群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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【第7章 揺れる想い】

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「うわー、もうこんなに並んでる。皆何時に来てるんだろう」

「これでも早く来た方だけど」

遂にやってきた、ライブ当日。

早朝から準備してなるべく急いで来たものの、会場入り口には既に人集りが。

入場は約1時間後だというのに。私達も、列の最後尾に並んだ。

「どうしよう、楽しみ過ぎて心臓が口から出てきそう」

「バカなの?」

「そわそわする」

「落ち着いてね」

菜流はサラリとあしらって、周りに視線を泳がせる。

「はぁ。星渚、まだ来ない」

「ああ、一度ここに来るって言ってたんだよね」

皆はエントリーとか色々やることがあるから、と私達より先に会場に着いている。私も始まる前に、碧音君に会いたい。

「晴れてくれたのは良いけどさぁ、あっつい」

朝からジリジリと容赦なく照りつける太陽が、眩しくて仕方ない。

雨が降るよりかはマシなんだろうけど。体力が奪われそう。

「こんな暑い中ライブやるとさ、観る側よりも演奏する側の方が何かと大変じゃん?もし熱中症になっちゃったらどうしよう……」

ブラコン発動、と言いたいところだけどこれについてはブラコン関係なく心配になる。

「星渚、菜流のこと見たら絶対いつもの倍以上気合い出してくれるよ。だからその勢いで熱中症もぶっ飛ばせるんじゃないかな」

「ん?今何て言った?星渚って呼び捨てしたよね」

ヒヤリ、あの星渚と同じ笑ってるのに背筋が凍るような冷たい眼差しに早変わり。

愛する兄のことを思いしおらしい姿になっていたさっきまでの菜流はいずこへ。

あれ、私達の周りだけ気温が下がった気がするんだけど。

「呼び捨てにしていいの私だけだよ?分かってるはずだけど?」

ポン、肩に添えられた手に力が込められていく。

「いや、これはですね?合宿の時にさん付けで呼ばれるのは変な感じがするからって言われて。じゃあ、呼び捨てでっていう流れに」

「へーえ?」

地味に脇腹に団扇をのめり込ませようとするの止めて。

「で、でもやっぱり私星渚さんって呼ぼうかな?その方がしっくりくるしなあ!」

「うん!それが良いと思う」

一瞬にして、可愛らしい笑顔に戻った菜流。背後に漂わせていた暗黒のオーラが消え、ほっと胸を撫で下ろす。

危なかった。大切なライブの前に、生命の危機を回避できて良かった。

「なーに2人で騒いでんの」

「あ!星渚!」

ぎゅぅぅう、突然現れた星渚さんに菜流は熱い抱擁。私といる時より声が1トーン高くなってるよ。

「星渚ー、遅い」

「ごめん、エントリーに時間がかかって」

爽やかな王子様スマイルに、近くにいた女子が数名顔を赤らめた。

「おっすー、久しぶりだな菜流……と、変態」

「年上じゃなかったら殴ってる」

この口の悪い男に対しても目を輝かせる女性の方々がいることが、不思議でならない。

『あれ、midnightの高瀬さんじゃない?』『やったー。こんな近くで会えちゃった』と、コソコソ小声で話す声。

「碧音君はいないの?」

「てめえは俺が来てやったことに喜べ」

「碧音君は?」

「シバくぞ」

皐月が言うと現実味があり過ぎて怖い。

「碧音と藍は控え室にいんだよ」

何だかんだ律儀に答えてくれるよね皐月って。

『ねえあの子誰?皐月さんの知り合い?』『まさか彼女?』『ないない。つり合ってないじゃん』とクスクス笑いながら後方で話すお姉様方。

バッチリ聞こえてます。色々失礼だ。

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