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第1章 目覚め
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しおりを挟む3人が落ち着いたので、まずは飯を食おうと声をかける。
「さて、食事をしようか」
冷めてしまってはいるけど、マルサさんのご飯は味付けが丁度良いようので美味しいはずだ。
「……どうしたの?」
「我々は奴隷ですので、主様と同じ席では食べれません」
主人と奴隷が同じ場で同じご飯を食べるのは畏れ多いと断られた。
よくよく見てみると夕飯にも差があった。
「あれ? リリィ達のご飯少なくないかい?」
「マルサさんにお願いしてご主人様の食事を少しでも多くしてもらいました」
ガルムがマルサさんにお願いして俺の食事を多めにし、その代わりに自分達の分を少なくしたそうだ。
「ガルム。君達を奴隷として雇ったのは戦力になってもらう為なんだから、食事は皆で食べるよ」
「しかし、我々は奴隷ですから」
「リリィ。俺は皆で話をしながら食事をしたいんだ」
明日からは皆で同じご飯を食べることに決めた。
ぎこちない雰囲気で食事を終えた後、3人にステータスのことを聞いた。
俺が見たステータスと同じだった。
魔導士は魔法使いの上級職で、魔力系や魔法系のスキルの伸びが良い。
職業は10歳の時に受ける『選職の儀』で天職を授かり、その天職のLvがMaxになり、それまでの努力が神々に認められると上級職へとランクアップされるとリリィが説明してくれた。
選職の儀では稀に上級職で授かる場合があり、その最たる例が異世界召喚で異世界人が授かる『勇者』や『賢者』なんだそうだ。
まぁ、たまにこの世界にいる人から選ばれることもあるそうだが。
血操術は自分の体内の血や体外に出た自分や他者の血を操ることが出来るスキルだ。
誘惑眼は相手を誘惑するスキルのようで、邪な感情があれば相手を誘惑状態にさせて言いなりにさせることが出来る。
リリィが言うには、今までの奴隷主に誘惑眼を使ったのは主人に命令されたからで、その主人の強すぎる感情が仇となり、暴走してしまったから種族的な呪いにより死んでしまったらしい。
鬼人族の吸血鬼は興奮状態になると他者の血を吸ってしまうらしく、吸い始めてしまうと更なる興奮が押し寄せて止めることが出来ないらしい。
このことをクリスさんに話したところ、目を黒い布で覆い、奴隷契約をする際には夜伽をしないという項目を増やしたそうだ。
まぁ、仕方のないことだと思う。
拳闘士は拳で戦う『格闘家』の上級職で、闘志と呼ばれるオーラを操り身体強化を図れる。
剛力と剛体は筋力が1.5倍になり、物理攻撃力の上昇や物理防御力の上昇に繋がるスキルで、前者が物理攻撃力で後者が物理防御力だ。
身体制御は身体の制動力や内に秘めた力を操るためのスキルで、ガルムはこのスキルのお陰で獣化の力を5%制御出来るとのこと。
隠密は気配察知と気配遮断に危険察知がLvMaxになった後で統合された上位スキルなんだそうだ。
それぞれのスキルの制度がかなり上がっているそうだ。
奉仕は他者のために尽くすスキルで、Lvが上がるほどに相手にどう振る舞えば良いか判断ができ、きめ細やかな気配りが出来るようになる。
野生の勘は獣人固有のスキルで、危険な行動を避けるなどの目的で野性動物が持つ本能的な直感を感じ取れるそうだ。
獣化は獣人の基となる動物の力を引き出す獣人固有のスキルで、獣化率を上げるほどに力を引き出せる。
しかし、本能が野生に近づくため敵味方の区別なく襲いかかる危険性がある。
そのため、身体制御で制御出来る力までしか解放しないし、身体制御のLvを上げていざというときの切り札にするんだそうだ。
錬金術師は錬金術を扱う真理を求める職業で、大多数が鍛冶師であるドワーフには不人気の職業だそうだ。
クロムの上には兄弟姉妹が10人ほどおり、職業が錬金術師だったため商人に預けられたそうだ。
その商人の事業が潰れてしまい、借金の当てとして奴隷商を営んでいたクリス商会に売られてしまったらしい。
親のところに戻ることもできなかったし、クリス商会ではメイドとして仕込まれたので良かったですとクロムは笑っていた。
錬金術は魔方陣を使って薬草から薬を作ったり、不純物の多い鉱石から不純物を除く抽出や鉱石から武器を作ったり出来る錬成がある。
錬金術を使えば、鍛冶から出来る武器等も錬成できると思うんだが、その考えは邪道らしい。
ドワーフらしい考え方なんだろうけど、武器も作ってもらうからねと伝えておく。
クロムはお役に立てるのならと渋々承認してくれた。
鑑定眼はドワーフ固有のスキルだそうで、鑑定を使わなくても物の良さが解るスキルで、観察眼の下位スキルっぽい。
ちなみに、俺には観察眼というスキルがあると言うと、聞いたことがないスキルだと3人に驚かれた。
まずったなと思ったけど、異世界人なんだとおどけてみたが、薄々そうかなと思ってましたと代表してリリィが応え、2人も頷いていた。
「明日は冒険者として活動できるように装備を整えようか」
「わかり……承知しました。しかし、我々は冒険者登録していませんよ?」
頷いた3人だったが、リリィが冒険者登録していないと応えた。
「じゃぁ、冒険者登録もしに行こう。それと、変に畏まらなくても良いよ。いつも通りの口調で構わないからね。そういうの俺は気にしないから」
そう言うと3人は困った表情になっていたけど、それでよろしいならと承知してくれた。
やっぱり人を使うというのはしんどいねと苦笑いした。
明日の方針が決まったので寝ることになったんだけど、ここでも一悶着あった。
3つベッドが有るのだけどリリィとクロムは中央付近の床に寝転び、ガルムは扉の傍に腰を下ろした。
守ろうとする行動は嬉しいがベッドで寝なさいと言って、真ん中のベッドは俺が使い、扉に近い俺の右のベッドはガルム、左のベッドはリリィとクロムに使うようにさせた。
人を使う以前に奴隷を使うというのに慣れないとなと思った俺だった。
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