群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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そして、さっさと廊下を歩いていく碧音君の後ろについて玄関へ。

碧音君、来た時は学校に慣れてないしとか知らねえしって言っていたわりには、ちゃんと方向分かってるじゃないか。

「碧音君、イベントの日までに先輩と合わせて仕上げられそう?」

練習して、碧音君はどう思った?

「残り数日、みっちり練習したら何とかなる」

「残り5日かあ」

「リズム合わせるのに1日使うとは思わなかった」

チッ、舌打ちして声を尖らせる。ああほら、側にいた女の子ビクッとしちゃったよ。ごめんね悪気はないんです。

「でも、私先輩のバンド好きだよ。こう、全力でぶつかってる感じ」

ひんやり涼しかった校舎から外に出ると、元気過ぎる太陽が燦々と照りつける。

「やる気はあっても技術が伴わないと意味ねえの」

「大丈夫、碧音君がいるもん」

「はっ。他人事かよ」

「先生ー!刹那君が意地悪します先生ー!」

「どこにもいないだろ。お前の1人コントにも飽きてきたわ」

いや好きでやってるんじゃないけどね。皆突っ込んでくれないから結果的に1人コントになっちゃうんだよね。

突っ込みに笑っていると、碧音君が急に自販機の前で立ち止まった。

「どれにしよう」

自販機のボタンに指を這わせ、炭酸を買うかお茶を買うかで迷っている様子。

最終的に炭酸を選んだようで、そのままプシュッとペットボトルのキャップを開けると思っていた私に。

「ん。やる」

「わっ!冷た」

ペットボトルを私に放り投げてきた。もしかして、持ってるの面倒臭いからお前持つ係な、とか言ってくるんじゃ……。

「それ、お前の。俺はお茶」

またお金を投入し買った麦茶を振ってみせる。薄茶色の液体がチャプンと揺れた。

「ありがたいです。が、しかし!碧音君の親切な行動の裏には何かがある気がしてならない」

「下らないこと言うやつにはあげない。没収、返せ」

「いっ、いる!飲ませてください」

碧音君は『冗談だっつーの』と吐き捨て、自分のペットボトルをグイッと煽った。

上下する喉仏にこれ程まで色気を感じたことはあっただろうか。

「ねえ、少し先に行ったとこにベンチあるよ。座らない?」

「ちょうど木陰だ」

木陰の下にポツンと1つ設置されているベンチに腰かけた。はあ、涼しい。時折そよそよ吹く風も気持ちよくて満足。

「碧音君、何で買ってくれたの?」

「何で、って」

私、碧音君に優しくされた記憶が乏しいから疑問に思っちゃうんだよね。これもこれで切ない。

「もし俺が自分の分のお茶だけ買って飲んでたらお前『私も喉渇いたな。飲みたいなー』っつって俺のやつ飲みたがるだろ絶対。そんで『間接キスした』って騒ぐんだろ絶対」

「うわあ見事に的を得てる!!見透かされた気分!」

「それを防ぐための予防策だよ。思いついた」

図星である。私ならやりかねない。

さっきはそういうことを考える前に碧音君が私の分も買ってくれたから大丈夫だったけど、そうじゃなければ完璧に行動していたはず。

「しかし、美少年と間接キスが出来たのならそれはそれでアリだった気が……」

「残念でした」

目を細め、緩く口角をあげる。あ、機嫌が良い時の顔だ。

「お前、油断も隙もねえな」

「不可抗力なんだけどね」

「抗ってみせろよ」

でもね、予防策のためとは言え私に選んでくれたレモンスカッシュ、私が好きな飲み物だよ。


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