度で現在禁煙中。
体を壊さないためにジムに通っているがバカ高い会費ではない。
コンビニ弁当は高いため、凝ったものは作れないが自炊はしている。
「うわぁ~、こんな展開になるとは思わなかったなぁ。おっ、もう時間だ。トイレ行って戻るか」
最近は異世界召喚や転生系の小説を読むのが趣味となっている。
新たな刺激を受けるのではまってしまったのだ。
用を達している彼の足元に幾何学文字が刻まれていく。
「おわっ!? な、なんだ!?」
魔方陣が刻まれた足元を見た彼は困惑と期待の入り交じった表情をしていた。
眩しくて目を閉じてしまうほどの光が放たれ、光が収束した後に彼の姿はなかった。
◇◇◇
光の収束を感じ目を開けた俺は豪華な城のダンスホールのような場所にいた。
周りには深緑のローブを着た人やマントを羽織った人など、大勢の人がいた。
俺の傍には男女4人の高校生。
高校生らは口々に疑問や戸惑いを口にしていた。
……いや、1人だけこの状況に期待している子がいるが。
「異世界の者達よ。どうか魔王を討ち、我々の世界に平和をもたらせてくれ」
正面の人だかりを割り近づいてきた男性が両手を広げて言った。
……異世界召喚、勇者設定の俺、強すぎて無双。
……がらじゃないよな。
「……急に異世界へ召喚されて戸惑われるのもわかる。我々も切羽詰まっているのだ。異世界の者なら魔王に対抗できるだけの力を授かると伝わっておる。厳選した君たちなら神選職である勇者や賢者の職を与えられているはずだ」
「それはどうやったら確認できるのさ」
この状況に期待している子が問うと、男性の横にいた女性が1歩前に出る。
「このステータスプレートに血を一滴垂らして頂ければ職業やスキルを確認できますわ」
女性から免許証のような板と針を受け取り、針を指に刺し血を一滴板に垂らす。
すると、板が光りステータスと思われるものが記載された。
ーーー
[名前] 国城 護 [年齢] 29
[職業] 荷物持ちLv1
[スキル] 格闘術Lv4
生活魔法Lv1
身体強化Lv5
状態異常耐性Lv5
鑑定Lv1
[固有スキル] 言語理解
収納空間
転職
[加護] 創造神の加護
[称号] 異世界人
ーーー
……勇者ではないようだ。
「やった! 俺、火の勇者だぜ!」
現在の状況を期待していた男子高校生が声をあげる。
彼はどうやら勇者に選ばれたようだ。
「火口君、勇者だったの? 私は賢者みたい」
「森下は賢者か……。 俺は侍だって」
黒髪ストレートの美少女は賢者で、短髪のガタイの良い男子高校生は侍か。
「佳澄はなんだった?」
「えっと、……水の勇者」
周りがざわつく。
それもそうか、召喚した異世界人で2人の勇者に1人の賢者なのだから。
「すごいですわ。神選職である勇者と賢者がおられ、遥か東の島国である和ノ国特有の職業である侍まで居られるなんて。……貴方の職業は?」
その場にいる全員の視線が俺に注がれる。
そんなに期待してくれるなよ……。
「あ、あ~……荷物持ちです」
周りがため息と共に静まり返る。
冷ややかな視線がいたい。
「そ、そうですか。……荷物持ちですか」
儚げな表情の女性は俯き、後ろへ下がる。
「……お前は王国には要らない。荷物持ちなど勇者様達に追従する者達に任せるのでな。……勇者様達は国王様に謁見をお願い致します。お前は……王国の庇護を受けさせない。何処へでも行け」
話は終わりだと言った感じに他の人たちがはけていく。
高校生達は兵士達に案内されていき、俺は兵士に引きずられてこの場を後にした。
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