殿下、真実の愛を見つけられたのはお互い様ですわ!吸血鬼の私は番いを見つけましたので全力で堕としにかかりますから悪しからず

蓮恭

文字の大きさ
17 / 40

17. お食事に誘われてしまいましたわ

しおりを挟む

 社交シーズンも終わり、貴族たちは王都のタウンハウスから各々の領地へと帰って行った。

 アドリエンヌはシャトレ侯爵領には帰らずに、フルノー伯爵領で現場の管理と侯爵への報告を行うこととなったのだった。

「アドリエンヌ、気をつけてね。それと、頑張ってアレックス様を堕としてくるのよ。」

 侯爵夫人はアドリエンヌへ別れの抱擁をしてから励ましの言葉を贈った。

「眷属を使えば早く報告が届くであろう。何かあればすぐに報告するように。」

 侯爵はアドリエンヌの肩をポンポンと叩いて送り出した。

「お父様、お母様、行って参ります。きっと番いのアレックス様を本物の伴侶にしてみせますわ。」

 アドリエンヌは力強く拳を握ってから頷いた。

 そうしてアドリエンヌはフルノー伯爵家の人々とともに、馬車で伯爵領へと向かうことになったのである。



「「アドリエンヌー!なんでこっちの馬車に乗らないの?」」

 ひとまず最早行き慣れた伯爵家のタウンハウスに向かうと、双子のマリーとフィリップが待ち構えていてアドリエンヌの足元に抱きついてくる。

「あなたたち、アドリエンヌ嬢はアレックスと乗るのよ。いい子だからこちらで父様と母様と乗りましょうね。」
「「ええー!やだやだ!」」

 夫人が双子を嗜めるも、双子たちはすっかりアドリエンヌに懐いて二台に分かれて乗る馬車の分け方について不満だったようだ。

「私は双子たちと一緒でも構いませんよ。アレックス様が伯爵と夫人とお乗りになっては?」
「でも……。双子たちはとっても賑やかだし、ご迷惑だわ。」

 夫人は困ったように眉を下げたが、アドリエンヌは笑顔で答えた。

「大丈夫ですわ。楽しい旅路になりそうですわね。マリー、フィリップ。」
「「うん!やったー!」」

 そしてそこへ、最後の見回りを終えた伯爵とアレックスが来て先程の騒ぎを夫人が説明した。

「アドリエンヌ嬢、大丈夫ですか?僕が双子と乗っても良いんですけど。」
「「アレックスはやだ!アドリエンヌと乗る!」」

 アレックスの提案は速攻で双子に却下され、心配そうな伯爵と夫人にアドリエンヌは朗らかに心配ないと伝えたのだった。

 そうしてフルノー伯爵と夫人、アレックスの乗った馬車と、双子たちとアドリエンヌの乗った馬車は王都を出発した。
 アドリエンヌの荷物は伯爵家の荷物とともに荷馬車に乗せてもらった。



「「アドリエンヌ、これからアドリエンヌはうちに住むんだよね?」」
「そうね。色々教えて欲しいわ。どうかよろしくね。」
「私のお部屋見せてあげるね!ピンクで可愛いの!」
「僕の部屋だって、青色で綺麗だよ。見にきてね。」

 双子たちは大好きなアドリエンヌと馬車で一緒に過ごせて退屈していないようだ。

 アドリエンヌも、可愛らしい双子たちに元気をもらって長い旅路も楽しく過ごせた。



 馬車はとある街に着き、今日はここで宿を取ると言う。

「素敵な街……宿屋の明かりがたくさん点いていて活気がありますわ。酒場も大いに盛り上がっているようですわね。」

 アドリエンヌは初めて訪れたこの宿場町の活気に驚いた。
 ここから伯爵領はまだ遠く、明日の夜に着く予定だと言う。

「アドリエンヌ嬢、双子たちがご迷惑をおかけしませんでしたか?明日は僕が双子たちと乗りますよ。」
「アレックス様、全く問題ありませんわ。私、吸血鬼ですから体力には自信ありますの。」

 アドリエンヌを労る声をかけたアレックスは、馬車の中で寝てしまった双子たちを先に宿に寝かせに行ったのだった。

「父と母は双子たちもいるので宿で食事を済ませるそうですが、アドリエンヌ嬢がもし良ければ僕らは酒場でも行きませんか?」

 思わぬアレックスの誘いにアドリエンヌはパン!と手を叩いて喜んだ。

「よろしいのですか!嬉しいですわ!この街は初めて訪れましたから、酒場の雰囲気や街の景色を見てみたかったのです。ありがとうございます。」

 とても嬉しそうに笑うアドリエンヌをアレックスは穏やかな表情で見つめていた。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。 そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。 お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。 愛の花シリーズ第3弾です。

婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました

有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。 魔力が弱い私には、価値がないという現実。 泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。 そこで目覚めた彼は、私を見て言った。 「やっと見つけた。私の番よ」 彼の前でだけ、私の魔力は輝く。 奪われた尊厳、歪められた運命。 すべてを取り戻した先にあるのは……

【書籍化】番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました

降魔 鬼灯
恋愛
 コミカライズ化決定しました。 ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。  幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。  月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。    お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。    しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。 よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう! 誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は? 全十話。一日2回更新 完結済  コミカライズ化に伴いタイトルを『憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜』から『番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました』に変更しています。

お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました

群青みどり
恋愛
 国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。  どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。  そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた! 「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」  こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!  このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。  婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎ 「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」  麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる── ※タイトル変更しました

行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される

めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」  ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!  テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。 『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。  新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。  アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

政略結婚だと思っていたのに、将軍閣下は歌姫兼業王女を溺愛してきます

蓮恭
恋愛
――エリザベート王女の声は呪いの声。『白の王妃』が亡くなったのも、呪いの声を持つ王女を産んだから。あの嗄れた声を聞いたら最後、死んでしまう。ーー  母親である白の王妃ことコルネリアが亡くなった際、そんな風に言われて口を聞く事を禁じられたアルント王国の王女、エリザベートは口が聞けない人形姫と呼ばれている。  しかしエリザベートの声はただの掠れた声(ハスキーボイス)というだけで、呪いの声などでは無かった。  普段から城の別棟に軟禁状態のエリザベートは、時折城を抜け出して幼馴染であり乳兄妹のワルターが座長を務める旅芸人の一座で歌を歌い、銀髪の歌姫として人気を博していた。  そんな中、隣国の英雄でアルント王国の危機をも救ってくれた将軍アルフレートとエリザベートとの政略結婚の話が持ち上がる。  エリザベートを想う幼馴染乳兄妹のワルターをはじめ、妙に距離が近い謎多き美丈夫ガーラン、そして政略結婚の相手で無骨な武人アルフレート将軍など様々なタイプのイケメンが登場。  意地悪な継母王妃にその娘王女達も大概意地悪ですが、何故かエリザベートに悪意を持つ悪役令嬢軍人(?)のレネ様にも注目です。 ◆小説家になろうにも掲載中です

【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り

楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。 たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。 婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。 しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。 なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。 せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。 「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」 「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」 かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。 執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?! 見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 *全16話+番外編の予定です *あまあです(ざまあはありません) *2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪

処理中です...