JOB CHANGE

サクタマ

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第1章 目覚め

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この世界の通貨は金属を丸く加工して造られている。

ガルドの銅貨、10Gの鉄貨、100Gの銀貨、1000Gの金貨、1万Gの白銀貨、10万Gの白金貨の6種類がある。

身分証には預金機能があり、身分証を発行した機関(冒険者は冒険者ギルド、商人は商業ギルドなど)に預ける。

売り買いも身分証を使うので、大勢の人があまり貨幣を持ち歩かない。

貨幣自体、辺境の村で使うか現金のみの取引の際にしか使わないそうだ。


「受付でギルドカードを受け取って、宿屋に行ってきな」

1階でギルドカードを受け取ったら入金するようにと促された。

エヴァンに頭を下げ、部屋を退室する。



受付でギルドカードを受け取り、血を一滴垂らす。

ギルドカードが光り、名前と年齢、職業、冒険者のランクF、顔写真が記載されていく。

顔写真なんてどうやって記載したのか。



……製造方法はわからないらしい。

ステータスプレートや身分証であるカードは古代技術で造られた魔道具らしく、必要事項を入力することで勝手に物が出来上がるそうだ。

そして、使用する者の血を垂らすと魔力が登録されて、他者が使えないようになるそうだ。

先程のお金をギルドカードに入金する。

預金額は他者に見られず、本人にしか見ることができない。

……便利な機能だ。

受付カウンターや武器や防具の売買カウンターに設置されている水晶にかざすことで、預金しているお金で物の売買ができる。

諸々の説明を聞き、ギルドを出て宿屋に向かう。



結論から言うと、ギルドを出て正面の建物が『眠れる獅子亭』だった。

扉を開け、受付にいる女性に紹介状を渡す。

「ギルドからの紹介かい。新人冒険者の……マモル君だね。あたしはマルサ。よろしくね」

恰幅の良い女性は受付から出てきて手をだし握手を求める。

なかなかに感じのいい人だなと思いながら握手をし、自己紹介をする。

「朝と夕食の2食付きで1泊70Gだけど、エヴァンが新人を抜けるまで費用を持つみたいだからお金は要らないよ」

至れり尽くせりだな。

この費用も後で返すことを心に留めて、感謝を述べる。

「2階の1番奥の部屋だよ。食事は1階の食堂を使ってちょうだいな」

「ありがとうございます。これから宜しくお願いします!」

頭を下げ、部屋を確認しに2階へ上がる。


部屋の中は机と椅子にベッドが備え付けられているが圧迫間はない。

もう1人居ても十分に使える広さがあった。

ーーーコンコンッ

ノックが聞こえたのでドアを開けると、女の子が1人いて水を張った桶を持って立っていた。

「どうしたんだい?」

「汗を、拭く、ための、水桶を、持って、きた、……きました。使ったら、通路に、出して、おいて、……ください」

「ありがとう」

水桶を受け取ると女の子はすぐさま1階へ降りていく。

なんか怖いことしたかな?

ドアを閉め、水桶を机に置いてベッドに腰かける。

「そういえば……」

固有スキルである収納空間を思いだし、試しに水桶を収納してみることにした。

「収納する対象に触れて収納と唱えると収納できるんだったな」

水桶に触れて収納と唱えると、机の上から水桶が消え、頭の中に収納空間のリストが表示される。

収納空間には残り98個入れることができるようだ。

収納空間からの取り出しは取り出す物を取り出したいと思えば取り出せるようだ。

手に持つのか指定した場所(俺を中心に1m以内)に出すのか選択できる。

もう1つ水桶を入れるとどうなるか検証したいが、たぶん借りれないだろうから他のやつで検証してみるか。

俺は部屋から出て、ギルドへ向かう。




「マモル!こっちだ!」

エヴァンが食堂の一角で大振りに手を振って俺を呼ぶ。

「エヴァンさん、依頼を受けようと……」

エヴァンの隣に座る女性に目を奪われて、言葉が途切れてしまった。

「マモル、その事なんだが。冒険者としてやっていくために冒険者養成所アカデミーに入らないか?」

白銀に輝く長い髪に均整の整った顔、切れ長の翡翠の眼に尖った耳。


……エルフだ!

ファンタジーにはお決まりのエルフがいる!


「おい! マモル!! 聞いてんのか!?」

「おわ!? エ、エヴァンさん、この人は?」

耳元で大きな声を出したエヴァンに驚きつつ、エルフの紹介を促す。

「彼女はアカデミーの理事長シオンだ。……マモルがアカデミーに入学したいと申し出れば、彼女の権限で入学させてもらえるそうだ」

アカデミーは駆け出しの冒険者や冒険者になる前の子達が通う場所だそうで、物理戦闘や魔法の基礎、薬草などの取り扱いや魔物の生態を学ぶ学校だそうだ。

「……ありがたい話ですが、高校生達も入学するのですか?」

アカデミーの事を聞いた俺は彼らが入るかどうかが気になったので聞いてみた。

「コウコウセイ?」

「あ、あぁ。僕と一緒に召喚された子達です」

「あぁ、勇者様達の事ですね。勇者様達も入学されますよ。この世界に慣れるためにも学ぶことは良いことですし」

それを聞いた俺はアカデミーの入学を断った。
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