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第1章 目覚め
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しおりを挟む「理由を聞いてもよろしいですか?」
エルフのシオンさんが理由を聞いてきたので、彼らが入学するからと答えた。
「もしもの話ですが、彼らの事を良く思っていない人達が居た場合に俺という存在は危険です」
俺の意見に二人の目が鋭くなる。
「俺がもし、彼らを良く思わない存在より弱かった場合に彼らをなめてかかるかもしれません。最悪の場合、彼らがなめてかかった子達に殺されるか殺すかするかもしれませんからね」
二人は考えるように目を瞑っていて、沈黙が訪れる。
まずったのかな……?
「……わかりました。では、この話しは無かったことにしましょう。ただ、これはお渡ししますね」
シオンさんが袖から本を一冊テーブルの上に置き、俺に差し出した。
「……これは?」
「アカデミーで使っている魔法の教本です。適正属性が無いと魔法は使えませんが、異世界人は魔法の基礎を学ぶことで使えるそうなので」
テーブルの本を手に取り、中を見る。
予想通り見たことの無い文字だが、ちゃんと読めて理解ができる。
「ありがとうございます。しっかり学ばさせてもらいます」
本を閉じ、礼を述べて頭を下げる。
シオンが席を立ち、この場から離れていくのを目で追っていく。
「……後悔はないか?」
エヴァンが真剣な目付きで俺を観ていた。
「……えぇ。僕は野良で慎重にやっていきます」
「はは! 普段通りの俺で良いぞ。あと、畏まった感じじゃなくていい。普段通りのマモルで良い」
そう言いながら給仕を呼ぶエヴァンはどこか嬉しそうだった。
昼食を奢ってもらった俺は依頼を受けようとエヴァンに相談した。
「町の外に出る依頼は時間が足りないかもしれないから、今日は戦闘訓練をしないか?」
町の外へ出る依頼は始めのうちは要領を得ないだろうから時間がかかるとのことで、ギルド内にある訓練所で訓練することになった。
訓練所は受け付け横の階段を降りていったところにあった。
地下なのだが天井に取り付けられた光源により明るい。
「とりあえず、どれだけ動けるか見よう。武器は何が使えんだ?」
「武器か……。使ったことがないんだよな……」
「剣術とかのスキルはっと、ポーターだったな」
「あ、でも、格闘術てスキルならあるよ」
「はぁ?」
「え?」
「……うそだろ? 格闘術てのは、体術の上位スキルだぞ!? 格闘術スキルを持ってる奴は冒険者の中ではBランク上位の奴等が死線を数度乗り越えた先で得るもんだぞ!?」
「ははは……」
乾いた笑い声しかでなかった。
そもそも荷物持ちは戦闘スキルを取得しづらい。
取得できたとしてもLvは上がりにくく、Lv2までしか上がず初心者の領域を抜けないそうだ。
「流石、異世界人といったところか」
訓練所の木剣を取り出したエヴァンが足を広げ腰を落とす。
「数回打ち込むから避けてみな」
そう言って流れるような動作で木剣を上段から真っ直ぐ打ち下ろしてくる。
右斜め前へ1歩進み、半身の体勢で避け、右の裏拳でエヴァンの顔を狙う。
エヴァンは更に腰を落とし、下から右肩を抜けるように木剣を振るってきた。
後ろへ飛び、エヴァンとの距離を開け、左手左足を前にし半身に構える。
「なかなかに動けるじゃねぇか。元の世界で習ってたのか?」
「まぁ、10歳から15歳までの5年間、少林寺拳法っていう非力な子供や女性、お年寄りの護身術的な武術を習ってた」
「なるほどな。そのショウリンジケンポウってやつの経験がこっちに来た事でスキルに影響してるっぽいな」
格闘術Lv4を取得している理由がわかった。
「……それだけ動けるなら、ガントレットとグリーブだな。服はそれでも良さそうだが、急所となる所を守る防具は必要だな」
エヴァンが俺に必要な装備を考えてくれて、武器屋を紹介してくれるとの事だ。
で、早速武器屋へ移動。
ギルドを出て、隣の建物へ……。
「おやじ! 居るか!?」
「あん? ……坊主か。何用じゃ?」
白髪頭の髭面にでかい鷲鼻、カウンターに座っているもずんぐりむっくりな体格が感じられる雰囲気。
ドワーフだ。
「新しく冒険者になったマモルに武具を与えたい。指先から肘までを覆うガントレットに胸当て、足甲と脛を守るグリーブ、魔物解体用のナイフに薬草採取用のナイフに……」
「おお、おう。そんなに期待できる新人なんか?」
「おうよ! 職業はポーターだけど、異世界人だかんな!」
ドワーフがジッと俺を値踏みするように観る。
頭を掻きながら「どもっ」と挨拶しておく。
「ふん、オウグじゃ。武具の事は何でも聞きな」
「ありがとうございます。これから宜しくお願いします」
エヴァンの武具の要求に応え、カウンターの上に並んでいく。
「装備してみな。調整したる」
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