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6. うどん食べたい!
しおりを挟む頭が痛い……とてつもない吐き気がする。
体の節々が痛んで、熱い。
こんなに辛いなんて、きっと死んじゃう。
「まともに薬も飲めないし、何か食べないといけないじゃない。お粥作ったから食べなさい。」
誰?お母さん?もう、今はそんなの食べたくないよ。
「起きて。ちょっとでも食べないと。お粥冷めちゃうわよ。」
だからお母さん、こんな時はお粥じゃないんだって!
「 こ ん な 時 は う ど ん や ろ ! 」
そう叫んで、バッ!と勢いよく起き上がると頭がグワングワンと痛んだ。
部屋の中の光景がグルグル回って、気づいたらお母さんがすごく驚いた顔をしてこっちを見てた。
「コンナトキハウドンヤロ?」
お粥が入った器を載せたトレーを持って呆然と呟くお母さん。
あれ?私さっき何て叫んだ?
「ソフィア、あなた大丈夫?まだ熱が高いから朦朧としてるのね。」
「お母さん、頭痛い……。」
「とりあえず薬も飲まないといけないから、少しでもこれ食べちゃいなさい。いい?薬はここに置いておくね。お母さんは店に降りるわよ。」
「はい……。」
とにかく頭痛が我慢できなくて、お粥を少し食べて薬を飲んだ。
そしてすぐにまた横になると、スーッと睡魔が襲ってきてまた深い眠りに入っていった。
――ここは、どこ?夢?
『まだ死にたくないのに。』
夢の中の私はおばあちゃんになっていて、病気で病院に入院している。
見たことのない場所で、なんでそんなことが分かるのかは分からないけど……。
おばあちゃんの気持ちが流れ込んでくる。
『もう少し長生きできると思ったんだけどね……。病院で死ぬのは嫌だわ。』
病気で身体中が痛くて、毎日がとても辛い。
おばあちゃんの記憶がどんどん流れ込んでくる。
ここで場所が変わり、どこかの食堂のようなところで『うどん』という白くて長いヒモのような食べ物を食べている。
これが『うどん』なんだ……。
うわー!何これ、すっごく美味しい!
夢の中で初めて食べた『うどん』は、噛みごたえがあってツルツルしていて、汁の風味も良かった。
そしてまた場所は病院のベッドの上に戻り、そこでおばあちゃんは呟いた。
『最後にあの店の美味しいうどんが食べたかったわ。』
そしてそのままおばあちゃんは死んだんだ。
――バッ!!
思いっきり飛び起きたから胸がドキドキしてる。
「私はあの時確かに死んで、そして死後に神様にお会いして生まれ変わり……ソフィアとしてこの世界に生まれたんだった。」
そうだった!これは前世の記憶ってやつだ!
まだ前世の記憶は曖昧だけど、とにかく今はあれが食べたい!
寝巻きを脱いで、ブラウスにジャンパースカートを重ねて着た私はカバンを持って急いで台所へ向かった。
「お母さん、ちょっと買い物行ってくる。」
「えっ?大丈夫なの?」
「うん、もう治ったから!」
階段を降りるとそこは両親の営む食堂で、見慣れたお客さんも何人か見えたけど、今日は急いで通り過ぎて出口へ向かった。
外に出ると日光が眩しくて目が眩む。
「とりあえず小麦粉買いに行こう。あとは煮干しと昆布と鰹節、醤油とみりん。ネギとショウガ、それと七味。」
頭の中に前世の食べ物の材料がスラスラ浮かんで、作り方も浮かぶけれど、この世界にそんな食材があるかって言われたらないかもしれない……。
「今まで作ろうと思ったことがなかったから……。」
とりあえず近隣で一番大きな市場へと向かった。
「うどんに使えそうな小麦粉は買えた……。あとは……。」
病み上がりで散々歩いて、それらしきものを買い集めた。
イリコと鰹節はなかったからよく似た種類の干し魚を、そして昆布とショウガ、ネギ。
七味はこの世界にないから良く似た唐辛子のスパイスを代用として購入してみた。
みりんは癖のないお酒と蜂蜜を混ぜたら似た味が出そうな気がした。
塩はあるとしても、醤油という調味料がこの世界にはないことに気づく。
「とりあえずはよく似たものを探そっか。」
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