転生した俺YOEEEけど、何故か勇者やってます〜スキル習得が運ゲーガチャの鬼畜世界で俺はしぶとく生きていく〜

ゴシ

文字の大きさ
2 / 23

第2話 転生しますか?しませんか?

しおりを挟む
 女神の首を絞めるのにも疲れてきた。そろそろ解放してやるか。
 女神の首から手を離す。
 すると女神は、すぐさま俺に怒りをぶつけてくる。

「はぁはぁはぁ。女神の首締めるって、はぁはぁ。あんた、おかしいんじゃない? バカなの?」

 いや、おかしいのはお前だろ。
 魔王倒せって言ってんのに、自分の好みでキャラ作るなよ。
 あとバカって言うな。
 さっきまでのおしとやかキャラはどこいったんだ?

 転生後の俺になるというシエロ・ギュンターくんについて、首を絞めてる最中に、色々話してもらった。
 シエロは俺の名前、江口えぐちという漢字を文字分解して作った名前。
 言われてみればそうなるな。15年間江口として生きてて、全く気づかなかった。てかそんなくだらないこと、そもそも考えもしなかった。
 女神が遊び半分で付けた名前だが、意外とイケてると思ったらしく、軍太ぐんたもシエロに近づけてギュンターにして、ウレールの世界に合うっぽい名前にしたのだとか。ほんとふざけてるよな。
 そして魅力が高いこと。
 女神が俺の様子を天界から監視するのに「ブサイクじゃ嫌だわ」という極端な理由で、シエロのステータスを魅力に全振りしたらしい。
 勇者ってのを知らないのだろうか?
 戦うんだよ、勇者って。
 本当に人のことを舐めた女である。

 でも嫌だな、このシエロってキャラになるの。
 一応確認してみるか。

「俺はシエロ確定なのか? 他のキャラとかにできないの?」
「ふんだ。他なんてありませーん。私がせっかく作ったキャラが気に入らないなら、今すぐ帰ってくださーい。あんたね、今こんなんなってるんだから。文句言わずにちゃっちゃと転生しちゃいなさいよ!」

 怒る女神は俺の目の前に指を突き出し、そこからモクモクと煙のようなものを出す。
 そのモクモクに写っていたのは、元の世界にいる俺のグチャグチャな姿だった。

「グロいグロい、こんなもん見せるな! 未成年になんてグロいもん見せるんだ! 鬼かお前は?」

 映像に映った俺はかなりひどい有様。
 思春期でモザイクが嫌いな男子でも「モザイク欲しいです! お願いします!」と頭を下げる程のグロさ。
 岩の下で潰れてる自分の姿は見ていられない。
 すぐさま、俺はそのモクモクをかき消した。

 きちーことをしてくれる女神には腹が立ったが、見せられた映像を考えると、転生を受け入れるしかないとも思った。
 でもシエロ・ギュンターか。こいつでどうやって世界救えばいいんだ?
 シエロ・ギュンターのステータスをもう一度確認しよう。
 Lvは1か。はっきり言ってステータスは弱そう。
 あっ、でもスキルとか持ってんのか。
 加護ってのが3つあるけど、どういう加護なんだ?
 加護持ちのシエロくんなら何とかなるかもと期待を持ち、スキルについて女神に聞いてみる。でも女神は

「知りませーーーん、べーーー」

もうキャラ作りを完全に辞め、恥ずかしげもなく、あっかんべーをしてくるのだった。
 だが、女神も大人気ないと思ったのか

「まぁ、可哀想だから1個だけなら教えてあげる。私の名前の加護だからね。あっ、そうだ。私の名前言ってなかったわね。私アリス、よろしくー」

女神は自身のことと加護のことについて話し始めた。

 女神の名前はアリス・ハート・ウエディング。
 神に使える16女神の1人であり、神の名の元に世界を管理しているらしい。
 そして今回アリスが担当することになったのが、俺が行くと言われてる、ウレールなのである。
 ウレールにいる魔王フミヤ・マチーノがどうやら大規模な世界侵略を進めているらしく、放置しておくとウレールが終わるかもしれないのだとか。
 今回俺を転生者に選んだのは、正直たまたま。
 転生する際にキャラメイクするから、誰を選んでも変わらないからと、ちょうど死にかけてる俺がいたから選んだだけなのだと。
 何とまぁテキトーな女神だこと。俺的には助かってるけど。

 そして加護についても少し教えてくれた。
 アリスが教えてくれたのはハートの加護についてだけ。
 ハートの加護は名前の通り、女神アリスから受ける加護なのである。
 加護はハート、つまり体力に関係する能力であり、レベルが上がれば回復魔法や自己治癒能力が備わるものなのだ。
 ただ、特別なスキルだと思われたその加護は、シエロ・ギュンターだけが持つものではなく、神への信仰心が強い人の中には、たまにハートの加護持ちがいるのだとか。
 俺だけの特別な能力ってわけでもないのは、少しガッカリした。

「ならシエロは最強キャラとかじゃないんだな?」
「そんなことないわよ。ウレールの加護はシエロ以外に持ってる人なんて数えられるほどのはず」
「そうなのか?」
「そうなのよ。あと勇者の加護なんて持ってる人いないレベルの加護なの。まぁ、勇者がいないから、ウレール危ないんだろうけどね」
 ウレールの加護と勇者の加護。
 能力の内容は全然教えてくれないアリスだが、その加護自体は貴重なものだと教えてくれた。
 まぁ、普通は世界救って欲しいって言うなら、最初から全面協力のはずなんだけど。

 色々と思うところはあるものの、死に直面してるんじゃ転生する以外に道は無いだろう。覚悟を決めなくちゃな。

「とりあえず転生しない事には始まらないか。仕方ないよな。アリス、転生頼むわ」
「ア・リ・ス・様じゃないかしら。え・ぐ・ちくん」

 転生する覚悟を決めたのに突っかかってくるアリス。
 この女神はいちいちカンに触るヤツだな。
 目の前に現れた時は「エロかわいい女神様キターーー!」とか一瞬でも思った俺のときめきを返して欲しい。
 あと今、江口って言ったな。シエロじゃなかったのかよ。

「お前に監視されながらの勇者旅って。先が思いやられるよ」
「あっ、今お前って言った! 私女神! あなたを救う慈悲深き女神!」
「………」
「あっ、ちょ、何、え、あーもう、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー。謝るから首絞めに来ないでーーー!」

 俺は手を前に出し、首絞めポーズで生意気を言うアリスを追いかけ回った。

 はぁ、異世界転生の直前って本当はこんな感じなのか?
 アニメとか漫画で見たのとは全然違う。
 生意気言うアリスの首を閉めてやりたかったが、今は転生することを最優先しよう。

 首を閉めるポーズを解いて、アリスに今度こそ転生してもらうことにする。
 追いかけるのを辞めると、アリスは真剣な表情を作り、そして俺に語りかける。

「う、うん、なら気を取り直して。江口……いいえ、シエロ。あなたは今からウレールの世界を勇者として救いに行くのです。その覚悟はありますか?」

 急におしとやかキャラに戻したな。
 しかもまた江口って言って、シエロに戻しやがった。
 シエロ定着してないじゃんか。
 ……でもまぁいいや。やるしかないよな。
 転生しなかったら死ぬの確定だし。

「あります。俺がウレールを救ってみせましょう!」

 少し恥ずかしさもあるが、俺はアリスのキャラに乗っかることにした。
 アリスの前で片膝を付き、頭を下げる。
 アリスは空から降ってくるつるぎを手に取り、俺の肩に剣を添えて宣言する。

「シエロ・ギュンター。なんじを今からウレールに転生させる。ウレールよ、この者を勇者として受け入れよ!開け、召喚の門!!!」

 アリスの叫びに呼応して景色が一転する。
 さっきまで神々しかった空間にいたはずが、今では何もかもを吸い込む、ブラックホールのような暗闇に景色が変わる。

「城で王たちがあなたを待っています。どうか……ウレールを頼みます」

 アリスはそう言うと、暗闇の中で宙を舞い、俺からどんどん遠ざかり、見えなくなっていく。
 それとは逆に、俺は暗闇の中にどんどん吸い込まれていくのだった。
 だんだん遠ざかり、見えなくなってしまうアリス。
 最後に見たアリスの微笑みは、さっきまでのふざけたアリスを忘れさせてくれるほど綺麗だった。

「そんじゃ、やりますか! いざアスティーナ城へ!」

 今日から俺はシエロ。勇者シエロ・ギュンターだ!
 心の中で自分に言い聞かせながら、暗闇に飲み込まれていくのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...