JOB CHANGE

サクタマ

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第1章 目覚め

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「……居ませんわね。てっきりもう1人の異世界人のところにいると思ったのですが」

マモルたちがいた宿の部屋に5体の悪魔が集まっていた。

「感づかれて、逃げたんじゃないのか」

紅蓮の法衣を纏う筋肉隆々になったサタンと角ばっていたはずの騎士鎧がシャープになったアスタロト、群青色のローブを着たレヴィアタン、漆黒のドレスに身を包むベリアル、灰色の肌にエルフのように長く尖った耳と羊のようにクルンと巻かれた角をもち、女性の身体を強調する際どい衣装を身に纏う色欲を司るアスモデウスの姿があった。

「気配を消して隠れてるのかしら?」

頭をコテンと倒し、胸を強調するように腕を組むアスモデウス。

「チマチマ探すなんて面倒だから街ごと燃やしちまえば?」

面倒臭そうに両手を上げサタンに街を燃やせばと提案するアスタロトに、サタンは頭を振って提案を却下する。

「レヴィアタン、魔力を探れ。気配は殺せても、魔力までは気が回ってないだろ」

サタンの言葉に即座に行動したレヴィアタンはギルドにいるマモルの嫌な魔力を感じ取った。

「……向かいのギルドに嫌な魔力を感じます。憎き者共に好かれた魔力を」

見えるはずの無いギルドを睨む5体の悪魔。





「ヤバイ! 見つかった!?」

背中に走る悪寒に嫌な感じだと思った俺は皆に直ぐ移動するよと声をかける。


ーーードッ


「宿の壁が!」

見なくても良いのに火口君がギルドの2階の窓から音のした宿の方を見て大声を出す。

「見つけた!」

だから言わんこっちゃない。

「とりあえず建物の外へ!」

家の中で戦闘なんて魔法1発で終わる可能性が高いので、見つかってしまった事もあって早く外へ出てしまうことを優先した。

「おい、おい、マジかよ……」

外に出た俺の右隣にエヴァンがいて、盾と剣を構えて呟く。

「エヴァン! あれって、姫さんじゃなかったか!?」

異世界に召喚されたときにステータスプレートを手渡してくれた女性。

俺がポーターだと解った後、唯一その場で心配そうにしてくれた人だ。

そんな人の背中に黒い天使のような羽根が生えていた。

彼女の側には4体の角持ちのどこか見覚えのある服装の人がいた。

「そのはずです。それに、あの際どい衣装の方は……」

左隣に現れたルフルさんに際どい衣装の女性に見覚えがあるといった感じを受け、思わず凝視してしまう。

「ルフルさん! 痛いです! 足踏んでます!」

男の性ですよ。

それに絶対誘ってましたやん。

恥じらうように際どい衣装の女性が両腕で身体を抱き締める。

それがさらにエロい事になってる……。

「失礼! 主、正気に戻ってください!」

頭をリリィに叩かれて、頭に靄がかかっていたこと気付く。

「……ありがとう、リリィ。精神汚染系のスキルか?」

解析を行使し情報を得る。

ーーー
傲慢を司る悪魔 ベリアル

憤怒を司る悪魔 サタン

怠惰を司る悪魔 アスタロト

嫉妬を司る悪魔 レヴィアタン

色欲を司る悪魔 アスモデウス

ーーー

情報が少ない。

向こうのが完全に上手か。

7つの大罪の悪魔てことで、アトゥルが言ってた奴等かもな。

「ガルム!」

「名前しかわかりません」

「ベリアル、サタン、アスタロト、レヴィアタン、アスモデウス」

「どれも7つの大罪という悪魔だ、クロム」

リリィ達には名前しか出てこなかったようで、クロムが得た情報を呟く。

真理眼のクロムでさえ名前だけなようで、火口君たちは悪魔?と口々に呟く。

「……災厄の悪魔か。封印されていたはずだろ」

「私を封印から解放した方がいるのですよ。もうこの世にはいませんが」

エヴァンの言葉にベリアルが答える。

悪魔たちはこちらの様子を観ているだけで、特に武器を構えたりもしていない。

「後はマモンとベルゼビュート……」

「ふんっ!」

武器屋から飛び出した人影がサタンに向かって剣を振るう。

その一瞬を狙って、全属性の防御の魔法を行使する。

「……ぬるい」

オウグさんが振るった剣、いや、小太刀はサタンの右腕を浅く切っただけで終わり、抜けなくなった小太刀を諦めてオウグさんがこっちに来る。

振り返り火口君たちに声をかける。

「火口君、如月君たちを連れてここから離れなさい」

「俺たちも戦いますよ!」

「まだ力が足りない。君達は勇者なんだからもっと力をつけて」

勇者である火口君たちには今は生きて、力をつけるようにしなければいけない。

戦えると言っている火口君の手は震えていて、年相応に恐さを感じてるみたいだ。

「護さんも行くんですよね?」

「……後ろからついていくよ」

清水さんが感づいたのか、俺も逃げるよねと聞いてきた。

「相談は終わったかな?」

振り返った俺が見た光景は両腕の無くなったオウグさんがサタンに鷲掴みにされていた姿だった。

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