群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「お前、課題なんて持ってきてるのかよ!」

「はい、課題を溜めないって誓ったので」

練習が終了し、各々楽器を片付けてる間に雑談。皐月が物珍しそうに数学の問題集をパラパラ捲っている。

「碧音君は課題やった?」

「やる予定」

「ははっ。刹那は課題ためるタイプだから。ね?」

星渚さんがからかって碧音君の背中を叩く。碧音君は自覚があるのか言い返さない。

「明日歌ちゃん、数学なら藍に聞くといいよ」

「藍さん数学得意なんですか?」

「うん。藍は理系だし」

「……ねえ、藍は?」

碧音君の言葉で、藍さんが居ないことに気づく。そう言えばさっきまでいたのに、いつの間にか居なくなっている。

「私、探してきます」

「ほんと?俺らここで待ってるから。帰るよーって伝えて」

「はい」

休憩室を出て、先ずはどこへ行ったのか考えて思いついた場所を探す。

もう1つのスタジオには居ないし、廊下も歩いてないし……受け付け?向かう方向を変え受け付けに行くも、姿はなかった。

藍さんが行き先を告げずふらふらするなんて、珍しい。

大体誰かしらに声をかけているのに。なんて思いつつ、一応外に出てるかもしれないと自動ドアを通り抜けると。

「あ、いた」

見慣れた背中を見つけ、声をかけようとした―――けど、出来なかった。

藍さんが、知らない人と喋っているから。雰囲気は藍さんよりは幼く、多分私より年上。

「今日は家に帰ってこいよ」

「は?どうでもいい」

あれ、この人。

「どうでもいいってなあ。母さん夕飯作って待ってるんだぞ」

「へぇ。お疲れ様」

大人っぽいお洒落な服装、藍さんよりも明るめのマロンブラウンの髪で、少したれ目。

「2、3日も帰ってこないのは、まずいだろ?」

「あんたに言われる筋合いないから」

この人、もの凄く藍さんに似てる。

喋り方は刺々しいし、藍さんのような柔和で穏やかなオーラは出てないけど、見た目が似ているのだ。

藍さんが高校生くらいだったら、こんな感じなんじゃないかと思う。

「明日は?」

「さあ」

「連絡はしとけ。な?」

藍さんの話に耳を傾けず、スマホを弄る男の子。

「あんたはまたあの女のとこ行くんだろ?」

「結人っ」

「毎日毎日、飽きないよねあんた」

これは長くなりそうだ。星渚さん達に言いに行こう、と静かに戻ろうとした。

「……待たせてるよ、人」

「え?」

のに。男の子に気づかれてしまい、振り返った藍さんとバッチリ目が合う。

「じゃ」

「ゆ、いとっ。待っ……」

結人という名前の男の子は藍さんに見向きもしないで電話しながら去っていってしまった。

「あの、藍さん」

「いつから居たの?」

「藍さんが家に帰ってこいって話してる辺りから、です。ごめんなさい、声をかけるタイミングが掴めなくて」

そう言うと藍さんは怒るわけでもなく、困ったように笑った。

「あれ、俺の弟」

「似てると思った」

やはり2人は兄弟だった。でも正直、仲が良さそうには見えなかったけど。


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