群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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【第2章 midnight】

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――出会ってからしばらく経ったころ。

藍さんの図らいで週2日程行われるバンドの練習に来てもいいと言われ、見学させてもらっている。

今日で2回目。

リハーサルスタジオの隣にガラス張りの壁で隔てた多目的室があり、そこで休憩なり何なりしている。

機材が本格的で、設備もしっかりしている綺麗なこの場所の経営者が藍さんのお父さんというから、驚きだ。

だからスタジオの利用料金も大分安く済んでいるとのこと。

「碧音君暑いなら服、脱いでいいんだよ?」

「変態の前で脱がない」

折角碧音君の上半身見られると思ったのに、残念。

特に腰とか腰とか!その絶対領域をこの目で拝みたい。絶対領域から溢れるフェロモンを感じたい。

「チラリズムで腰晒してください」

「星渚の見れば」

「俺を犠牲にしないの」

「私が星渚さんの上半身見たら菜流に怒られます」

その菜流は練習には来ていない。星渚さんの気が散るからだ、と藍さんが教えてくれた。

「つーか、腹減った!」

「そうだねぇ。昼飯の買い出し行くやつ決めるから集まってー」

「え、皆さんまだ食べてなかったんですか?」

星渚さんの言葉に被せる勢いで言ってしまう。

部屋の時計が指し示す時刻は、13時45分。私がここへ来たのは、昼ごはんを食べ終えた後でちょうど13時だった。

「きりのいいとこまで、練習進めたかったからさ」

藍さんがブラックの缶コーヒーに口をつけ、足を組み変える様は大人だ。

「変態女、お前も参加な?」

「わ、私も?」

「俺らの素晴らしい演奏を聞かせてやってんだから、それくらいしろよ」

「ただ単に、自分が負ける確率低くしたいだけですよね」

分かりやすいな高瀬さん。冷ややかな目線を送る。

「負けた奴2人が買い出し。いくよー」

「この勝負、絶対負けねえ!」

よく子供の頃やっていた両腕を絡め、手の中を覗く仕草をしている高瀬さんを、藍さんは苦笑い。

危ない、私もやるところだった。

「じゃーん、けーん、ぽん」

各々が出した手の形は。

「っくそ!」

「碧音はじゃんけん強いな、いっつも」

「だろ?」

結果、パーを出して1人勝ちしたのが碧音君、他全員グーで負け。

「ざまあ」

はっ、と鼻で笑い見下されたけど、その表情グッときます。

「次こそ勝つぜ!」

「私も勝ちます」

「いくよ。じゃーん、けーん、ぽん」

自分の出したものと相手の手の形を見比べる。

「……私の、ばか!」

「ごめんね、俺勝っちゃって」

「そうだぞ藍!年下に行かせていいのか?」

「はははっ」

藍さんは涼しい顔で笑って受け流してしまい、反抗は無意味と化した。

藍さんも、この暑さの中わざわざ買い出しには行きたくなかったのかもしれない。

残るは星渚さん、高瀬さん、強制参加させられた私。

どうしよう、星渚さん目が笑ってないよ買い出し行かせちゃいけない気がする。

「俺は変態女と買い出しなんか行かないからな!美味しいこと何もねえわ」

「私だって、碧音君と買い出し行きたかったです。碧音君だって照れちゃって素直に行こうって言わないだけなんですよ」

「どんな解釈の仕方してるんだお前は」

本日何度目かの蔑んだ視線、いただきました。溜め息を吐く物憂気な雰囲気が、堪らない。うっとり碧音君を見つめたら傍に置いてあったティッシュの箱の角で叩かれたけど。

「明日歌ちゃん、手出して」

「はい!」

「いくよ。じゃんけん、ぽん」

「「「……」」」

まさに、三者三様のリアクションだったに違いない。


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