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孤独な錬金術師
第十三話 車内に充満するもの
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「……ご主人様、私も街に行ってみたいです」
行為中以外は引っ込み思案で、比較的主張の少ないイチカが、俺の袖を引っ張りながらそう言った。
「別に構わないが……どうしたんだ? 何か欲しいものでもあるのか?」
正直気乗りはしない。人前に出るなどそうそうしたくはない。だが頼まれると断れもしないのが俺という人間だ。
この前買い忘れたものがあっただろうか、そう思い返していると、イチカが続けて言った。
「……お姉さまが凄いって。おいしいものや、人がたくさんいるって言ってたんです」
「だから私も……行ってみたいです」
イチカは申し訳なさそうな、それでいて期待しているような顔で言った。
俺はというと、まつ毛長いな……とイチカの顔を見てそう思っていた。
要するに嫉妬である。「お姉さまだけずるい」と言いたいのだ。恐らくはレームが俺との買い物について色々話し、それを羨ましく思ったのだろう。レーム自体この前初めて街に行ったのだ。きっと感動したに違いない。そしてそれを面白おかしくしゃべったのだろう。もしかすると俺に良くしてもらった、という言い方をしたのかもしれない。
イチカは少し嫉妬深い気がする。張り合うというほどではないが、ことあるごとに差を気にしているようだ。胸はその典型である。俺としては個人差であり、別に卑下する必要はないと思うのだが。
「仕方ないな。三人で行くか」
その返答を聞き、イチカは満面の笑顔をこちらに向ける。
美しく整った顔だが、まだ幼さが残っている。いつも笑顔でいればいいのにと思った。イチカはどちらかと言えば暗い表情や真顔の方が多い。
「よかったですね。イチカ」
会話を聞いていたのか、レームはそう言いながら部屋に入ってくる。
この部屋は客間に当たる部分だ。普段俺がだらだらと過ごしている部分でもある。なにせ客など来ないのだから客間は必要ない。
「今から行くか? 別に予定があるわけではないし」
嫌なことはさっさと済ませるのに限る。
うんうん、と二人は大きく、嬉しそうにうなずいた。
行きの車の中、イチカはワクワクした様子で外を眺めていた。
イチカからすれば初めての城の外だ。無理もないだろうと思った。
レームといえばお姉さんの余裕を見せつけている。彼女もまだ一回しか外に出たことはないというのに。
通常の馬車よりも圧倒的に速いと言えど、街まではおよそ一時間はかかる。
この短期間で二度も着ることになるとは……と自分の服を見て思う。
無駄に重く、街に行く分には少々気張った格好だ。だが俺自身は殆ど服を持っていない。城の中で着ているようなものばかりで、人前に出れるような服ではない。ちなみに、この服だけで三着ある。実験途中で汚れたりするので予備は用意してあった。
「す、すごいです、城の外がこんなふうになっているなんて」
イチカは興奮しているようで、さほど見るものなんてないはずの荒野を見ている。
これからは少し外にも出してやるべきか、と嫌々ながらも思う。俺は人づきあいが苦手でも、レームは少なくともそうではない。
この前の服屋でも店員と仲良く話せていたし、俺よりもよほど社交性が高い。
二人が今着ている服はこの前買った服だ。
レームは真っ白なドレス風のワンピース、イチカは金の髪色に似あう水色のワンピースだ。全体的にフリフリとしていて二人とも露出は少ない。
上品な様子で、それは貴族的というか高貴さが垣間見えるようだった。イチカは子供らしい様子だ。高い金を出した分なのか、彼女たちの容姿のせいなのか、やはりどこかの御令嬢、というようにしか見えない。これでは俺自身が見劣りしてしまっているのでは、と思う。
「……す、すごい」
車を隠して、街の入り口に到着する。
そして街の門を通ると、イチカが感動した様子でそう呟いた。
この街はそれほど大きいとは言えない。多少距離があるとはいえ、すぐそばに荒野が広がっているような街なのだ。それでも彼女たちには城よりも大きな大都会に見えるのだろう。
「イチカ、あまりはしゃいではいけませんよ。ご主人様にご迷惑がかかるのですから」
レームはそう言ってイチカを嗜める。姉としての矜持だろうか。だが緊張しているのだろう。二人は俺の袖をつかむ。両方の袖が彼女たちに占拠され、少々歩きにくい。
悪い気分ではないのだが……これは。
注目される。これはまさしく好奇の目だろう。一人は子供とはいえ、美女を二人も侍らせて歩いているのだ。男どもは血走った目で、今にも殴り掛かってきそうなものもいる、女はうっとりとした表情を浮かべているものもいた。
二人はきょろきょろと周囲を見回している。見たことがないものばかりだから仕方ない。だがその分人の視線というものには無頓着のようだ。嫉妬か怒りか、俺がその分視線を受け止めてしまう。こういう視線が嫌で城にずっといたというのに。
「あ、あそこに行ってみたい、です」
イチカが指さしたのは甘味処。レームから話を聞いていたのだろう。
ああ、行こうか、と言って二人を店に連れていく。道行く群衆から見られるのは不快だったので、店に入れるのは都合がいい。
この前と同じようにアイスを注文する。恐らくはこれに興味があるはずなのだ。
そのほかにもたくさん注文してみる。俺も知らないものがたくさんあり、数十年の間に世の中が変わっているのだと感じる。賢者の石によるとそれは「ケーキ」というものらしく、物によって形も味も違うのだという。恐らくは甘いパンのようなものだと想像した。
注文したものが来ると、テーブルは所狭しと甘味に埋め尽くされた。
胃もたれがしそうなほどの量で少し後悔する。
「……すごい」
「ええ、このようなものもあるんですね」
二人はまじまじと見ている。イチカも話に聞いているだけあって食べ物だと認識しているようだ。
「好きなものを食べていいんだぞ?」
俺がそういうと、じゃあこれを、とまずアイスを手に取った。
その後も二人は感動した様子で様々なものに口をつける。
二人で一皿を食べるような方法だ。単純に数を味わうなら効率がいい。
俺はというと全く食べる気が起きない。今の体は若いというのに精神がそれを拒むような感覚がある。
元の体だったら体調を悪くするようなものばかりだものな、と笑ってしまう。自分がこのような場所にいることも考えられなかったことだ。
街を散策していると様々なものが目に付く。
一昔前にはなかったような業種、例えば複数の種類の商品を扱う商店や娯楽品を売っている店などだ。
特に娯楽品というのは昔は限られた人間だけが手にできるようなものだった。貴族や王族、それに連なる騎士や魔術師などの権力者だけだ。それが今やこんな辺境の街でも手に入るとは。
平和になったんだな、と感慨深い気持ちになる。
物乞いもいない。昔ならそこら中にいたものだが。
ひとしきり街を見て回って、夕方になる。
空は赤く、少し肌寒い気温になってきた。色々なものを見てはしゃぎすぎたのか、イチカも元気を失い始めている。俺は疲れないが、イチカやレームにとっては十分に疲れたろう。
俺の両手には以前と同じように大量の袋がぶら下がっている。そのためイチカはレームの袖にしがみつき、おぼつかない足取りで歩いていた。
「だいぶ疲れてるみたいだな」
ふらふらのイチカを見て俺は呟く。それに対してレームはにっこりと笑う。
こうして歩いていると親子みたいだな、と思ったがそれは口にしない。レームの反応次第ではなんとなく涙腺が緩む気がしたから。
帰りの車内では「すーすー」と寝息を立て、小さく丸まりながらイチカは寝ていた。
こうしてみると本当に少女で、それに手を出していることにはやはり罪悪感がある。
「ご主人様、今日はありがとうございました。イチカの、私の我儘を聞いてくださって。本当は外出したくないのでしょうに」
「いや、いいんだ。俺も楽しかったよ。知識はあっても経験がないからな、俺は。街があんなに変わっているのを知っていても、見るまではやはり実感はなかった」
それは本心で、きっかけを与えてくれた二人には感謝している。
もし一人だったならば不老不死の体で、あの城が朽ちるまで孤独に過ごしていただろう。
「……やはりお優しいですね。私はご主人様のそういうところが好きです」
なっ、と小さく呻いて照れてしまう。殆ど言われたことがない言葉だ。蔑まれこそ、好かれることはなかった。
「お、俺もレームたちがいてくれてよかったと思ってる」
車内に微妙な空気が充満する。お互いに照れているような、そんな空気だ。
その沈黙を打ち破ったのはレームだった。
「ご主人様♡」
そう言いながら立ち上がり、俺の右隣に来る。
そして右手を俺の太ももに置き、そのままキスしてくる。
ゆっくりとねっとりと、糸を引くように甘ったるく。
舌を入れあい、絡ませあう。
お互いの唾液が混ざり合ってぬるぬる、ザラザラとした感触で口の中がいっぱいになる。
レームの口は甘く、それは先ほどの甘味のせいか、それともレームのものなのか、わからない。
頭がぼーっとして、思考がまとまらない。
「ん、ん♡」と小さく荒い息でレームは俺に体を預け始める。少しずつ体重を俺の方に寄せ、俺の上にまたがる。その間も口はつないだままだ。
レームが俺の首の後ろに両手を回し、俺はそれに答えるようにレームの腰に手を回す。
そして口を離し、俺の顔を見ている。離した口からは銀色のような糸が伝っていた。
「ご主人様、イチカは起きないようですので、このまま……♡」
車が街を出てからまだ数分だ。到着までにはあと一時間くらいある。
背中側のチャックを俺が下ろし、肩からするっとした感触で服を脱がす。
豊満な胸は下着に押さえつけられ、上からこぼれそうな形をしていた。
その状態の胸に顔を押し当て、「レーム」と名前を呼ぶ。
そうするとレームは俺の頭を撫でてくれる。イチカに見られていないときだけはこうして甘えられるのだ。流石に大の男が甘えている姿は見られたくない。矮小でもこれは俺のプライドだ。
心がほだされていくような、幸せな感覚を覚える。性的な欲求とはまた別のものだ。
「本当、甘えん坊さんなんですから……♡」
「……お前がこんなふうにしたんだ」
顔を上げないまま、俺はレームにそう返答した。よしよし♡といってまた頭を撫でる。
承認欲求というやつらしい。賢者の石が教えてくれたことだ。どうやら幼少期などの体験が大きいらしい。確かに、誰かに褒められたことなどない。
「もう入れたい」
俺の股間は既に天を突いている。勿論、レームはそれに気づいているだろう。
いくら服を着ていても、目立つ突起物であることは間違いないし、レームが密着している状態で勃起していなかったことなど殆どないのだ。
「私も欲しいです♡ いっぱい愛し合いましょうね♡」
レームは一旦立ち上がり、ワンピースと下着を完全に脱ぐ。俺は引っかかりのあるズボンをなんとか下ろし、完全に勃起したチンポを見せつける。
ちらっとイチカを見てみたが、まだぐっすりと寝ているようだ。音もなく忍び寄り観察しているイチカの印象が強く、今も見られているのではと思った。
「イチカが寝ているから、声は出さないようにしよう」
そういうとレームは再び俺の上に乗ってくる。
車の中は狭く、それでも床で行為に及ぶことは可能だが、今日は荷物があるためそれは叶わない。
座席に座ったままできる体位を選ぶ。いわゆる対面座位というやつだ。
にゅるるるる♡
俺の上に乗ってすぐに挿入を開始した。
我慢ができないというより、時間がないのだ。いつイチカが起きるともわからないし、何より一時間しかないのだ。普段の時間からすればないようなものだ。
「うぐ!」
思わず声を出す。自分から静かに、と言っておきながら、レームの膣内の感触に我慢が出来なかった。
当のレームは口を押さえ、荒い鼻息で快感を伝えている。
あ、と思ったのもつかの間、レームが締め付けを強くし、俺は一回も動くことなく射精してしまう。
レームのおっぱいに顔をうずめ、チンポから伝わる射精感を全身で味わう。
この二人の前では驚くほど早漏だ。もう何回したのかもわからないほどの回数をこなしているはずなのに、いつだって完全敗北してしまう。
だがそれはレームも同じようで、ぷるぷると全身を震わせて絶頂している。先ほどよりも鼻息は荒く、目には薄く涙すら浮かべている。
車内には性の匂いが充満している。それは二人が放出している体液の匂いであり、嗅ぎなれたものだ。
いつもよりも狭い場所のため、よりそれが顕著だった。
「も、もう一回……」
そう言って、今度は腰を突き上げる。二回目のため、最初よりは長持ちする。
ずんずん、とあまり音を立てないようにゆっくりと突き入れる。
顔はおっぱいにうずめたまま、レームのオマンコをしっかりと味わう。
にゅるにゅるとした感触で、ジョリジョリした内部構造が俺のチンポにしっかりと絡みついているのがわかる。まるで意志を持っているような動きで、いつもこれに敗北してしまうのだ。
奥まで突き入れ、動かすのをやめぐりぐりと押し付ける。
子宮がないのは知っているが、その手前側まではしっかりある。行き止まり地点をさらに奥へ奥へと押し込むように擦り付ける。
レームはこれが好きで、すぐに絶頂してしまう。キューッと締まりがよくなり、上下にグラインドするようにオマンコが動く。レームの呼吸に合わせるような動きで、俺は早くも第二射を放ってしまう。
お互いが声を出さずにするのは初めてで、鼻息だけで呼吸するような不思議な状況だった。
ただ、もっと!といっているのは伝わってくる。レームはそういう目をしていた。
勿論、やめるつもりなんてない。
行為中以外は引っ込み思案で、比較的主張の少ないイチカが、俺の袖を引っ張りながらそう言った。
「別に構わないが……どうしたんだ? 何か欲しいものでもあるのか?」
正直気乗りはしない。人前に出るなどそうそうしたくはない。だが頼まれると断れもしないのが俺という人間だ。
この前買い忘れたものがあっただろうか、そう思い返していると、イチカが続けて言った。
「……お姉さまが凄いって。おいしいものや、人がたくさんいるって言ってたんです」
「だから私も……行ってみたいです」
イチカは申し訳なさそうな、それでいて期待しているような顔で言った。
俺はというと、まつ毛長いな……とイチカの顔を見てそう思っていた。
要するに嫉妬である。「お姉さまだけずるい」と言いたいのだ。恐らくはレームが俺との買い物について色々話し、それを羨ましく思ったのだろう。レーム自体この前初めて街に行ったのだ。きっと感動したに違いない。そしてそれを面白おかしくしゃべったのだろう。もしかすると俺に良くしてもらった、という言い方をしたのかもしれない。
イチカは少し嫉妬深い気がする。張り合うというほどではないが、ことあるごとに差を気にしているようだ。胸はその典型である。俺としては個人差であり、別に卑下する必要はないと思うのだが。
「仕方ないな。三人で行くか」
その返答を聞き、イチカは満面の笑顔をこちらに向ける。
美しく整った顔だが、まだ幼さが残っている。いつも笑顔でいればいいのにと思った。イチカはどちらかと言えば暗い表情や真顔の方が多い。
「よかったですね。イチカ」
会話を聞いていたのか、レームはそう言いながら部屋に入ってくる。
この部屋は客間に当たる部分だ。普段俺がだらだらと過ごしている部分でもある。なにせ客など来ないのだから客間は必要ない。
「今から行くか? 別に予定があるわけではないし」
嫌なことはさっさと済ませるのに限る。
うんうん、と二人は大きく、嬉しそうにうなずいた。
行きの車の中、イチカはワクワクした様子で外を眺めていた。
イチカからすれば初めての城の外だ。無理もないだろうと思った。
レームといえばお姉さんの余裕を見せつけている。彼女もまだ一回しか外に出たことはないというのに。
通常の馬車よりも圧倒的に速いと言えど、街まではおよそ一時間はかかる。
この短期間で二度も着ることになるとは……と自分の服を見て思う。
無駄に重く、街に行く分には少々気張った格好だ。だが俺自身は殆ど服を持っていない。城の中で着ているようなものばかりで、人前に出れるような服ではない。ちなみに、この服だけで三着ある。実験途中で汚れたりするので予備は用意してあった。
「す、すごいです、城の外がこんなふうになっているなんて」
イチカは興奮しているようで、さほど見るものなんてないはずの荒野を見ている。
これからは少し外にも出してやるべきか、と嫌々ながらも思う。俺は人づきあいが苦手でも、レームは少なくともそうではない。
この前の服屋でも店員と仲良く話せていたし、俺よりもよほど社交性が高い。
二人が今着ている服はこの前買った服だ。
レームは真っ白なドレス風のワンピース、イチカは金の髪色に似あう水色のワンピースだ。全体的にフリフリとしていて二人とも露出は少ない。
上品な様子で、それは貴族的というか高貴さが垣間見えるようだった。イチカは子供らしい様子だ。高い金を出した分なのか、彼女たちの容姿のせいなのか、やはりどこかの御令嬢、というようにしか見えない。これでは俺自身が見劣りしてしまっているのでは、と思う。
「……す、すごい」
車を隠して、街の入り口に到着する。
そして街の門を通ると、イチカが感動した様子でそう呟いた。
この街はそれほど大きいとは言えない。多少距離があるとはいえ、すぐそばに荒野が広がっているような街なのだ。それでも彼女たちには城よりも大きな大都会に見えるのだろう。
「イチカ、あまりはしゃいではいけませんよ。ご主人様にご迷惑がかかるのですから」
レームはそう言ってイチカを嗜める。姉としての矜持だろうか。だが緊張しているのだろう。二人は俺の袖をつかむ。両方の袖が彼女たちに占拠され、少々歩きにくい。
悪い気分ではないのだが……これは。
注目される。これはまさしく好奇の目だろう。一人は子供とはいえ、美女を二人も侍らせて歩いているのだ。男どもは血走った目で、今にも殴り掛かってきそうなものもいる、女はうっとりとした表情を浮かべているものもいた。
二人はきょろきょろと周囲を見回している。見たことがないものばかりだから仕方ない。だがその分人の視線というものには無頓着のようだ。嫉妬か怒りか、俺がその分視線を受け止めてしまう。こういう視線が嫌で城にずっといたというのに。
「あ、あそこに行ってみたい、です」
イチカが指さしたのは甘味処。レームから話を聞いていたのだろう。
ああ、行こうか、と言って二人を店に連れていく。道行く群衆から見られるのは不快だったので、店に入れるのは都合がいい。
この前と同じようにアイスを注文する。恐らくはこれに興味があるはずなのだ。
そのほかにもたくさん注文してみる。俺も知らないものがたくさんあり、数十年の間に世の中が変わっているのだと感じる。賢者の石によるとそれは「ケーキ」というものらしく、物によって形も味も違うのだという。恐らくは甘いパンのようなものだと想像した。
注文したものが来ると、テーブルは所狭しと甘味に埋め尽くされた。
胃もたれがしそうなほどの量で少し後悔する。
「……すごい」
「ええ、このようなものもあるんですね」
二人はまじまじと見ている。イチカも話に聞いているだけあって食べ物だと認識しているようだ。
「好きなものを食べていいんだぞ?」
俺がそういうと、じゃあこれを、とまずアイスを手に取った。
その後も二人は感動した様子で様々なものに口をつける。
二人で一皿を食べるような方法だ。単純に数を味わうなら効率がいい。
俺はというと全く食べる気が起きない。今の体は若いというのに精神がそれを拒むような感覚がある。
元の体だったら体調を悪くするようなものばかりだものな、と笑ってしまう。自分がこのような場所にいることも考えられなかったことだ。
街を散策していると様々なものが目に付く。
一昔前にはなかったような業種、例えば複数の種類の商品を扱う商店や娯楽品を売っている店などだ。
特に娯楽品というのは昔は限られた人間だけが手にできるようなものだった。貴族や王族、それに連なる騎士や魔術師などの権力者だけだ。それが今やこんな辺境の街でも手に入るとは。
平和になったんだな、と感慨深い気持ちになる。
物乞いもいない。昔ならそこら中にいたものだが。
ひとしきり街を見て回って、夕方になる。
空は赤く、少し肌寒い気温になってきた。色々なものを見てはしゃぎすぎたのか、イチカも元気を失い始めている。俺は疲れないが、イチカやレームにとっては十分に疲れたろう。
俺の両手には以前と同じように大量の袋がぶら下がっている。そのためイチカはレームの袖にしがみつき、おぼつかない足取りで歩いていた。
「だいぶ疲れてるみたいだな」
ふらふらのイチカを見て俺は呟く。それに対してレームはにっこりと笑う。
こうして歩いていると親子みたいだな、と思ったがそれは口にしない。レームの反応次第ではなんとなく涙腺が緩む気がしたから。
帰りの車内では「すーすー」と寝息を立て、小さく丸まりながらイチカは寝ていた。
こうしてみると本当に少女で、それに手を出していることにはやはり罪悪感がある。
「ご主人様、今日はありがとうございました。イチカの、私の我儘を聞いてくださって。本当は外出したくないのでしょうに」
「いや、いいんだ。俺も楽しかったよ。知識はあっても経験がないからな、俺は。街があんなに変わっているのを知っていても、見るまではやはり実感はなかった」
それは本心で、きっかけを与えてくれた二人には感謝している。
もし一人だったならば不老不死の体で、あの城が朽ちるまで孤独に過ごしていただろう。
「……やはりお優しいですね。私はご主人様のそういうところが好きです」
なっ、と小さく呻いて照れてしまう。殆ど言われたことがない言葉だ。蔑まれこそ、好かれることはなかった。
「お、俺もレームたちがいてくれてよかったと思ってる」
車内に微妙な空気が充満する。お互いに照れているような、そんな空気だ。
その沈黙を打ち破ったのはレームだった。
「ご主人様♡」
そう言いながら立ち上がり、俺の右隣に来る。
そして右手を俺の太ももに置き、そのままキスしてくる。
ゆっくりとねっとりと、糸を引くように甘ったるく。
舌を入れあい、絡ませあう。
お互いの唾液が混ざり合ってぬるぬる、ザラザラとした感触で口の中がいっぱいになる。
レームの口は甘く、それは先ほどの甘味のせいか、それともレームのものなのか、わからない。
頭がぼーっとして、思考がまとまらない。
「ん、ん♡」と小さく荒い息でレームは俺に体を預け始める。少しずつ体重を俺の方に寄せ、俺の上にまたがる。その間も口はつないだままだ。
レームが俺の首の後ろに両手を回し、俺はそれに答えるようにレームの腰に手を回す。
そして口を離し、俺の顔を見ている。離した口からは銀色のような糸が伝っていた。
「ご主人様、イチカは起きないようですので、このまま……♡」
車が街を出てからまだ数分だ。到着までにはあと一時間くらいある。
背中側のチャックを俺が下ろし、肩からするっとした感触で服を脱がす。
豊満な胸は下着に押さえつけられ、上からこぼれそうな形をしていた。
その状態の胸に顔を押し当て、「レーム」と名前を呼ぶ。
そうするとレームは俺の頭を撫でてくれる。イチカに見られていないときだけはこうして甘えられるのだ。流石に大の男が甘えている姿は見られたくない。矮小でもこれは俺のプライドだ。
心がほだされていくような、幸せな感覚を覚える。性的な欲求とはまた別のものだ。
「本当、甘えん坊さんなんですから……♡」
「……お前がこんなふうにしたんだ」
顔を上げないまま、俺はレームにそう返答した。よしよし♡といってまた頭を撫でる。
承認欲求というやつらしい。賢者の石が教えてくれたことだ。どうやら幼少期などの体験が大きいらしい。確かに、誰かに褒められたことなどない。
「もう入れたい」
俺の股間は既に天を突いている。勿論、レームはそれに気づいているだろう。
いくら服を着ていても、目立つ突起物であることは間違いないし、レームが密着している状態で勃起していなかったことなど殆どないのだ。
「私も欲しいです♡ いっぱい愛し合いましょうね♡」
レームは一旦立ち上がり、ワンピースと下着を完全に脱ぐ。俺は引っかかりのあるズボンをなんとか下ろし、完全に勃起したチンポを見せつける。
ちらっとイチカを見てみたが、まだぐっすりと寝ているようだ。音もなく忍び寄り観察しているイチカの印象が強く、今も見られているのではと思った。
「イチカが寝ているから、声は出さないようにしよう」
そういうとレームは再び俺の上に乗ってくる。
車の中は狭く、それでも床で行為に及ぶことは可能だが、今日は荷物があるためそれは叶わない。
座席に座ったままできる体位を選ぶ。いわゆる対面座位というやつだ。
にゅるるるる♡
俺の上に乗ってすぐに挿入を開始した。
我慢ができないというより、時間がないのだ。いつイチカが起きるともわからないし、何より一時間しかないのだ。普段の時間からすればないようなものだ。
「うぐ!」
思わず声を出す。自分から静かに、と言っておきながら、レームの膣内の感触に我慢が出来なかった。
当のレームは口を押さえ、荒い鼻息で快感を伝えている。
あ、と思ったのもつかの間、レームが締め付けを強くし、俺は一回も動くことなく射精してしまう。
レームのおっぱいに顔をうずめ、チンポから伝わる射精感を全身で味わう。
この二人の前では驚くほど早漏だ。もう何回したのかもわからないほどの回数をこなしているはずなのに、いつだって完全敗北してしまう。
だがそれはレームも同じようで、ぷるぷると全身を震わせて絶頂している。先ほどよりも鼻息は荒く、目には薄く涙すら浮かべている。
車内には性の匂いが充満している。それは二人が放出している体液の匂いであり、嗅ぎなれたものだ。
いつもよりも狭い場所のため、よりそれが顕著だった。
「も、もう一回……」
そう言って、今度は腰を突き上げる。二回目のため、最初よりは長持ちする。
ずんずん、とあまり音を立てないようにゆっくりと突き入れる。
顔はおっぱいにうずめたまま、レームのオマンコをしっかりと味わう。
にゅるにゅるとした感触で、ジョリジョリした内部構造が俺のチンポにしっかりと絡みついているのがわかる。まるで意志を持っているような動きで、いつもこれに敗北してしまうのだ。
奥まで突き入れ、動かすのをやめぐりぐりと押し付ける。
子宮がないのは知っているが、その手前側まではしっかりある。行き止まり地点をさらに奥へ奥へと押し込むように擦り付ける。
レームはこれが好きで、すぐに絶頂してしまう。キューッと締まりがよくなり、上下にグラインドするようにオマンコが動く。レームの呼吸に合わせるような動きで、俺は早くも第二射を放ってしまう。
お互いが声を出さずにするのは初めてで、鼻息だけで呼吸するような不思議な状況だった。
ただ、もっと!といっているのは伝わってくる。レームはそういう目をしていた。
勿論、やめるつもりなんてない。
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これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
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