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しおりを挟む「無駄だ!」
星渚でも藍でもない声の主が近づいてきたけどドサッ、男は前のめりで倒れた。
「藍、さんきゅ!」
「いいから続けて」
男の背中に藍の重い蹴りが1発入って、男はもう起き上がれない。
藍はすぐに残り2人の男の腕を拘束して、星渚と同様に男2人を壁に押しつけた。
伸びてる男を見れば、藍に抵抗する気はなくなると思うけどな。
ダン!ダン!!
諦めず続けているとミシリ、軋む音がした。あとちょっと。
更にダン、ダン!ダン!!ぶつかると、鍵が壊れてドアが外れた。小屋自体が古いためドアの鍵の部分も錆びていたのが、幸いだった。
鈍い音と共にドアが外れ、そのまま中に入る。
「っあ、碧音!」
ドアの傍で小さくうずくまってる碧音に駆け寄った。
「碧音、もうだいじょ」
――パシッ!
それは、俺が伸ばした手を碧音が振り払った音だった。
「……碧音?」
「い、で……っこないで……」
「碧音?!」
「やだ、やだ……はなれろっ」
近づいて碧音の肩を引き寄せようとしても抵抗してズリ、足を引きずって後ずさる。全身で拒絶を示された。
「皐月、刹那は?」
「どうした!?」
後ろで2人の声がする。けど今は答えていられない。
「碧音、大丈夫だ」
「っ………、ないで、やだ」
体を丸め耳を塞いで、弱々しく首を振った。吐く息は荒く不安定で、今にも過呼吸を起こすんじゃないかと心配になる。
これ、パニック症状だ。過去にされたことがフラッシュバックしてる。
多分俺のことも今は自分を傷つけようとする他人、または閉じ込めた犯人としか思ってない。
「碧音、何もしないから」
優しく、怖がらせないように言う。
「……だ、やめっ…」
嫌だ、止めてと声に出すのも辛そうだ。
「や、だ……っ!」
隙をついてグッと距離を詰め、碧音を抱き締めた。
「はなっ、して、ごめんなさ……」
「碧音、俺だよ。皐月」
痛々しいほどに腕の中でカタカタ震えて、荒く息を吐き出している。まだ俺が皐月だと、危害を加えない人間だと判断が出来ていない。
ギュッと目を堅く閉じて、うわ言のようにごめんなさい、止めて嫌だと繰り返す。
碧音、大丈夫、もう安心していいぞ、そう思いを込めて背中をさすった。
「怖くない、危なくないからな」
碧音は暗くて狭いところが苦手というより、完全に無理。
それなのに1人で数時間も閉じ込められてたんだ。
助けてと言っても誰も答えてくれない、ここから出してと願っても届かない。こうなるのも無理はねえ。
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