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竜魔決戦編
近隣の動き
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関所を突破したヴァイオレット達が森に到着し休息を取っていた頃、森から更に先に進んだ場所にあるアニマという街では静かな夜を過ごしていた
『うわっ!またやられたぁ……ノルマン様強すぎですってー』
『これで何連勝ですか。俺達の給料が……』
『お前達が弱すぎるんだよ。相手の表情とかをもっとよく観察しろ。これは有難く頂いてくぜ』
カードで賭けをしながら警備にあたっているのはこの街の警備隊長とその部下
アニマという街は西側にある山を越えた先に獣王国があり、昔は前線基地として使われていたが停戦協定を結び友好を築き始めてからここ数十年は何事もなく平穏な生活を送っていた
『それにしても今日も暇ですねぇ』
『暇じゃなかったらそれはそれで問題だろ。こうやって気楽に遊んでタダ飯食えていられる方が平和でいいじゃねぇか』
『ハハッ、それもそうですね』
ヴァイオレット達の襲撃に備えて警戒は怠っていないが、それでもここが一番最初に攻撃されることはないと分かっていたので多少の気は緩んでいた
大勝ちしているノルマンは次の賭けを始めようとカードをシャッフルしていると、兵士の一人が扉を開けてやって来る
『失礼します。ノルマン様報告が』
『なんだ、いいところだったっていうのに』
『ハッ、先程関所の方に定期連絡を行ったのですが、何度やっても応答せず連絡を取ることが出来なかったので……』
『なに?』
部下の報告にノルマンは眉を顰めた
定期連絡は近隣の防衛地点と取り合っていて一日に二回行われている
一回目に行ったの日中でその時は問題なかったたず
連絡が返ってこないということはつまり関所の方で何かがあったことを意味するもので、間違っても寝ていましたなんてことは許されない
『あっちからの報告もないとすると……こりゃあ何かあったかもな』
『例の敵ですか?』
『それは分からんがそう思って行動した方がいいだろう。おい、ワイバーンを一頭出して偵察に行かせろ』
『ハッ』
報告に来た兵士に指示を送るとノルマンは地図を広げた
そしてある場所を指差した
そこは人の行く手を阻む大きな崖があり、通過するには大橋を渡らなければならない
他にも橋は存在するが次の橋までは距離があり大幅に時間を無駄にすることとなる
もし敵がこの街に来るのならノルマンが指した大橋を渡ってくることは間違いなかった
『今すぐこの大橋を封鎖しろ。それと万が一の時に備えて橋にこれを設置するよう指示を出せ。敵もろとも崖の下に突き落とす』
ノルマンが部下に渡したのは大量の爆弾
導線に魔力を流し込むことによって起爆する仕掛けになっている
『しかし大橋を破壊してしまったら物流などに影響が……』
『そんなもん後でどうとでもなるだろ。何かあった時の責任は俺が取る』
『り、了解しました』
杞憂に終わればそれに越したことはない
そう思いつつ部屋を出ていく部下を見送り、ノルマンは戦いに向けて準備を始めた
『うわっ!またやられたぁ……ノルマン様強すぎですってー』
『これで何連勝ですか。俺達の給料が……』
『お前達が弱すぎるんだよ。相手の表情とかをもっとよく観察しろ。これは有難く頂いてくぜ』
カードで賭けをしながら警備にあたっているのはこの街の警備隊長とその部下
アニマという街は西側にある山を越えた先に獣王国があり、昔は前線基地として使われていたが停戦協定を結び友好を築き始めてからここ数十年は何事もなく平穏な生活を送っていた
『それにしても今日も暇ですねぇ』
『暇じゃなかったらそれはそれで問題だろ。こうやって気楽に遊んでタダ飯食えていられる方が平和でいいじゃねぇか』
『ハハッ、それもそうですね』
ヴァイオレット達の襲撃に備えて警戒は怠っていないが、それでもここが一番最初に攻撃されることはないと分かっていたので多少の気は緩んでいた
大勝ちしているノルマンは次の賭けを始めようとカードをシャッフルしていると、兵士の一人が扉を開けてやって来る
『失礼します。ノルマン様報告が』
『なんだ、いいところだったっていうのに』
『ハッ、先程関所の方に定期連絡を行ったのですが、何度やっても応答せず連絡を取ることが出来なかったので……』
『なに?』
部下の報告にノルマンは眉を顰めた
定期連絡は近隣の防衛地点と取り合っていて一日に二回行われている
一回目に行ったの日中でその時は問題なかったたず
連絡が返ってこないということはつまり関所の方で何かがあったことを意味するもので、間違っても寝ていましたなんてことは許されない
『あっちからの報告もないとすると……こりゃあ何かあったかもな』
『例の敵ですか?』
『それは分からんがそう思って行動した方がいいだろう。おい、ワイバーンを一頭出して偵察に行かせろ』
『ハッ』
報告に来た兵士に指示を送るとノルマンは地図を広げた
そしてある場所を指差した
そこは人の行く手を阻む大きな崖があり、通過するには大橋を渡らなければならない
他にも橋は存在するが次の橋までは距離があり大幅に時間を無駄にすることとなる
もし敵がこの街に来るのならノルマンが指した大橋を渡ってくることは間違いなかった
『今すぐこの大橋を封鎖しろ。それと万が一の時に備えて橋にこれを設置するよう指示を出せ。敵もろとも崖の下に突き落とす』
ノルマンが部下に渡したのは大量の爆弾
導線に魔力を流し込むことによって起爆する仕掛けになっている
『しかし大橋を破壊してしまったら物流などに影響が……』
『そんなもん後でどうとでもなるだろ。何かあった時の責任は俺が取る』
『り、了解しました』
杞憂に終わればそれに越したことはない
そう思いつつ部屋を出ていく部下を見送り、ノルマンは戦いに向けて準備を始めた
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