38 / 44
第1章 目覚め
38
しおりを挟む「アーサー、迎えに来ただわさ」
泉の畔でキャンプをしていたアーサーたちの迎えにマーリンはやって来た。
「マーリン! 伝説の剣はいいのか?」
「はぁ、そんなの無いだわさ」
動きやすいように着崩した騎士鎧の青年アーサーは仲間たちと顔を見合わせてキョトンと首を傾げた。
「マーリンが言ったんじゃないのか?」
エプロン姿の大男トリスタンがブロック肉を網で焼きながらマーリンに問う。
「ヴィヴィアンに騙されてるだわさ」
「なぜそのようなことを?」
マーリンの返答にアコースティックギターのような弦楽器をもつ吟遊詩人風の装いをした男性ガラハッドがなぜヴィヴィアンが騙しているのかと問う。
「ユーサーを殺し、王都を牛耳るためだわさ」
「怪しいと思ってたんだよな」
飄々とした口調で騎士鎧を着て、巨大な槍を担ぐ男性ランスロットが肉を凝視しながらよだれを垂らして言う。
「父は! 王都は無事ですか!」
やっと理解し始めたのかアーサーがマーリンに詰め寄る。
「……駆け付けたときにはもう駄目だっただわさ」
ガックリと肩を落とすアーサーに優しく頭を撫でるマーリンは自身が調査した情報を教える。
「災厄の悪魔を復活させた?」
「だわさ。エレインが元々ベリアルだったのか、誰かに器として使われたかは判らなかったけど、確実に7体復活しただわさ」
「奴等を倒すにはどうすれば良いのだ?」
アーサーの問いにマーリンが答え、ブロック肉を切り分けてそれぞれの前に並べたトリスタンがどうすれば倒せるかマーリンに聞いた。
「伝説の武器を揃える必要があるだわさ。幸い、使える人材を確保できただわさ」
ギリギリで助けた異世界人を使って伝説の武器を探す旅に出させるとマーリンが言う。
その旅に同行して伝説の武器を手にいれるようにアーサーたちに言ったマーリンはテレポートを使用する。
「彼らがその異世界人か?」
ベッドに横たわる護たちを見たアーサーは異世界人のほとんどが自分より年下だと驚く。
「此方の彼に付いていくだわさ」
護を指差すマーリンに見慣れない武装をした人だなと思ったアーサーたちは疑惑を含んだ視線を飛ばす。
「これは神様から送られた武具だわさ。使徒である彼に付いていけば伝説の武器を手に入れれるだわさ。現に、あたしはこれを手に入れただわさ」
マーリンが2匹の蛇が巻き付いていた黄金の杖を胸の谷間から引き出す。
「彼らが踏破したダンジョンの奥にこの杖があっただわさ。名はケーリュケイオン。神聖な風の魔力を秘めた杖で、これを手に得れたことであたしはテレポートというあたしが思い浮かべた場所や人の所へ飛べる魔法を身につけただわさ」
現物を見せられると納得したアーサーたちは護が目覚めたら同行することを了承した。
明日には目を覚ますだろうということで、今日はもう外へは出ずにこの部屋で過ごすことを決めた。
護たちがいる部屋というよりは家は外部に魔力を漏らさない魔法がマーリンによりかけられており、感知力の高い悪魔にさえバレない隠れ家だ。
マーリンは他にやることがあると言って、彼らが目覚めたらマーリンが戻るまではこの場にいるように伝えてほしいとアーサーたちに託す。
素直に了承したアーサーたちを見て、マーリンはまたテレポートでいずこかへ飛ぶ。
残されたアーサーたちは武器の手入れや筋トレをすることで護たちが目覚めるまでの時間を潰すのであった。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる