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12. お祭りの約束
しおりを挟むあれからトーマスもアントン騎士団長さんも、私に何か答えを求めるわけでもなく、自然に接してくれているから実は内心ホッとしている。
「はい、麦酒と貝とエビのフリッターお待たせしました。」
「ありがとうソフィア。そういえば、もうすぐ街のお祭りがあるね。ソフィアを誘って行きたかったところだけど、そんな日は警備が忙しいからね。誘えなくて残念だ。」
「そうですね。お祭りの日は騎士団の皆さんが警備にあたるからお忙しいですよね。良かったら詰所に差し入れを持っていきますね!」
「本当に?嬉しいなあ。警備に出てたらソフィアには会えないかも知れないけど、差し入れ楽しみにしてるよ。」
「はい。頑張ってくださいね。」
言ってるそばからアントン騎士団長さんがさりげなくアピールしてきたのでドキドキしてしまった。
返事を待たせてる訳じゃなくて……答えを急いで断るのはやめて欲しいと言われてしまって、ゆっくり考えるようにお願いされたから自然にまかせてしまっている状況で。
あんなイケメンさんなのに、私のどこがいいんだろ?
「ソフィア!裏口まわるぞー!」
「あ、トーマス。はーい!」
トーマスが裏口に食材を運んでくれるので、私は急いでそちらへ回った。
「今日の食材はこれだけな。」
「うん、ありがとう。」
「お前……、祭り誰かと行くの?」
トーマスは不貞腐れたような、照れたような顔で私に尋ねてきた。
「お祭り?別に決めてないけど……。あ、でも店が開く前には騎士団の詰所に差し入れに行くって約束したけど。その日は店もきっと忙しくなるから夜は手伝いかな。」
「マジかよ。騎士団長のやつ、油断ならねぇな。」
「何言ってんの。トーマスはどうするの?」
ジーっと私を見つめたトーマスは、一つ息を吐いてから返事をした。
「午前中だけでもいいからさ、一緒に祭り行かね?」
「うん、いいよ。久々だね、一緒にお祭り行くの。小さい頃はいつも一緒に行ってたのにね。」
「まあ、いいだろ!じゃ、またな!」
耳まで赤くなったトーマスは急いだ様子で裏口から帰って行った。
昔は良く一緒にお祭りに行ったけど、成長するにつれてお互いが同性の友達と行くようになり、久しぶりに一緒に行くのは懐かしくて、ちょっと楽しみだった。
食材を冷蔵庫に入れてから、またホールに戻るとアントン騎士団長さんの席にロルフ船長が同席してて、何やら二人で会話をしている。
「珍しい組み合わせ。」
二人ともこの店で話題のイケメンだから、店内のお姉さん方がチラチラそちらを見ていた。
アントン騎士団長さんは真剣な顔つきをしているけど、ロルフ船長はニヤニヤ何やら悪そうな顔つきをしているのが見えた。
「何話してるんだろ?」
普段はあまり絡まない二人だけに気になったけど、
ホールの仕事が忙しくていつのまにか忘れてしまっていた。
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