転生したら、まさかの脇役モブでした ~能力値ゼロからの成り上がり、世界を覆すは俺の役目?~

水無月いい人(minazuki)

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第四章:真実への扉、動き出す世界

第二十一話:絶体絶命の反撃と新たな協力者

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宰相グラハムの冷たい声が響き渡り、シャドウナイトがその漆黒の鎌を構えた瞬間、部屋の空気は一変した。

絶望的な状況だ。宰相グラハムは俺たちの存在を完全に察知し、シャドウナイトと共に、俺たちを葬り去ろうとしている。

シャドウナイトもまた、彼に忠実である。

「愚かな小僧どもめ。ここで、貴様らの命運は尽きる」

グラハム宰相がそう告げると、シャドウナイトがゆっくりと動き出した。その漆黒の鎌が、アシュレイ団長目掛けて振り下ろされる。

「団長!」

ライオネルが叫び、飛び出そうとするが、別の闇の魔法が彼の進路を阻んだ。シャドウナイトは、アシュレイ団長を狙いながら、ライオネルの動きも封じようとしている。

アシュレイ団長は、素早く剣を構え、シャドウナイトの攻撃を受け止めた。金属が軋むような甲高い音が部屋に響き渡る。彼の剣技はやはり超一流だ。

しかし、シャドウナイトの攻撃は重く、アシュレイ団長は後退を余儀なくされていた。

「くそっ、囲まれたか……!」

俺は、部屋の入り口に目をやった。宰相グラハムが立ちはだかり、逃げ道は塞がれている。

この状況を打開するには、シャドウナイトか宰相グラハム、どちらか一方を無力化するしかない。

だが、シャドウナイトは高位の魔族だ。俺の【ファイアボール】だけでは、決定打にはならない。

俺は、懐からマジックバッグを取り出した。そして、その中から、いくつか取り出す。

「アルス、何を……!?」

ライオネルが、驚いた声で尋ねる。

俺が取り出したのは、ダンジョンで手に入れた特殊な毒薬と、閃光を放つ魔石だ。これらは、まだ使ったことのないアイテムだが、【鑑定】スキルでその効果は把握している。

「ライオネルさん! 団長を援護してください! 俺が隙を作ります!」

俺は叫び、まずは閃光を放つ魔石を地面に叩きつけた。
パァン!と、部屋いっぱいに強烈な光が弾ける。

「ぐっ!」

グラハム宰相とシャドウナイトが、眩しさに目を細めた。
シャドウナイトは高位の魔族とはいえ、急な閃光には対応しきれなかったようだ。

この一瞬の隙を、俺は逃さない。
俺は、もう一つの毒薬を、グラハム宰相目掛けて投げつけた。
毒薬は、狙い通り、グラハム宰相の顔面で炸裂した。

「ぐああああああっ!」

グラハム宰相が、苦悶の叫び声を上げた。彼の顔はみるみるうちに青ざめ、口元からは泡が吹き出し始めた。

この毒薬は、猛毒ではないが、精神を混乱させ、身体能力を著しく低下させる効果がある。

「アルス、よくやった!」

アシュレイ団長が、その隙を逃さず、シャドウナイトに猛攻を仕掛けた。

閃光で目が眩み、グラハム宰相の毒薬によって注意が逸れたシャドウナイトは、アシュレイ団長の剣の連撃をまともに受けていた。

「クァァァァァァ!」

シャドウナイトが、苦しそうに叫び、後退する。その漆黒の体から、煙のようなものが噴き出していた。

「今だ、ライオネルさん!」

俺は、魔力を練り上げながら叫んだ。
ライオネルも、俺の言葉に呼応し、戦斧を振り回してシャドウナイトに斬りかかる。

三人がかりの猛攻に、シャドウナイトは劣勢に立たされていた。
だが、高位の魔族だ。簡単には倒せない。

俺は、再び【ファイアボール】の詠唱に入る。【速詠】スキルを最大まで活用し、高速で炎の魔法を放つ。

連続で放たれる火の玉が、シャドウナイトの体を焼き焦がす。

「……ぐ、ぐあああああああっ!」

シャドウナイトは、ついに膝をついた。その体からは、さらに激しく黒い煙が噴き出し、まるで溶けていくかのように、徐々にその姿を消し始めた。

「よし、退いたか……!」

アシュレイ団長が、息を切らしながら呟いた。

残るは、宰相グラハムだ。
彼は、毒薬のせいで身体が痙攣しており、その場に倒れ伏していた。もはや抵抗する力はない。

「グラハム宰相……なぜ、このようなことを」

ライオネルが、悲しげな声で問いかける。

「ぐふ、ふふふ……この世界は……もうすぐ……変わる……」

グラハム宰相は、毒に侵されながらも、不気味な笑みを浮かべた。その目には、狂気と、そして勝利への確信が宿っていた。

「……まだ、何かあるのか?」

アシュレイ団長が、険しい表情で尋ねた。

グラハム宰相は、それには答えず、ゆっくりと目をつむった。
意識を失ったようだ。

「これで、一件落着……では、ないな」

アシュレイ団長はそう呟くと、グラハム宰相を拘束し、この場所を徹底的に調べるよう、ライオネルに指示した。

俺は、魔力枯渇でフラフラになりながらも、今回の戦闘で得た経験値を、ステータスとスキルに割り振った。

【名前:アルス】
【種族:人間】
【職業:騎士団協力者(仮)】
【体力:8.5】
【魔力:8.5】
【筋力:8.5】
【敏捷:8.5】
【器用:8.5】
【知力:10.5】
【幸運:1.0】

【スキル】
 毒物耐性   :3.5
 サバイバル知識:3.5
 薬草学    :3.5
 ナイフ術   :3.5
 モンスター生態学:5.0
 魔力親和性  :3.0
 魔法理論   :4.5
 魔力操作   :5.0
 ファイアボール:5.5
 剣術     :5.5
 体術     :3.5
 危機察知   :2.5
 交渉術    :1.5
 速詠     :2.0
 複合詠唱   :1.0
 鑑定     :2.5
 共感性    :1.0
 情報収集   :0.5

【ユニーク能力:なし】

【魔力操作】と【ファイアボール】が大きく伸び、【速詠】も2.0になった。
【危機察知】が2.5まで上がったことで、より危険を察知する精度が高まった。

そして、【鑑定】も2.5に。これにより、より詳細な情報や、隠された特性なども見抜けるようになったはずだ。

グラハム宰相の確保、そしてシャドウナイトの撃退。この成果は非常に大きい。
しかし、グラハム宰相の最後の言葉が、俺の心に引っかかっていた。

(この世界はもうすぐ変わる……まだ、何かあるのか?)

その時、隠し部屋の奥の壁に、アシュレイ団長が視線を向けた。
俺も【鑑定】で壁を調べた。

そこには、わずかな魔力の反応と、奇妙な紋様が刻まれていた。

「これは……転移魔法陣……?」

アシュレイ団長が、驚いたように呟いた。
ゲーム知識で、その紋様は、長距離転移に使われる魔法陣であると俺は知っていた。

「宰相は、ここからどこかへ逃げ出すつもりだったのか……」

ライオネルが、転移魔法陣を凝視する。

しかし、その魔法陣は、不完全に構築されているように見えた。
おそらく、シャドウナイトが俺たちとの戦闘で力を消耗し、完全に起動できなかったのだろう。

その時、転移魔法陣の紋様が、かすかに光を放ち、そして一つの映像が、虚空に浮かび上がった。
それは、暗く、不気味な場所だった。

そして、その場所には、いくつもの巨大な石柱が林立している。
石柱には、見たこともない紋様が刻まれ、そこからおぞましい魔力が放出されているのが見て取れた。

「これは……どこだ!?」

ライオネルが叫んだ。

そして、その石柱の中心に、一人の人物の姿があった。
黒いローブを纏い、顔はフードで覆われている。

その人物は、石柱に手をかざし、何かを詠唱しているようだった。

【鑑定】スキルが、その人物の情報を読み取ろうとするが、強すぎる闇の魔力に阻まれる。

しかし、その人物の纏う魔力は、シャドウナイトをも凌駕する、圧倒的な存在感を放っていた。

「この魔力……まさか!」

アシュレイ団長が、顔色を変えた。彼の剣を握る手が、震えている。

そして、そのローブの人物が、ゆっくりと顔を上げた。
フードの奥に隠された顔は、闇に覆われ、はっきりと見えない。

だが、その口元が、わずかに歪み、不気味な笑みを浮かべたように見えた。

「グハハハハハ……我が主よ……目覚めの時は近い……」

その声は、重く、世界そのものを揺るがすような響きを持っていた。
そして、その声と共に、転移魔法陣の映像は、かき消えるように消滅した。

「あれは……魔王……なのか!?」

ライオネルが、震える声で呟いた。
アシュレイ団長も、その場に立ち尽くし、ただ呆然と、消えた映像の場所を見つめている。

俺は、その場に釘付けになった。
映像に映っていたローブの人物。
それは、ゲームの最終盤で登場する、魔王の腹心。
そして、彼が言った「我が主よ、目覚めの時は近い」。

これは魔王復活のセリフだ。

ゲームのメインストーリーの最終目的。

だが、その復活の兆候が、こんなにも早く、それも、目の前で示されるとは。

この世界の運命は、俺が思っていた以上に、深刻な事態へと向かっている。
そして、俺は、その運命の核心へと、完全に巻き込まれてしまった。
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