異世界で讃岐うどんライフを始めたら何故か逆ハー状態で溺愛されています

蓮恭

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28. あれからのあの人は

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「いらっしゃい!」
「いらっしゃいませ。ご注文はいかがいたしますか?」
「えーっと、ください。」
「はい。かけ大、ワカメ小でーす!」
「はいよっ!」

 あの日私がヴェルケ王国を出てから三年が経ち、この国で讃岐うどん専門店『うどん屋』を開店して二年目。

 二年前から空前の『讃岐うどんブーム』もあって、この店はとても繁盛している。

「ソフィアちゃん。俺のとこにお願いね。それにしても、今日も可愛いねー。あんなオッサンじゃなくて、俺とうどん屋しようよ。」

 常連客のケインさんはいつもこうやって私と夫であるロルフを揶揄う。

「おい!ケイン!さりげなく俺の嫁を口説こうとすんな!そいつは俺ンだぞ!」

 厨房の中から常にホールを見張っている?ロルフはたまにこんな風に揶揄ってくるお客さんに本気で返すから余計に揶揄われてるんだと思うけど……。

「はい、ぶっかけの大ですね。ケインさん、この前は随分とお箸が上手に使えてましたね。もうフォークを付けなくてもいけそうですか?」
「そうだなー。もう箸でいけるかもな。今日は箸でいいよ。頼むね!」
「はい。ではお待ちくださいね。ぶっかけ大でーす!」
「……クッソ。はいよッ!」

 なんだかんだ言ってもちゃんと『はいよ。』って返してくれるロルフは何だか可愛く思えるけど、それは惚れた弱みなのかも知れない。

 この国ではうどん屋はまだ数軒だけど、私がうどん屋を始めたヴェルケ王国のアラゴンの街では、街中に色んな讃岐うどん屋が多く出来たらしい。

 空前の讃岐うどんブームもアラゴンの街発祥で、アラゴンの街は『讃岐うどんの街』として世界でも有名になって観光客も訪れる一大観光地となったそうだ。

 そしてアラゴンの街で讃岐うどんがブームになることで、うどん屋が多くなりそこの雇用も促進されて孤児や路上生活者が減ったというので、私はこの意図せぬ作用にも感謝した。

 私の両親は酒場を引退して従業員に譲り、今では悠々自適に暮らしている。
 そのうちこの国に移住してくると言うが、いつのことやら……。


 隣の肉屋はトーマスの代になって、何と『肉うどん専門店』になったらしく、トーマスの作る甘辛い肉の乗った『肉うどん』は街中でも特に人気らしい。


 フィリップさんのゴルダン領は讃岐うどんブームによって大量の小麦粉と大豆をアラゴンの街へ出荷し、国の中でも稀に見るとても豊かな領地となった。
 領民たちは領主であるフィリップさん指導のもと、大豆を使った『醤油』作りにも励んで、より一層生活が安定するようになったという。

 ちなみにこの『元祖うどん屋』でもゴルダン領から小麦粉と醤油を送ってもらっている。



 アントン騎士団長さんは、一大観光地となったアラゴンの街の治安悪化を防ぐため、騎士団の増員を国に要請したそうだ。
 そして希望する平民からも騎士を募って、今まで貴族しかなれなかった『騎士』という職が広く開かれることとなる足掛かりを作ったそう。

 それに、あの大規模な奴隷売買を摘発してからは奴隷売買が死刑を含む重罪に処されることとなり、貴族たちも罪を犯すことを躊躇って、結果的に奴隷として攫われる人たちがいなくなったと言うから、あの日ロルフがしたことがこのように良い方向へ進んだことに私はとても喜んでいる。




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