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しおりを挟む「だーっ」
人通りのない道なのをいいことに声を張り上げる。
時間も時間だからビルの明かりも消え、残る光は街灯くらい。数メートル先は闇で何も見えない。
この中で人を探すことがどんだけ大変か身をもって知った。
「碧音ー」
呼んでも出てきてくれないのは分かってるが、やらずにはいられねえ。
走ってあらゆる場所を捜索した、でも碧音らしき人物さえいないとなると気持ちが折れそうになる。
俺らしくないよな、こんなの。
分かってっけどさ。
碧音がもし電車に乗ってどこかに行ったのなら、もう探しようがない。
俺が想像出来る電車に乗って碧音が行きそうな場所は……繁華街か家、若しくは学校近くの駅。
――家?家に、帰ったとか。
すぐに携帯を取り出して碧音の家に電話する。
碧音の家は毎年合宿で使わせてもらったり何かと関わりがあって、家電の番号をいつだったかおじさん達に教えられたのだ。
教えてくれた昔のおじさんおばさんに感謝。
『もしもし、刹那ですが』
「おばさん?俺っす、皐月です」
『皐月君!あらー元気?』
「うっす!そんでおばさんにちょっと聞きたいことがあって」
『何かしら?』
「碧音、今部屋にいたりします?」
『いいえー、いないわ。夕方に家を出てったままよ。碧音がどうかしたの?』
「碧音、どっかで落とし物したみたいなんすよ。それで探してくるっつってなかなか戻らないから、あいつ家まで行ってんのかなーって」
ここは事実よりも嘘を言って怪しまれないように、心配かけないようにした方がいいだろうから。
咄嗟に思いついた割りにはいい出来だ。
『落とし物?もーう、碧音ったら』
「はははっ。あいつが戻ってきたら笑ってやろうと思います。じゃ、ありがとうございました!」
『はーい。また家に遊びにいらっしゃい』
「あざっす!」
耳からスマホを離して、電話を切る。
家にもいないとなると……嫌な予感しかしねえ。
誘拐された?事件に巻き込まれた?
碧音、綺麗な顔してっから女と間違えられて連れ去られたんじゃ?!
おいおいおいおい。あり得そうだから、尚更怖い。
警察、って単語が頭を過ったけどそれは無理がある。
向こうからメールがきてた以上連絡がとれなくはないと判断されるだろうし、こんな程度で動いてくれないってことは俺でも知ってる。
「……はーぁ」
そろそろライブも終わった頃だ、ライブハウスに戻ろう。
足どり重く来た道を歩き、入り口に行くと。
「何だあいつら」
スタッフやバンドが出入りするドアの前に、数人の男がいた。
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