群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「明日歌!こっち」

「な、なる!ごめんね。電車が遅れちゃって」

「まだ大丈夫。急ごう」

先週、友達の菜流に土曜にアマチュアバンドが集まるライブがあるから一緒に行こうと誘われ、ライブハウスまでやって来た。

なんでも菜流のお兄さんがバンドのボーカルをやっていて、そのバンドが出演するんだとか。時刻は夕方18時。

夏だからこの時間帯でも明るく、その下に派手な格好をしたバンドや観客の人達がたむろしている光景は、少し違和感を感じさせる。

「いっぱい人来てるね。なんか緊張してきた」

「だーいじょうぶ。中学生だって観に来てる子いるよ?」

「そうなんだ、すごいね」

中学生で来ちゃうなんて。でも、このライブがそれだけ幅広い年齢層にうけている証拠。

螺旋階段を降りるとチケットを回収するスタッフがいて、更に奥に進むと会場に着いた。周りは既に人で溢れていて、間を上手くすり抜けながら真ん中の位置を確保。

立ち見形式で、薄暗い照明が雰囲気を演出し皆の気分を高揚させている。

「星渚はね、4番目に出るんだよ」

「あ、本当だ」

パンフレットを開き、時間や順番を目で追っていく。

「星渚のバンド人気あってさ、ファンもいるんだから!当たり前だけどね?星渚のバンドだもん」

「じゃあライブも盛り上がるね絶対」

はい出ました菜流のブラコン。菜流はお兄さんが大好きで、呼び方も『星渚』と名前で呼んでいる。

菜流の話を聞いていると、多分お兄さんはシスコンなんじゃないかと思われる。

「お待たせしました!これより開演いたします」

「始まったよ」

「うわぁ楽しみ!」

会場が一瞬でしんと静まり返りステージ上の照明が消え、また着いたら始めに演奏するバンドの人達が立っていた。

「それでは、お願いします!Bang!でescape」

「「わぁぁあーっ!」」

観客の歓声を受け、ボーカルがマイクを持ち熱唱。ドラムの音も、ギターやベースの音も全て鮮明に聞こえて、これが“生のライブ”なんだと実感する。

やっぱりバンドの人達の表情を見ることが出来るのは醍醐味だよね。

「ありがとうございました!」

Bang!のメンバーが終了の挨拶をして、2番目のバンド。

全てにおいて派手な感じが正直あまり好きではなかったけど、周りの観客のテンションは思いっきりあがった。

3番目は正反対の演奏で、大人なバラードの曲。いくらプロじゃないと言っても、レベルは十分高いと思う。

―――そして、遂に楽しみにしていた菜流のお兄さんたちの番。

「今日は何の曲やるのかな。早く聞きたい」

菜流が興奮しきった様子で、目を輝かせている。

「叫ばないでね?」

一応忠告してみるも、無駄だろうということは予測済み。

「次はお待ちかね、midnightでmissing!」

「「きゃぁあっ」」

「うわぁあー!」

今までの中で最も大きな歓声が上がった。菜流が言うように、このバンドは本当に人気なんだ。



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