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17. お食事に誘われてしまいましたわ
社交シーズンも終わり、貴族たちは王都のタウンハウスから各々の領地へと帰って行った。
アドリエンヌはシャトレ侯爵領には帰らずに、フルノー伯爵領で現場の管理と侯爵への報告を行うこととなったのだった。
「アドリエンヌ、気をつけてね。それと、頑張ってアレックス様を堕としてくるのよ。」
侯爵夫人はアドリエンヌへ別れの抱擁をしてから励ましの言葉を贈った。
「眷属を使えば早く報告が届くであろう。何かあればすぐに報告するように。」
侯爵はアドリエンヌの肩をポンポンと叩いて送り出した。
「お父様、お母様、行って参ります。きっと番いのアレックス様を本物の伴侶にしてみせますわ。」
アドリエンヌは力強く拳を握ってから頷いた。
そうしてアドリエンヌはフルノー伯爵家の人々とともに、馬車で伯爵領へと向かうことになったのである。
「「アドリエンヌー!なんでこっちの馬車に乗らないの?」」
ひとまず最早行き慣れた伯爵家のタウンハウスに向かうと、双子のマリーとフィリップが待ち構えていてアドリエンヌの足元に抱きついてくる。
「あなたたち、アドリエンヌ嬢はアレックスと乗るのよ。いい子だからこちらで父様と母様と乗りましょうね。」
「「ええー!やだやだ!」」
夫人が双子を嗜めるも、双子たちはすっかりアドリエンヌに懐いて二台に分かれて乗る馬車の分け方について不満だったようだ。
「私は双子たちと一緒でも構いませんよ。アレックス様が伯爵と夫人とお乗りになっては?」
「でも……。双子たちはとっても賑やかだし、ご迷惑だわ。」
夫人は困ったように眉を下げたが、アドリエンヌは笑顔で答えた。
「大丈夫ですわ。楽しい旅路になりそうですわね。マリー、フィリップ。」
「「うん!やったー!」」
そしてそこへ、最後の見回りを終えた伯爵とアレックスが来て先程の騒ぎを夫人が説明した。
「アドリエンヌ嬢、大丈夫ですか?僕が双子と乗っても良いんですけど。」
「「アレックスはやだ!アドリエンヌと乗る!」」
アレックスの提案は速攻で双子に却下され、心配そうな伯爵と夫人にアドリエンヌは朗らかに心配ないと伝えたのだった。
そうしてフルノー伯爵と夫人、アレックスの乗った馬車と、双子たちとアドリエンヌの乗った馬車は王都を出発した。
アドリエンヌの荷物は伯爵家の荷物とともに荷馬車に乗せてもらった。
「「アドリエンヌ、これからアドリエンヌはうちに住むんだよね?」」
「そうね。色々教えて欲しいわ。どうかよろしくね。」
「私のお部屋見せてあげるね!ピンクで可愛いの!」
「僕の部屋だって、青色で綺麗だよ。見にきてね。」
双子たちは大好きなアドリエンヌと馬車で一緒に過ごせて退屈していないようだ。
アドリエンヌも、可愛らしい双子たちに元気をもらって長い旅路も楽しく過ごせた。
馬車はとある街に着き、今日はここで宿を取ると言う。
「素敵な街……宿屋の明かりがたくさん点いていて活気がありますわ。酒場も大いに盛り上がっているようですわね。」
アドリエンヌは初めて訪れたこの宿場町の活気に驚いた。
ここから伯爵領はまだ遠く、明日の夜に着く予定だと言う。
「アドリエンヌ嬢、双子たちがご迷惑をおかけしませんでしたか?明日は僕が双子たちと乗りますよ。」
「アレックス様、全く問題ありませんわ。私、吸血鬼ですから体力には自信ありますの。」
アドリエンヌを労る声をかけたアレックスは、馬車の中で寝てしまった双子たちを先に宿に寝かせに行ったのだった。
「父と母は双子たちもいるので宿で食事を済ませるそうですが、アドリエンヌ嬢がもし良ければ僕らは酒場でも行きませんか?」
思わぬアレックスの誘いにアドリエンヌはパン!と手を叩いて喜んだ。
「よろしいのですか!嬉しいですわ!この街は初めて訪れましたから、酒場の雰囲気や街の景色を見てみたかったのです。ありがとうございます。」
とても嬉しそうに笑うアドリエンヌをアレックスは穏やかな表情で見つめていた。
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