政略結婚の相手は、御曹司の元カレでした〜冷たいはずの彼が甘過ぎて困ってます〜

蓮恭

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21. 満たされた夜

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 眼鏡を外した裸の瞳でまっすぐに私を見つめるその視線に、身体の奥から熱が沸き起こる。

 礼司さんがドレス越しの私の肩に手を置いた。

「……脱がせても?」

 その囁きに、私は小さく頷いた。優しく、でも逃がさないように。彼の手が、ドレスの肩紐にかかる。

 ゆっくりと――まるで壊れ物を扱うみたいに、繊細な手つきでドレスを少しずつ下ろされる。

 肌に触れる指先が、驚くほど熱くて柔らかくて。それだけで心まで蕩けてしまいそうだった。

「シャツを脱がせてくれないか」

 耳元に落とされる声。私は緊張で震える手を、礼司さんのシャツに伸ばした。
 彼の心臓の音が、ドクンドクンと私の指先に伝わる。

 同時に礼司さんは私が身に付けていたスリップをそろそろと脱がせていく。その動き一つ一つに、焦りも乱暴さもなかった。

 ただ、優しくて、丁寧で――私を、私という存在そのものを、大切にしているのがひしひしと伝わってくる。

 柔らかいシーツの上に、胸と下半身を覆うランジェリーだけを身に付けた格好で寝そべる私。
 ふと見上げると、礼司さんが息を詰めたような顔で私を見つめていた。

「……お前はこんなに綺麗なのに、これから俺に穢されてしまう。本当に……いいのか?」

 聞くだけでお腹の奥が切なくなるような、男らしい低い声だった。
 
 綺麗だと、そう言われたのが嬉しくて、涙が滲みそうになる。

「穢されてもいい……礼司さんになら」

 一瞬、礼司さんが泣きそうな表情をしたように見えた。やがて彼の指が、私の鎖骨をなぞる。

「あ……っ、ん」

 熱を持った手に触れられる度、体温が跳ね上がる。緊張と期待がないまぜになって、身体の奥がじんじんと疼いた。

「優しくする。優しく、優しく……お前が、壊れてしまわないように」

 静かな決意の声。私の身体全体に、彼のぬくもりが重なる。

 そしてキス。深く、深く、何度も。唇を吸われ、舌を絡められるたびに、世界が霞んでいく。
 背中のホックを外されるとスッと呼吸が楽になり、胸が空気に晒された。

「あ……、んっ」

 恥ずかしさと、触れ合う肌の心地良さに、思わず鼻にかけた声が漏れる。

「綺麗だ、本当に」

 長い指が遠慮がちに乳房を揉む。それは次第に強くなり、乳房の先端を飾る小さな突起を指先で転がされると、唇から勝手に嬌声が漏れた。

「は……ぁん……っ、あ……」

(礼司さん……あなたが……好き)

 もう片方の礼司さんの指先が腰骨に沿って身体をなぞり、太腿へと下りていく。くすぐったくて、でも切なくて、思わず身体がピクンと跳ねてしまう。

「力を抜いてろ……俺に任せておけばいい」

 耳元で囁かれた声に安心して、私はそっと目を閉じる。礼司さんが器用にも片手でランジェリーを下げた。
 私は自然と腰を浮かせ、礼司さんの動きを助ける。

「本当に綺麗だ。静香、お前のどこもかしこもが熱い」

 礼司さんが私の膝を押し広げた。流石に恥ずかしくて、顔を逸らそうとすると、そっと顎を指で持ち上げられる。

「嫌なら途中でやめる。絶対に。だから、教えてくれ」

 その声に促され、私はゆっくりと彼を見た。そこには、欲望だけじゃなく、限りない愛情と、深い誓いが宿っている。

「大丈夫……本当に、大丈夫だから」

 私の答えを聞くと、礼司さんはゆっくりと彼を受け入れる場所の周りをほぐすようにして円を描く。
 はしたない濡れ音が聞こえ、そこが既に礼司さんを受け入れる支度を整え始めているのだと伝えてきた。

「は……ぁ……っ、ん、あ……っ」
 
 次第に身体の内側へと彼が触れてくる。最初は浅く、慎重に。

「痛かったらすぐ教えてくれ。絶対に無理はさせないから」

 細心の注意を払うようにして礼司さんは私の内側を優しく撫で、やがて指を出し入れする。
 自分でも触れたことがないその場所が、今一体どうなっているのか想像もつかない。

「あ……っ、んぅ……」
「少しずつ、柔らかくなってきた。本当に可愛い、静香……一気に濡れて……」
「や……ぁ……言わない……で……ぇ、ん……っ、あぁ……んっ……んん」

 私だけ声を出すのは恥ずかしい。それでも勝手に漏れる声を出来るだけ我慢していると、礼司さんの舌が私の胸の頂きを舐め、唇で喰んだ。
 まるで愛おしがるように胸を十分に刺激され、身体の芯が熱を帯びる。

 私の胸に顔を埋める礼司さんの姿が視界に入り、これがとても背徳的な行為のような気がして余計に感じてしまう。

「はぁ……ぁんっ! れいじ……さ……んっ、それ……っ、だめ……ぇ」

 全身に駆け抜ける快感。こんなのは初めてで。知らなかった。
 思わずぎゅっと膝を寄せ、礼司さんの腕を太腿で挟んでしまう。

「そんなにしたら動けないよ、静香」

 何故だか礼司さんの言葉がやけに淫らに聞こえて、ゾクゾクとした感覚が背筋を駆け上った。

「もう……大丈夫だから……礼司さん……お願い、来て」

 自然と口をついて出た言葉。礼司さんはまた少し眉間に皺を寄せてから。唇をキュッと結んだ。

「静香、お前の無自覚は罪だ」

 そう言ってから、膝を割って礼司さんの身体が私の中へ入ってくる。
 熱いモノが自分の内側を辿り、入ってくる感覚は、まるで罰せられているような気持ちになる。

「……っ、あ……」
「静香……ごめん」
「ふ……ぅ、大丈夫……です……」
 
 礼司さんは本当に慎重に身を進めてくれているのに、引き攣るような痛み、裂けるような衝撃に、しばらく呼吸を忘れた。

「あ、あ……ッ!」

 ゆっくりと暴かれていく。奥に行けば行くほど、鈍い痛みが下半身から全身に巡っていく。

「力抜いて。ちゃんと息して……ごめんな」
 
 自分の額を私の額に合わせ、礼司さんは宥めるように言った。
 
 何度も謝りながら、優しく私を抱く礼司さん。征服する為じゃない。守る為に、そっと抱き締めてくれている。
 その想いが、痛みすら愛しくさせた。

「ふ……ぅ……んっ」
「大丈夫、ちゃんと入った」
「う……ぅ、んっ……」

 私はぎゅっと彼のシャツを握り締めて、ただ小さく頷いた。

「静香、愛してる」
「礼司さん……私も……あなたを、愛してる」

 眦に涙を溜めた私を慰めるように、礼司さんは額にキスを落として、それから身体をギュッと密着させた。
 やがてお腹の内側を擦るようにして始まった律動に、決して痛みだけではないフワリとした快感を覚える。
 
「ん、ぁ……ッ! あぁ……んっ!」
 
 徐々に徐々に、礼司さんは私の中を擦り上げ、奥を突く。
 自分では触れられないお腹の奥まで礼司さんに触ってもらった気がして、幸せな気持ちが溢れた。

「は……っ、あぁん……っ、れいじ……さ……ん」

 嬌声に艶を帯びてきたのを自覚する。礼司さんは安心したのか、険しかった表情を少し緩めた。
 
「大丈夫か?」
「平気……、大丈夫……だから……っ、あ! あっ、あぁ……っ! んっ」

 私の様子をよく見つつ、緩慢に身体を揺らしながら、彼は私を優しく、優しく、満たしていく。

「もっと声、聞かせて……俺の好きな、静香の声」
「や……、恥ずかしい……、あっ、はぁ……んっ」

 初めてなのに、秘所の痛みよりも胸の切ない痛みの方が強かった。
 何度も何度も寄せては返す波のように、礼司さんは私の中を押し広げていく。

「あ……ッ、礼司さん……なんか……奥が……気持ち……いい」
「……ッ、静香……っ、」

 やがて肌と肌がぶつかる音が激しくなり、私は掠れた声で幾度も彼の名を呼んだ。

「あ! ふ、ぁ……っ、礼司さん……っ、あ……ん……っ」
 
 それでも、途中礼司さんがハッとしたように激しさを堪え、動きを緩めたその瞬間、私を傷つけまいと必死に堪えているのが分かった。

「私……幸せです……」

 そう告げると礼司さんはいつもの眼鏡越しではなく裸の瞳に私を映し、どこか困ったような顔で頷く。

「大切にする。これから先何があっても、絶対に離さない」
 
 それだけの言葉。短くて、率直な礼司さんの誓い。

 熱く、甘く、蕩けるような空気が二人を包み、満たされる。
 この夜、私は初めて誰かに心も身体も全てを惜しみなく捧げ、そして――受け止めてもらった。


 
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