群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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3.

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メンバーがステージ上で合わせしている間にも『藍!らーん』『皐月さん!』『紀藤君!』と黄色い声が聞こえてくる。全員服装はネクタイを統一したスタイルで格好いい。

「星渚、せなー!頑張ってね」

菜流も、周りの人の邪魔にならない程度に手を振っているのはいいけど、声の大きさは抑えられなかった。

しょうがないか。

菜流に気づいたお兄さんはちらっとこちらに視線を寄越し、ニコッと完璧な王子様スマイル。

「イケメン……菜流のお兄さん王子様」

しかし微笑みをすぐに真剣な表情に一変させ、ドラムスティックでカウントをとるよう促す。メンバー全員の目が、ギラリと光る。

「You say don't leave me here――」

瞬間、鳥肌がたった。ベースとギターのテクニックの巧さと力強いのに耳障りじゃない、全身の細胞が反応するような歌声。

会場の雰囲気が、この人達により一瞬で支配された。ずっと聴いていたい、終わらないで、吸い込まれそう――そんな感覚に陥ってしまう。

そして何より心を鷲掴みにされたのは、ドラムの人。

外見は艶のある黒髪に日焼けというものを知らないような色白の肌、少し華奢な身体つきで、バンドは似合わないんじゃないかと違和感を感じる程“綺麗”な男の子。

なのにドラムはとても力強くて、芯が通っていて。ミスマッチなところが独特の雰囲気を醸し出している。

しかも時折伏し目がちになったときの表情や首筋、ドラムスティックを持っている手、頭の先からつま先まで全身から色気を放っている。

打ち鳴らす細い指も綺麗で、堪らない。

「ね、菜流。あのドラマーの名前は?」

耳元で小声で聞く。

「あれ言ってなかったっけ?私たちと同じ年で高1だよ。名前は刹那」

「え!初耳。そっか、刹那君か」

「気になる?」

「うん、ものっすごく」

「じゃあ帰りに会おうよ。星渚に言っておく」

このチャンスを逃すわけにはいかない。

「ぜひお願いします」

「おっけ」

早口で会話してまたライブに聞き入る。こんな出会い、そうそうないよね。

「――burned down……」

ビブラートが効いた声が小さくなり、全ての音が止み演奏終了。

皆も興奮冷めきらぬ様子で感想を口にしている。私も例に溺れず耳に余韻が残り、心臓の高鳴りが収まってくれない。この感覚、好きだなあ。

ライブはノンストップで進行され、次から次へと演奏が続き途中休憩を挟み後半開始。

ラストは、インディーズで名の知れたバンドの演奏があり、皆のボルテージは最高潮で幕を閉じたのだった。



――――――――

―――……


「ここで待ち合わせしてるんだ。もうすぐ来るって」

「本当ライブ楽しかった!誘ってくれてありがとう」

「いえいえ」

どっぷり闇に浸かった夜空を仰ぎ、22時過ぎに外にいるっていつぶりだろうか、ふと思う。

バンドの人達はライブハウスの裏口から出てくるんだけど、そこで待っているのはダメだから近くの公園で待ち合わせ。



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