群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「どうでもいいんじゃん」

「よくないわ。第一印象大切だぞ」

高瀬さんが口元を引き攣らせる。

いや、うん。私含め碧音君以外『短い!』って心の中で突っ込んだ間違いない。

「俺が優しくアドバイスしてやってるんだぞ。ありがたく思え」

「聞こえない」

「てめっ……!」

「明日歌ちゃん、俺牧田藍。藍色の藍で、らん。ギターやってる。ライブ来てくれてありがとう」

「いえいえ!こちらこそ、楽しませてもらいました」

さくっと高瀬さんを無視し、牧田さんは優しく挨拶してくれた。

一番身長が高く、マロンブラウンの髪に緩いパーマをかけ、小さいピアスが両耳に1つずつ。

若干のたれ目が、柔和な印象を与える。

「牧田さんは大学何年なんですか?」

「星渚と同じ2年。ちなみに皐月は一個下の1年ね。あ、牧田さんって呼ばなくていいよ」

「なら……藍さん?」

「さん、は取れないんだ」

「あはは、そのうち取りますね」

藍さんは物腰柔くて、話しかけやすい。視界の端で我関せずな兄妹2人がイチャついてるけど、誰も突っ込まないので放っておこう。

「私、今日皆さんのライブ観てファンになりました!曲のアレンジも、原曲の良さは残しつつ音程やリズムを変則的に変えてるとことか、ビビッときました!」

「原曲知ってんのかお前?!」

「はい。liquidですよね?」

高瀬さんが目を見開き、声を弾ませる。

「マイナーだから知ってる奴あんまいねぇと思ってたわ」

「昔から好きなんです」

自分の好きな曲が演奏されたら、テンション上がらずにはいられなかったよね。

「本当に、心をガシッと掴まれました!」

「そんなに褒められると、照れるな」

少しはにかみ頬を緩ませる藍さん。しかし。

「ねぇ星渚帰りハンバーガー食べて帰ろうよー」

「夜にそういうの食べると太るのに」

「えぇー」

「嘘、冗談。太っても菜流は可愛い」

待って本当に何なのあなた達は。いや兄妹仲良くていいですけどね?藍さんが醸し出す穏やかな空気ぶち壊しだ。

ていうか絶対話聞いてないよね。

「まぁ俺の超絶うまいベース聞いたらファンになるよな」

「違います私が心を奪われたのは……あなたです!」

体を向けた相手は、勿論刹那君。

「俺スルーかよ」

「皐月どんまい」

高瀬さんの肩を、くすくす笑い叩く藍さん。

「刹那君……いいえ碧音君!」

「え」

怪訝な顔をされても気にしないめげない。

「碧音君のドラムに惚れましたぞっこんです!ドラムだけじゃなくてあふれんばかりの色気にノックアウトされ……ってすみません本音が」

「くたばれ痴女」

「その冷たい視線すらご褒美に思えるんですがどうしましょう」

本当に同い年なのか?高校生なのか?

「お前碧音に対してよく堂々と言えるな変態発言」

「高瀬さん、決して変態ではないです」

念押しするけど、高瀬さんの顔は引きつっている。藍さんは至って普通なのに。

「残念だが世の中ではお前みたいなのを変態と呼ぶ。心の声を抑えろ」

「皐月の言う通り。なんなのあんた」

あり得ない、呟いて碧音君は柔らかそうな黒髪を右耳に掛けた。

「ぐはっ……!!」



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