群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

文字の大きさ
90 / 155

【第15章 夜の碧に散る華の】

しおりを挟む




「この時期に花火できるとは思わなかった!楽しみ」

「いよいよ秋だからね。まあそれもアリなんじゃん」

「俺達くらいだろ、花火やろうとしてんの」

私、菜流、碧音君で授業が終わったあと待ち合わせして、そのまま3人でスタジオ近くの川岸へ向かう。

星渚さんが昨日『バイト先の夏限定キャンペーンで、子供には無料で花火のパックをプレゼントする企画をやってたんだけど思いの外在庫余っちゃったから店長がくれたの。で、良かったら皆で花火やらない?』

と提案してくれたことにより、プチ花火大会を決行することに。

手持ち花火だけだと迫力がないからと皐月が打ち上げ花火も持ってきてくれる予定だから、6人で花火をやっても十分足りる量。

川岸に着くと、すでに星渚さん、藍、皐月が揃っていた。

星渚さんと皐月はバイト終わりで藍は午前からの講義を終わらせてそのまま直行してきたらしい。タフだな。

「おー来たかよ高校生3人組」

「皐月、もう花火の袋開けてるってどんだけ楽しみにしてたの!」

「いいじゃねぇか早くやりたいんだよ!」

「まだ暗くなるの待った方がいいけどね」

前より暗くなるのは早くなったといっても、まだ太陽が沈みきっていない。

「星渚ー!バイトお疲れ様!」

坂を駆け下りてバッ!と星渚さんの胸へ飛び込む。

「菜流も学校お疲れ様。授業ちゃんと居眠りしないで受けた?」

「当たり前じゃん。真面目に受けたよ」

「えらいえらい」

毎度この兄妹は同じことをやっていて飽きないのか。

藍と碧音君はさすがのスル―スキルで花火を袋から開ける作業を始めるから私も手伝う。

皐月はバケツで水を汲みに行って戻ってきてから私達が袋からあけた花火をまとめていってくれる。

季節外れだとしても、このメンツで花火できるなんて楽しいな。青春だ。

「さ。準備も整ったところで花火大会始めよっかー」

いつの間にか2人の世界から戻ってきた星渚さんがウィンクする。実際ほとんど準備したのは私達ですけどね?!とは言わないでおく。

その奔放なところが星渚さんだ。

「打ち上げ花火やろうぜ!すげえやつドーンと」

「いいねぇ」

怖いんだけど。危険な花火大会になりそうで不安なんだけど。

「明日歌は花火どれにする?私はこのカラフルなやつ」

「んー、じゃあこれにしようかな」

手持ち花火の中から、3色に色が変わるやつを選び藍が準備してくれた焚き火に先端を入れて着火。

「綺麗だね、菜流!」

「ね!火の色が青から緑になった」

シューッと燃えて眩い光を放つ花火は、深い紺色の空によく映えた。

「刹那、これ持ってみ」

「何の花火?」

「変わったやつらしいよ」

星渚さんが碧音君に可愛らしい怪獣のイラストが描かれた持ち手のある花火を渡して、火をつける。

着火すると、赤くて雪の結晶みたいな形の花火が散った。

「怪獣が火吹いてるように見えるってことか」

「みたいだね」

そして次は黄色の火に変わり、燃える勢いが増す。

「ははっ、うける」

「怪獣のイラストが可愛い割りには結構迫力あるじゃん」

碧音君は怪獣の花火がお気に召したのか、満足気な様子。

星渚さんは、普通の花火よりも変わったやつの方が碧音君も楽しめると思ってやらせたのかも。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

~後宮のやり直し巫女~私が本当の巫女ですが、謂れのない罪で処刑されたので後宮で人生をやり直すことにしました

深水えいな
キャラ文芸
明琳は国を統べる最高位の巫女、炎巫の候補となりながらも謂れのない罪で処刑されてしまう。死の淵で「お前が本物の炎巫だ。このままだと国が乱れる」と謎の美青年・天翼に言われ人生をやり直すことに。しかし巫女として四度人生をやり直すもののうまくいかず、次の人生では女官として後宮入りすることに。そこで待っていたのは後宮で巻き起こる怪事件と女性と見まごうばかりの美貌の宦官、誠羽で――今度の人生は、いつもと違う!?

処理中です...