群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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中学に上がった2年目の頃には、既に家族が家族じゃなくなってた。

お父さんとお母さんは昔から変わらないけど、結人も大きくなって友達と遊ぶことが増えた。

俺も部活があり必然的に帰りも遅くなるし休みの日は出かける。バラバラなんだ、皆。

「今日の練習きつ過ぎじゃね?」

「俺歩けないチャリ乗っけてって」

「バカ、自分の足で帰れ」

部活の仲間がゾロゾロ集団を作り帰っていく中、俺はまだ練習するために残る。

「牧田、お前も支度して帰りなさい」

「いえ。あと少しでもいいのでやらせてください」

「牧田は真面目だな。大した奴だ」

ありがとうございますと愛想よく万人受けする笑顔を顔に貼りつける。

部活の顧問の前では居残り練習する理由はもっと上手くなりたいからです、とか言っているけど本当は単に家に帰りたくないから。

雑念を払い集中して練習に取り組み、時間いっぱいやり続けた。毎日これを繰り返す。

小学校の時は友達とただ遊んでいた時間が部活に代わっただけに過ぎない。




――――――――――


―――……



「牧田!誕生日おめでとう」

「さんきゅー」

「藍、今日誕生日なんだってな!これやるよ」

「似顔絵?下手くそ。ルーズリーフがもったいない」

朝教室に入ると次々に誕生日おめでとうと声を投げかけられた。親よりも先におめでとうと祝われる誕生日。

今更気にすることでもないんだけどさ、慣れたし。

眠たくなるような授業をやり過ごし、待ちに待った放課後。珍しく部活が休みになったため、久しぶりに1番仲の良い友達の家で遊ぶことに。

「なあ、藍誕生日なのに俺ん家にいていいのか?」

「んー。全然オッケー」

「外食しに行くとかないのか?」

「んー。しない……隙あり」

「あっ、くそ!」

ピコピコゲーム機を弄りゲームに没頭する。友達の話に耳を傾け返事をしつつも、ゲームメイクを疎かにはしない。

逆にこいつはそれが出来ないから意識がどちらか一方に集中する、そこを狙ってやった。

「はい、俺の勝ち」

「んだよ。また藍に負けた!」

「連勝記録更新中。優希のおかげで」

「だあー!俺の連敗記録が……」

本気で悔しがる優希が面白くて笑ってしまう。

お前は分かりやすいから次の攻撃が手に取るように分かるんだよ。俺が特別強いっていうより、優希が弱い。

「で、でも今回の負けは藍のためにわざと!わざと負けたんだぞ」

「じゃあさっきの落ち込み様は何。真面目に悔しいんだろ」

「ちげえし!今日は藍の誕生日だから勝利をプレゼントしてあげたっつーことだ」

「そんなへぼいプレゼントいらないわ」

苦し紛れに突然思いついたであろう言い訳を口にする優希にデコピン。

「今額割れるかと思った!」

「大げさ」

下らないことで散々2人で笑いあった。笑い疲れて、ゴロンと床に寝転がり天井を仰ぐ。

「藍ってさあ、周りからは落ち着いてるよねって言われるけど実は全然はしゃぐし俺らと変わんねえよな」

「優希よりかは大人だと思ってる」

「否定出来ない」

自分で大人っぽく振る舞おうとはしてないけど、どうしてか周りにはそう思われてるらしい。

俺まだ中学生ですよ。長男だから?……あまり関係なさそうだ。

「お前が良ければ、夕飯家で食べてく?」

「まじ?」

「おう。食ってけ」

優希には少し家の事情を打ち明けたことがある、だから気を遣ってくれたのかもしれない。

素直に好意を受け取っておく。

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