群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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お母さんも『しつけ直さないとねぇ』とどこか狂気を孕んだ瞳で俺をじとりと見てきて。


あ、嫌だ。ガタガタと震え出す体。


「おら、こっち来いよ」


「や、お父さっ」


「さっさと来いよ!」


ぐいっと強引に腕を引っ張られダン!!床に叩きつけられた。背中が、痛い。


「痛い目にあわないとー、お前はーぁ、やっちゃダメなことがー、分からないんですかぁ?」


「っ!いっ……」


言葉の区切りに合わせてドン、と重い蹴りを入れてくる。お父さんやめて。


「ごめ、んなさ………」


「もっとちゃんと謝らないとダメだろー?」


「ご、ごめんな、さい……っ」


「ごめんなさいもまともに言えない奴は、ちゃあんと反省するまで閉じ込めるからな」


――――閉じ込める。その台詞を聞いた瞬間サッと血の気が引いた。


嫌だ、それは嫌だ。けれどこんな願いはお父さんに届くわけもなく引きずられ部屋の押し入れに押し込まれた。


強く腕を掴まれ『離して、痛い』訴えても聞く耳をもってくれなくて。視界が、体が、暗闇に飲み込まれていく。


「やだ、ごめんなさいお父さん!」


「ここに入ってしっかり反省しろよ?」


押し入れに入れられてもなお殴られ無情にもピシャリ、戸を閉められてしまった。


「……や、嫌だ」


湿っぽくてカビ臭い暗闇が怖くて仕方ない。


お父さんとお母さんはたまにこうして俺を狭い押し入れに閉じ込める。


そして俺が出られないようにと戸に自分達で買ってきて取りつけた鍵をかけるんだ。


「ごめんなさい、ごめんなさい」


こんな狭い場所に何時間も閉じ込められるなんて、俺嫌だよ。どくどくどく、激しく脈打つ心臓。


思うように力の入らない手でドンドン戸を叩くけどこの暗闇から解放されることははくて。


今日はどれくらいここに閉じ込められなきゃいけない?何十分?何時間?


たとえ実際の閉じ込められていた時間が2、3時間だったとしても、もっとずっと長い間闇の中に放置されてる感覚がする。


夏だからか湿っぽさも増していて、気持ち悪い。


前は昼から太陽が顔を隠す時間まで閉じ込められた、今日も同じくらいなのかな。


それとも、更に長かったらどうしよう。


容赦なく蹴ったり殴られたりされた体よりも、心の方が痛い。


あの時、ちゃんと足元を見ていれば……いや水を飲もうなんて考えなければこんなことにはならなかったんだ。


自分のせいで、こうなってしまった。俺が、俺のせいで。


「…………ごめんなさい」


ごめんなさい、ごめんなさい。


戸の向こうでは俺の存在を忘れてテレビを見たり好きなだけ寛いでいる2人がいるんだろう。


微かだけど、時々笑い声が聞こえてくる。


俺はいつまでたってもそっち側にはいけなくて。家族なのに、何で壁があるのか。はっきりと境界線が引かれているのか。


お母さんやお父さんに聞いたって、答えてくれないと思う。黙ってろって、怒られる。


「ごめんなさい……許して、ください」


俺の声なんか聞いちゃいないって分かってても言わずにはいられなくて。


何回も謝れば許してもらえる、この考えはいい加減なくすべきだとは思うけれど。バカみたいにごめんなさいと繰り返すことくらいしか、結局は出来ないんだ。


学校でクラスの子がよく言う。


『宿題ちゃんとやらなかったからってゲーム没収された』『夜遅くまで起きてたら怒られてこれからは9時には寝ろって言われてさあ』『俺だって、遊んで遅くに帰ったせいで1週間ゲーム禁止だよ!』と。


その程度で不満そうに文句を言う理由が理解出来なかった。


9時に寝なきゃいけないくらい、たった1週間ゲームが出来ないくらいで何でそんなに文句言うの。

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