群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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甘いだけじゃなく、エッジの効いた歌い方もするのだ。

「――One lie makes many――」

嘘が嘘を生む、か。

皆の曲は綺麗事ばかりの歌詞じゃないから、心にグッと突き刺さる。

藍は手元よりも観客の方を見て、笑ってくれている。その微笑みで今数十人はハートを射抜かれたと思う。

皐月も、ここぞとばかりにはっちゃけて楽しそう。まだ1曲目なのに、ガンガン飛ばしてくよね。

ギリギリまで観客に近づき、ベースを操っていた。

「ぎゃぁあー!星渚が私にウィンクした!」

「な、菜流ぐるじい」

星渚さんがウィンクしてくれたことを喜ぶ菜流は、思い切り私に抱きついてきた。

うん、分かった分かったから。骨折れちゃう。

「星渚超格好良い……!」

うっとりとした溜め息を吐く。何度も言うけどこれ、1曲目だらね。

気を取り直して、ステージを見上げる。

ああ、やっぱり演奏してる時が1番嬉しそう、碧音君。

黒髪をフワリと揺らしながら、全身を使いドラムを叩いている。

これだけの熱気に包まれ気分が高揚する中でも、勢いでリズムを早めてしまったりしないのが碧音君だ。

「――Tell me why――」

「……っきゃー!!」

「midnightー!もっと歌って」

「最高っ。格好良い!」

歌い終わると同時に、耳をつん裂く歓喜の叫び。私も興奮して一緒に叫んでしまう。

だって、皆凄く輝いて見えるから。合宿の成果は十分発揮されたようだ。

次の曲は?と全員ソワソワして待つ。

「Next is ……―ッCalling!」

あ、この曲私の意見が採用されたやつだ。あの時の負のオーラとどんよりした空気は今でも忘れられないけど。

「――聴かせてよ、君の声。僕を呼んで――」

これも格好良くて気分が上がる曲。そして、私の意見で変えられた部分になった時。

私の勘違いかもしれないけれど、碧音君が私に笑顔を向けてくれた気がした。

……私が碧音君を見つめ過ぎてたせいかな?でも、自惚れさせて欲しい。

「碧音君」

今は何にも囚われず、無邪気な子供のような碧音君。

色気を漂わせる大人な雰囲気の碧音君も好きだけど、こういう表情も好きだなあ。とか思ったりして。


そしてあっと言う間に3曲目、4曲目が終わり、投票タイム。

「まだ心臓ドキドキしてる!」

「私も。星渚好き大好き、さすが私のお兄ちゃん。歌のレベルまた上がってたし」

私も菜流もライブの興奮が冷めず、キャーキャー言い合う。

「絶対アンコールで別の曲聞きたいな」

「星渚達がアンコールに呼ばれなかったら、私運営委員ぶっ飛ばす」

「それだけは止めようね」

ぶっ飛ばしに行っちゃダメだろ。菜流ならやりそうで怖いんだけど。

「今すぐ皆に会いに行って、この気持ち伝えたい」

すごかったよ、って。直接言いたいんだ。

碧音君を抱き締めてギュウッとしたいけど、これは蹴り飛ばされて終わりな気がする。

「よし、投票完了」

「後は待つだけだねー」

結果が発表されるまでの間、気が気じゃなかったのは言うまでもない。


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