群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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―――――――――


――……



何だ、あれ。

第四四角形を教えてやってるのに明日歌はどこに星があるか見当がつかないみたいで、もう少し丁寧に説明するかと後ろを向いたら。

明日歌と僅か数センチしか離れていない近さで目が合ってしまい。

時間が、止まったと思った。

夜の深い色が明日歌の顔に影を落とす。そのせいだろうか、表情も雰囲気も大人っぽく見えて。

胸が締めつけられる間隔に陥る。澄んだあの双眸に映る俺は、一体どんな顔をしていたのか。

……否、知りたくもないけど。大体、明日歌も明日歌だ。

こいつの性格を考えると『星空の下で2人きりってロマンチックなシチュエーションとか憧れだったのに』と。

色々女として恥じらいを持てと言いたくなる発言を連発してくるだろうに、何も言ってこなかった。

こういう時にこそ言えよ。今お前のお花畑な頭を活かさないでどうする。

……だから余計こっちだって嫌でも意識すんだろ。

自分を落ち着けるため、明日歌に気づかれないよう浅く息を吐く。

この状況を見ていたのが空に瞬く星だけで心底良かった。もし皐月達に目撃されたら、今頃どうなっていたことか。

そっと手を頬に当てると、ほんのり熱を帯びていて。

ああ、なんだこれ。知らない、こんな感情は知らないのに。早く冷たい風に熱を冷まして欲しい。

「碧音ー、明日歌!お前ら何黄昏れてんだよ!」

呼ばれて焚き火の方を見ると皐月が大きく手を振っていた。

「今からラストの線香花火やるからこっち来いよ!」

「明日歌も刹那もおいで!」

「のんびりしてないで、チャッチャと動きな~」

「足元気をつけて転ばないようにな」

線香花火の前に俺と明日歌はまだ手持ち花火を持っている。それをやってしまわないと。

「碧音君、行こう!」

「うん」

明日歌がスクッと立ち早足で土手を下りていく。明ら様に動揺して、躓いて転びそうになってるし。

藍に気をつけろって今言われたっつーのに。

明日歌の後ろ姿に目をやりつつ、俺も柔らかい草を踏み皆のところへ向かう。

さっきのアレの時に感じた、胸の奥の奥の感情が突き動かされるようなものは何だ。

普段と違ったあいつの雰囲気にドキリとしたからでは、ないと思う。

知らない感情の名前を見つけるのは難しい。普通は経験して学んでくるものなのかもしれないけど、俺は分からずにここまで来てしまったから。

誰か知らない?答えが返ってこないと分かってて星に問いかけたのだった。


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