群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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BLACKが碧音をターゲットにした理由は、間違いなくこれだな。俺や藍、星渚より逃げられる可能性が低いから。


過去のことも含め色々と調べたっつってたけど、このことまで知ってたのかよ。まじで許さねえ。


今すぐ怒鳴り散らして殴ってやりたい。でも大声を出せば碧音が怖がるからやらないけど。


「皐月!刹那、やっぱり」


星渚と藍がドアがあった部分から顔を覗かせた。勿論、BLACKは拘束したままで。


「ああ。大分混乱してる。今はここから動けねえと思う」


2人も碧音の過去を知ってるから予想がついていたんだろう、苦々しい顔になる。


「どうして、何でこんなことをした!」


「かはっ」


星渚がリーダーの胸ぐらを掴み、声を極力抑えて言う。理由は俺と同じ、怒りに任せて叫んだら碧音が怯えると分かってるから。


必死で堪えてる。


「……お前ら、midnightのせいだ。全部全部全部、ぜんぶっお前らのせいだ!!」


憎悪を剥き出しにする。


「ライブに出るといつもいつもmidnightと比べられ、その度midnightの方が上だと言われる!」


男が大声で吐き出したせいで、案の定碧音の震えが大きくなってしまった。碧音、と呼びかけ背中に回した腕に力を込める。


男の言うことについては俺達も自覚してる。観客からもバンド仲間からも比較されることは多い。


「上手いのはBLACKだと証明するために必死で練習した、ライブの前はどんだけ睡眠時間削ってでもな!」


声を荒げて訴えてくる。星渚は何も言わず、男の話を聞いていた。


「midnightの技術だってコピーした、完璧に!!文句のつけようがないくらい」


あの気味の悪い笑い方すらしない程余裕がないようだ。棘々しい言葉を止めどなく溢れさせている。


「それなのに……!BLACKよりmidnightがいいと口にする。野外ライブの時もそうだった、midnightが俺達より順位が上!」


数字で表されたら認めざるを得なくなる。でも逆に、疑いようのない数字で結果を示してくれるから自分に自信が持てるんだろ。


こいつらの場合、それが自信じゃなくて負の感情なのだ。


「ライブを観に来てくれるレコード会社や音楽関係の人間に売り込んでも、midnightにもうオファーした、midnightの返事待ち、どいつもこいつも同じ台詞を言う!仕舞いには彼らに断られたら、俺達のことを考えてやってもいい、代わりとしてはいいかもしれないと」


男がドン!小屋の壁に拳をぶつける。知らなかった、そういうことを言われていたなんて。


だってさ、それじゃまるで。


「……代用品なんだよ、俺達は。midnightの代用品なんだ!」


身を削って取り組んできたものが、認められない悔しさ。


「憎いんだよ!お前らはっ、お前らは俺達の気も知らないで、平気でオファーを断る!何でお前らなんだよ、何でBLACKじゃないんだ。どこがいけない、俺達のどこがいけないって言うんだ……!」


男の叫びが、耳をつんざいた。


静かな夜に響き渡る、黒い感情で塗り固められたそれ。


「だから計画を実行した。今回のライブにも音楽関係の人間が来てるし、インディーズのバンドだっている。ここでそいつらに認めてもらえれば、デビューに近づけるんだ!」


心臓が痛え。


「どんな手を使ってでも俺達が認められるようにする、ヒカリを手に入れられるなら何でもするに決まってんだろ!どうせお前らはまた声をかけられても相手にしないんだよな?!ならっ、邪魔すんなよ!!」


「…………で?」


興奮して荒い息の男とは天と地程の差がある、低くて冷たい声色で星渚が言った。


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