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しおりを挟む「なあ、どうして俺が買い出しだと思う?」
「高瀬さんと私がじゃんけんで負けたからです」
そう、負けたのは私達。
だからコンビニまでの道のりを炎天下の中、文句たらたらで歩いているのだ。
コンクリートからの照り返しも加わり、日焼けしてるなぁと感じられる。
「まじあっつ……」
「暑いですね。でも私、夏好きですよ?」
「女子って普通汗かくの嫌なんじゃねえの?」
「メイクが崩れたりしますからね。私はあんまり気にしませんけど」
「そんな感じするわ、お前」
「そういう高瀬さんは夏が嫌いなんですか?」
「嫌いじゃないっつーか。春は花粉で無理、秋はジメジメした暑さだし、冬は寒いの駄目だから、消去法で夏」
「夏はいいですよ。特に今年は碧音君の鎖骨見れちゃいますし」
「助けてー、誰かこの変態女から助けてー」
わざとらしく、手をメガホン代わりにして棒読みする高瀬さん。
「変態って止めてもらえません?!私明日歌っていう名前がちゃんとあるんです」
「完全に名前負けだよな。お前の性格と合わない」
「若干自分でも思いますけど、それは置いといて!明日歌か橘で呼んでください」
高瀬さんは『お前、苗字橘っつーの?』今更な質問をしてきて殴りたくなった。
そのオシャレにセットされた髪型崩してさし上げましょうか。
「橘だと他人行儀だし、明日歌で」
「今度から変態はなしですよ?」
「明日歌が変態行動とるからだろ!」
「とりたくてとってるわけじゃないんです。不可抗力です」
同い年とは思えない色香を放つ碧音君がわるい。
「ついでに、お前も俺のこと高瀬さんじゃなくて別の呼び方しろよ」
「皐月さん?」
「呼び捨て」
「じゃあ、皐月」
遠慮がちに口にすると、オッケーと笑い指で丸を作った。軟骨ピアスが光で濡れたような、艶やかな輝きを放つ。
「見えてきましたね、コンビニ」
「案外遠いよなあ」
コンビニがあると分かった途端歩くペースが速くなり、涼しい店内へと駆け足で入った。
「涼しい天国」
「ずっとここに居てえ!」
外とは雲泥の差の快適な店内に癒されつつ、皆のお昼ご飯を選んでいく。
「碧音はパンだろー、藍もサンドウィッチ」
皐月は慣れた様子で、まずはパンコーナーに。
迷うことなく商品を手に取るんだから、仲間の好みは理解しきっているんだろう。
パンを選び終わると、次に向かうはお弁当コーナー。
「皐月は何食べるんですか?」
「俺は肉だな肉!」
うん、とても皐月っぽい。星渚さんはミートソーススパゲッティかな……あ、当たった。
菜流の得意料理がミートソーススパゲッティで、たまに星渚さんに作ってあげていると嬉しそうに話していたから。味がどうかは別として。
菜流は何せ料理が不得手なのだ。でも星渚さんにとったら関係ないんだろうな。
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