JOB CHANGE

サクタマ

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第1章 目覚め

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「おら! 出ていきな!」

「げほっ……」

兵士に放り投げられた俺は盛大に地面を転がる。

くそっ、なんだってんだ!?

門の前に横たわり内心で毒ずくも周りの人の疑心の目に晒されて居たたまれなくなった俺は、慌てて立ち上がり門を背に歩き出す。



異世界に呼ばれ、散々な目に遭っているが、俺は期待していた。

魔王を倒すための勇者や賢者が居るなら、冒険者ギルドなるものがあるのではと思い立った俺は街並みを眺めながら歩を進める。

「……あった」

お目当てだった冒険者ギルド。

2階建ての騒がしい建物には盾をバックに交差する剣が描かれた看板が掲げられていた。

俺は手元にあるプレートを見て、ため息をこぼす。

荷物持ちポーターといえば、戦利品や食料、日用品を持ち歩く職業。

魔物との戦闘に向かないためにPTの補助役を担う者。

冒険者になろうとしてもはじかれるかもしれない……。



「よぅ、ニィチャン。どうしたんだ?」

考え込んでた俺の背中を派手に叩く男。

いたい、いたい。 なんだってんだ、こいつは……。

背中の痛さを堪えて、男を睨む。

小綺麗な制服を着た男はガハガハと笑っていた。

「……冒険者に、なろうと、思いまして」

尻すぼみに小さくなる俺の声。

なんとも情けない。

「そうか。なら、登録からだな。中に入りな」

男に促され扉を開き中に入る。

はぁ、なんだってんだ、こいつは。



建物の中は食堂と受付が左右に別れた作りになっていた。

男が受付のカウンターの中に入り手招きする。

「こっちこい。俺が受け付けてやるよ」

男に羊皮紙と羽ペンを渡された俺は内容を確認して必要事項を書いていく。

名前に年齢、職業……。

見たこと無い文字だったが、自然と読めるしスラスラと書ける。

「これでいいですか?」

「おう。……やっぱりポーターか」

「やっぱり?」

「いや、気にするな。……ただなぁ、冒険者は死んでも自己責任だぞ、いいのか?」

男が真剣な顔で聞いてくるが、冒険者以外の選択が思い浮かばない俺は頷く。

「……そうか。なら、登録するぞ。……俺はギルドマスターのエヴァンだ。マモルが死なないようにサポートしてやるよ」

「ッ……。ありがとう、ございます。そして、よろしくお願いします」

目頭が熱くなるのを堪え、感謝を述べる。

「……ちょっと付いてこい」

エヴァンが席を立ち、2階へ上がっていくのに付いていく。



案内された部屋は書類が積まれた机と対面に座るように設置されたソファーとテーブルが設置されていた。

エヴァンが書類に目を通しながらソファーに座るように促してきたので素直に座る。

「……マモルが召喚された場に俺も居たんだ」

衝撃が走る。

エヴァンはあの場に居て、俺が異世界人だということを知っている。

「……なぜ、登録を、許可……したのですか?」

王国の庇護を外れた俺を受け入れても良いことはないだろうと思った俺の声が震える。

「はは、気にするな。マモルにはこの道しかないと思ったのだろ?」

俺はエヴァンの目を見て頷く。

「なら、サポートしてやる。ポーターだろうが死なないように手配する。勝手に呼んでおきながら要らないから捨てるなんて、酷すぎるだろ」

苦笑いしているエヴァンに好感が持てた俺は転職について話すことにした。



固有スキル、転職。

職業LvをMAXにすることで職を変えることのできるスキル。

適正条件を満たせれば他の職業を選択できる。

適正条件は該当スキルの所持で、俺は他の職業になることができる。



「……すげぇな。職業は神様が与えてくれる道だから変更なんて出来ないんだぜ。……簡単な依頼をこなしつつ訓練すれば、スキルを取得できるか」

エヴァンが訓練をしてくれると言う。

エヴァンは元Aランク冒険者だったそうで、王国を襲った竜の討伐中に負った傷が原因で引退したそうだ。

竜自体はSランク冒険者が討伐したのだが、エヴァンの活躍により被害を最小限に食い止めた事が認められてギルドマスターの地位を得たそうだ。

ありがたい話なので申し出を受け入れる。

「とりあえず、宿屋は『眠れる獅子亭』を紹介するぞ。あとは、これだな」

テーブルに置かれた宿屋への紹介状とジャラッと音のした小さな革袋。

「その中にはこの世界で使われている貨幣が入ってる。マモルにやるよ」

革袋の中には銀で出来た貨幣1枚と鉄で出来た貨幣5枚が入っていた。

「貰えないですよ」

「稼げるようになったら返してくれたら良いさ」

お金がないと武器や防具が買えないだろと諭され、必ず返すと誓い、借りることにした。

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