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EP.006 うつりゆく、その秘めた想い
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「さて、どうするのかしら?嬢ちゃん?」
「っ……」
ユミルは、レックスが自分やエミルをモードレッドから遠ざけようとしていたのは薄々知っていた。
だけど、今は色々と知るためにもモードレッドの協力が必要不可欠となる。
「……こっちも、条件があります」
「条件?」
「……父さんを救えたら、モードレッドさんの条件を呑みますっ!」
「ふふっ、……本当に“似てる”わねぇ…………いいわ、その条件で承諾してあげるわ」
モードレッドは、ユミルから離れて軽く笑ってから懐から一冊のボロボロのノートをユミルに手渡すと、ユミルはノートを受け取る。
「其処に、全てが書いてあるわ……この“くだらない仕組み”について全部ね」
ユミルはノートを開き、その中身を読んでいく。
其処に書かれている内容は、この世界の本質の内容が細かく書かれていた。
どうして、七罪の歌姫が存在していたのか。
“それは、世界の終わりと始まりを創らせるため”。
どうして、世界には“役割”が存在しているのか。
“それは、世界が終わっているのを見せないため”。
「これって、どういう事なの?」
「数年前、この世界は“救われなかった”からよ」
「でも、それはっ……」
「そう、レックスとヴィオラ……俺達が、この世界に現れた精霊獣を倒したってのが表の話ね」
モードレッドの話では、この世界に現れた精霊獣によって世界は驚異に曝されていた。
だが、それをレックスとヴィオラが阻止をしたからこそ今の平穏がある。
「でも、本当に精霊獣は“倒された”のかしらねぇ?」
「え?」
「精霊獣が健在で、こんな世界になっているとしたら……?」
「……精霊獣なら、世界の理を変えれる?」
ユミルは一つだけ、思い出した事があった。
“ユグドラ・テイルズ”は、“ループシステム”が存在していたのと同時に“枝葉システム”が存在していた。
「……別の“選択肢”……」
「そう、こういう世界があるって話ね……今があるのは、枝葉なのか本物なのか分からないって事よ」
「……なら、自力で“物語”を変える事も出来るよね?」
「嬢ちゃん、何を考えて……」
「モードレッドさん、協力して!もしかしたら、父さんを救える可能性があるのっ!」
ユミルは一つの可能性に賭ける事にしたのは、それは自身が持っている“絶対なる捕食者”の力と“再生”の力の可能性である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
そして、あっという間に一週間が経ってエミルとヴィオラが街を出ていった“あの日”。
父親であるレックスの身に起きた、“あの日”がやってきた夜の事である。
(もう少しすれば、モードレッドさんがやってくる……そうしたら、リビングに向かえば事が起きるはずっ)
ユミルは食器を片付けてから、廊下を歩いていると騒ぎ声がしてリビングへと向かう。
それは、“あの日”と同じだった。
少しだけ違うのは、あの緊迫な気配がないのとモードレッドの態度が違うという事である。
(よしっ……、やろう)
ユミルは影を見つめて、レックスの影へと繋ぐと同時にユミルは祈るように手を組んで瞳を閉じていた時だった。
レックスの影へと繋いだ影が、レックスの影を使い黒い手のようなモノを出してレックスに絡み付き、レックスを包んでいくとレックスが胸を押さえて苦しんでいる声がしてくる。
「モードレッドっ、どういうつもりなんだっ!!」
「いいから、大人しくしておきなさい」
「失敗なんて、此方は……させるわけにはいかないのよ?」
「っ、ぁ……!?」
レックスは刀を取り出して、黒い手のようなモノを切り裂こうとしたのだが扉の前に立っているユミルを見つけて、ユミルが強い眼差しで見つめているのを見て動きを止めた時だった。
ユミルの影から、黒い狼の顔が現れて飛び出してきてレックスを丸呑みしたのである。
(次は、レックスから“呪詞”を喰らってっ……んで、その中で“再生”を使うっ)
ー頼む、上手くいってくれっ!!!ー
暫くしてから、黒い狼は吐き出すかのようにレックスを出して床に落とすとモードレッドがレックスに近寄り、レックスに触れて“呪詞”の確認をしている。
「…………本当に、どうにかしたわねぇ……嬢ちゃん」
「上手く、いった……の?」
「レックスから、“呪詞”の気配が消えたのと同時にレックスに再び“暴食”がついてる……しかも、悪い気配もないわ」
「良かったっ……、これで……」
ユミルはモードレッドの話を聞いて、安心したのかソファの側面に寄りかかるようにして倒れ込むと同時に、自身の身体の異変に気付く。
「っ……」
「嬢ちゃん……っ?」
「っ……身体が、……熱いっ……」
ユミルは、身体中に駆け巡る何かを感じて身体が熱くなり変な感じがしていた。
「やっぱり、……俺と同じってわけね」
「モードレッド、さん?」
「レックスは、まだ起きる気配はないわね?嬢ちゃん、嫌かもしれないけど……赦して頂戴ね?これは、応急処置の一つだから」
モードレッドは、レックスを床に寝かしてからユミルへと近寄りユミルに覆い被さるようにして、ユミルの頬を両手で触れてからユミルへと口付けを交わす。
「っ!?」
ユミルは驚いていたが、モードレッドが深い口付けをしながら舌を絡ませてきた時に身体を駆け巡る何かが、落ち着きを取り戻していくのを感じて抵抗をするのを止める。
「っ、ふ……っ」
それは、何れぐらいの時間が経ったのか分からなかったが身体の異変は消えてモードレッドがユミルから離れると、ユミルは床に座り込み荒れた呼吸を整えていた。
「落ち着いたかしら?嬢ちゃん」
「っ……、は、い…………熱いのも、消えたみたい……」
「良かったわ、あのままにしていたら……嬢ちゃんは、破壊衝動に呑まれる所だったわ」
「え……っ?」
「とりあえず、ご苦労様だったわ……疲れたでしょ?今は、寝なさいな」
「……うん……」
ユミルがモードレッドに寄りかかり、直ぐに寝息を立てて眠ってしまうとモードレッドをユミルを優しく抱きしめて、大切なものでも触れるようにユミルの頬を優しく触れる。
「……余計に、欲しくなっちゃったじゃない……あぁ、そうね……気付きたくはなかったけど、最初は違ったのにね」
モードレッドは、レックスの傍らに立っているユミルに瓜二つで“真っ白な少女”を優しい眼差しで見ていると、その少女は優しく微笑んでいた。
「……俺も、変われるかしらね……」
《変われるよ、“ーーーー”なら》
「そうね、貴女も応援してくれるかしら?」
《うん、“ーーーー”の幸せこそ私の幸せの一つだから……》
「変われたら、俺は……お前を“殺せる”か?」
《うん、変われたら“ーーーー”は私を殺せるよ》
ーだから、必ず“殺し”に来てねー
真っ白な少女は、モードレッドの目の前に立ってから嬉しそうに笑ってから消えていく。
「……これからが、大変ねぇ……嬢ちゃんも、俺も…………世界も、ね」
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