群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「それが刹那を閉じ込めて、交渉の条件にしてもいい理由になるとでも?刹那の痛み、お前ら分かる?」


星渚の言う通りだ。普通の男なら叫んだり体張って俺がやったように無理矢理にでもドアを壊して脱出出来る。


でも碧音は違う。恐怖に耐えることで精一杯だった。


昔の記憶に押し潰されないために、きっと自分を自分で守ることが全てだったんだ。自分等のことしか考えてねえてめえらに、理解出来ないよな。


出来ないだろ。人の痛みが分かんないのかよ。


「俺達midnightを越えられないのは、真似ばっかしてるから。所詮真似は真似」


「なっ、何だと!」


「midnightに執着し過ぎて忘れてんじゃないの。自分のバンドの色」


「っ……」


「君ら、見失ってるよ。BLACKってどんなバンド?特徴は、個性は?」


「そ、れは……」


「自分達の個性を出しきれてないから魅力が最大限に発揮されない。本当に歌いたい曲を歌ってない、だから一歩足りなくてmidnightを越せないんだよ」


バッサリと言いきる星渚。同情なんかしてねえ。勿論、俺も藍も。


「お、俺達は」


「BLACKを代用品だと思ってない人もいる。純粋なファンもいる。周りをもっと見てみな」


ゆっくりと男の胸ぐらを掴んでいた両手を下におろす。


それを見て藍も男の拘束を解いた。


「しっかりしてくんない。頭冷やせ」


どんな時でも星渚は言いたいことをはっきり言う。星渚らしいな。


「俺は、BLACKがしたことを絶対許さない。でも刹那に犯人はBLACKだとは言わないから。お前らのためじゃない、刹那のために」


「っ…………!」


「だから、下らない罪悪感で刹那に謝ろうとすんな。BLACKに会う度今回のことを思い出さなきゃいけなくなる。……これでいいよね?藍、皐月」


「俺は星渚に賛成。碧音の気持ちを優先させるべきだ」


「俺だって碧音に言う気はねえよ」


柔らかくて青白い月の光が雲の隙間から差して、小屋の中も幾分か明るくなる。


そのおかげで碧音の表情もさっきより分かりやすくなった。まだ瞳を開けて俺を見ようとはしないけど。


「自分達がこれから何をすべきかしっかり考えて、出直してきな。で、正々堂々ぶつかってきて」


「………………、俺達は……悪かった」


「俺も……ただ、光をみたくて」


「ならmidnightに囚われてる場合じゃないでしょ」


地面に伸びてへばってる奴以外、目が覚めたのか全員が頭を深くさげた。これ以上何かを仕掛けてくる気はないっぽいから、反省してるのは本当なのか。


「じゃあ、さっさとどっか行って。刹那を別の場所に行かせたいから」


3人は肩を震わせ、もう一度謝ってから気絶してる仲間を連れて、姿を消した。


「刹那!」


「碧音っ」


あいつらが完全にいなくなったことを確認してから2人が小屋に入ってきて、碧音の傍に寄る。


「刹那、苦しかったね。ごめん」


碧音の背中にそっと手を当て、子供をあやすように擦る。


何でもっと早く見つけてあげられなかったんだ、そう思っているのか後悔で表情が歪む。


「碧音、目開けて。もう俺達しかいないよ。助けにきた」


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