転生蒼竜チート無双記

れおさん

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1話 「自分に自分で驚く体験」

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 深い暗闇の中で俺は再び意識を取り戻した。

 体は熱いし、重い。まるでインフルエンザにかかって高熱が出た時の苦しさに似ている。
 でも異なっていることがある。
 なぜか熱くてたまらないのは口だ。口が熱い。でも火傷をするような熱さではない。
 この激しい違和感。そして今までと違った感覚がする。そしてなぜかケツの部分に何か変な感覚がする。まるで何かが生えたような感覚がするのだ。
 まさか死んでおらず体中の骨がばらばらになってこんな変な感覚がするのだろうか。しかし体は動かそうと思えば動くのだ。
 むしろ以前よりも体が軽い。そして力がものすごく込められるようになったように感じる。
 まさか交通事故にあって吹っ飛ばされて覚醒か?

 それよりもここはどこだろう。意識を失いかけていた俺にまるで煽りのようのような言葉をかけてきたやつの声が頭に残っている。結局奴は何だったのかも分からなかったし。
 結局のところ自分が無事だったのかもわからないが、無事だったらこんなところにいるわけがない。普通なら病院の天井が見えるはずなのだが。

 <お目覚めのようですね>

 「ああ、すっかり目覚めt……え”!?」

 今までしゃべっていた自分の声と全然違う。もともとあんまり低い方ではなかった声がヤ○ザのお偉いさん張りに声が低くなっていて自分の声に自分で飛び上がるという体験したくても普通じゃできないであろう体験をすることになった。

 <残念ですが、あなたは死んでしまいました。しかし、新たな生命体として生まれ変わりました>

 「ちょっと待ってくれ……。それって今流行りの転生ってやつですか……?」

 <はい>

 はいじゃねーよ!結局死んだんかい。まぁ今の体の感覚でもし普通に生き延びて意識を取り戻しただけだったら普通に嫌だな。サイヤ人じゃあるまいし力が湧いてくる感覚が事故にあったせいですとか笑われそうだ。

 <ここで頑張っていってください。ここでもきっと苦しいことがあるかもしれませんし、ないかもしれません。でも頑張ればきっと何とかなりますので。それを生かしてぜひ充実した人生を。でわ>

 でわっておい!っていうかそもそもでわって言うな!ではって言え!そこすごい気になる!ドッジボールをドッヂボールとかいう人と同じムズムズ感だけ俺にさせて消えるな!
 必死に暗闇の中右往左往させて呼びかけたが声はもうしない残念ながらここからは自分で勝手にしろということだろう。

 まずは外に出よう。奥から小さな光が漏れてくる場所。あそこに向かって歩き出すことにしよう。歩みを進めるとそこから風が流れてくる。間違いなく出られそうだ。
 そしてそこを出るとそこは_

 雄大な自然が広がっていた。
 近代化した建物の様子はなく、一面山や森、はるか向こうには海も見えている。そして鳥が空を飛び、元いた世界と同じように青い空と太陽がまぶしく変わらず照り付けている。

 そしてそこで再び____

 「嘘だろおおおおおおおおおおおおお!?」

 自分自身のことで自分が驚かされる羽目になった。
 手は大きな厳つい手になり、カミソリのような鋭い爪が5本の指から生えている。足は人間の足……とは全くかけ離れた足であった。そして何よりも全身に青く硬い皮膚が太陽に照らされている。
 それはまるでサファイアのように輝いているって……。
 体が青というのはこんなにもショックが大きい。腕には何ともまぁ理想的な筋肉がついている。まぁ人間の筋肉の付き方と明らかに違うから理想的かはさておいてボディビルダーの要筋肉がついている。
 うん、体は青だけどね。
 今更だがこれはとんでもないことになったな。

 「これってア○ターなのでは?でもこんな爪あったけなぁ……?」

 そう言いながらとんでもないこの現状にお天道様のもとにさらされて思わず憂鬱になってしまい、いつものようにため息をついた時だった。

 ブオォォォォー!

 青い炎が噴き出た。まるで火炎放射のような勢いのある炎が……口から噴き出た。

 「……」

 もう驚くことをやめよう。驚くことにばかばかしくなってきた。さっきの筋肉がなんだとかいうくだりがしょーもなさすぎる。
 そしてトボトボと歩いて周囲を散策してみることにした。自分が通るたびに生き物たちが驚いて逃げていく。まぁそりゃそうだろう。こんな化け物が通ったらそりゃ驚くし、怖いに決まっている。まだ自分の顔を見ていないがこれから見る機会があるとしたらその時が億劫だ。
 歩いているとカチャカチャと背中の方から音がする。いったい何の音だろう。

 「よいしょ」
 
 そう言って背中に当たるものを手で握って抜いてみると___

 「おおう。まず先に言おうわ。厨二やな!」

 背中でカチャカチャいっていたものは大きな大剣だった。大きさの割に重さを全く感じない使いやすそうな武器だった。
 そもそもどこでこんな武器を使うことになるのかもすら分からないけども。
 そして背中の違和感はまだあった。大剣ともう一つ触れるもの。これに触れると触れられている感覚がすることから自分の体の一部だとわかる。
 これはもしや……。

 背中に力を入れる。するとその違和感のある部分が動かせることに気が付く。それを少しずつ動かし、やがてその動きを速めていくと___

 自分の体が宙に浮いた。まだフラフラはしているものの、すぐに自由に動かせるようにはなりそうである感覚だった。
 やっぱり自分自身に驚くことをやめてよかったようだ。俺は火を吐き、空を舞うそれはつまり___

 「ドラゴン!?よっしゃ、ドラゴン生活の始まりじゃあああああああああ……ってテンションが上がるわけがない。どうするのよこれ。何食えばいいの?どんな生活すりゃいいの?」

 途方に暮れるしかなかった。転生させるならもっと考えてからしてくれや……。
 誰がしてくれたのか知らないけどさ!

 現時点で分かったこと
 ・火を吐ける
 ・空を飛べる
 ・大剣を二本持っていて攻撃もできそうだが、そんな機会があるかは不明
 ・食生活→不明
 ・ここがどこなのか→不明

 色んな方向で積んでいるような気がする。誰か助けてくれる人はいるのだろうか。あとため息をしそうになったが先ほどのことを思い出して思いとどまった。

 こうして異世界転生生活がグダグダのスタートを切った。
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