群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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【第5章 大切なもの】

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「やっべ……眠い」

「飯食ったら眠くなるって、小学生なのー?皐月」

「人間の摂理なんだよ」

何を言っても、どう反論しても上手く言い包められると分かっているのに、星渚さんに挑む皐月。

カチャカチャ食器を洗いながら、その様子を眺める。

昨日は私と藍さんが帰った後深夜12時までみっちり練習し、更に今日も朝早くから練習したと言うんだから、皆相当疲れが溜まっているはず。

気力で乗り越えると、主に皐月が意気込んでいた。

碧音君すっごく眠そうだけどね。昼ご飯食べてる最中にぼーっとして、顔面お味噌汁に突っ込むところだったけどね。

ピンポーン、ピンポーン。

「誰ですかね?」

来客を知らせるチャイムの音に、玄関の方に視線が注がれる。

「俺が行く」

重い腰を上げ、玄関に向かった碧音君。

できれば、今の無表情を愛想笑いに変えて相手に接した方がいいと思います。

「宅配かなぁ?」

「叔母さん達がお土産だけ先に送ってきたのかも」

「グアムっつったら何だろうな?」

星渚さん、藍さんに皐月が色々と予測しているけれど、数十秒後に現れたのは。

「星渚ー!!会いたかったぁ」

「菜流!」

バンッ、スライドドアを勢いよく開けて私には目もくれず、星渚さんに抱きついた菜流。

え?え、な、何故菜流がいるの?

恐らくこの場にいる本人を除いた全員、疑問に思ったに違いない。

皐月も藍さんも珍しくきょとん、としていて。戻ってきた碧音君は明らさまに『こいつか…』と、顔に出ている。

「本当はね?星渚がいなくても3日くらい我慢しようとしたんだよ。でも……、やっぱり寂しくなっちゃって」

「そんなの俺も同じだよ。会いたかった、菜流」

感動的なドラマのエンディングでも、BGMとして流れてきそうな2人の空間。

菜流が潤んだ瞳でひしっと抱きつき、星渚さんも嬉々とした表情で抱きしめ返している。

……この疎外感はどうしたらいいんだ。

私達は2人にとったら、もはや空気同然と化した。

「星渚と1回も話さないで終わる日が続くなんて、耐えられないもん」

「そのために会えない時は電話してるじゃん」

「ダメ。ちゃんと、直接話さないと」

「……菜流可愛い」

バカップルがいる。どうしようもないバカップルがいます助けて。

「星渚、ご飯食べてる?しっかり寝てる?私心……ぱ……明日歌?!」

「やっと気づいてもらえた」

良かった。いつまで空気と同化していればいいのかなって思ってた。虚しかった。菜流は大きな目をパチパチさせて、私に詰め寄る。

「明日歌、何してるの?めっちゃ馴染んでるけど」

「合宿中皆のご飯作りに来てるんだよ。その分、演奏聞かせてもらってるんだ」

簡潔にポイントをかい摘んで説明すると、『明日歌がご飯作ってるなら、安心だね』嬉しいことを言ってくれた。

「菜流こそ、碧音君の家知ってたんだ?」

「一回通り過ぎたことはあったし星渚から教えてもらってたから」

「おい、日に日に酷くなってるブラコンをどうにかした方がいいんじゃねまじで」

「皐月ってば、久しぶりに会ったのに第一声がそれ?」

「言いたくもなるだろ!」

今回は皐月と同感である。

「あれ。菜流、髪型変えた?」

「そう。可愛いでしょ」

藍さんの言葉に声を弾ませ、くるり、1回転してみせた。髪が綺麗に靡く。

「藍より俺が先に分かったけどね」

意地を張る必要ないよね、星渚さん。

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