攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)

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第十章 アスフィ 感情迷走篇《第三部》

第147.5話『五・四零』

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『アルファ宮殿』王室間。

『亜久津のやつめ、油断しよったな。わらわの駒は多いとはいえ、一人に与えられる力にも制限があるというに。全く使い物にならん奴だ。そう思わんか? 男よ』
「…………知らん」
『冷たい奴だ。まぁよい、あやつが居なくなったところでわらわの痛手にはならん』
「……あんたが直々に出向けばいいだろうが」

 男は柱に縛られていた。

「まぁアンタがここから出るとは思えんが――」
『いや、一理ある』
「…………何? 本気か」

 男は冗談のつもりで言った。それ故に驚きが隠せなかった。

『わらわが行けば早いのは確か。今まで行かなかったのは――』
「死ぬのが怖かったんだろ」
『口を慎め男。古き仲であるから許してやるが次は無いと思え。それに神は不滅。死ぬのが怖いなどは無い。ただ面倒だった、それだけだ』
「んだよそれ……」

 神バステトの言葉一つ一つに『魅了』の力が存在している。
 その声を聞いただけで『魅了』してしまう程の魅了が彼女にはある。

『ところで……ポセイドンは元気にしていたか? あの引きこもりの変神はよく分からんからな』
「あ? なんで俺に聞くんだよ――」
『…………ふむなるほど、そうか』
「おい、何がなるほどだ! 人の話は聞けってかぁちゃんに教わらなかったのか?」
『だから聞いただろう? 
「……なんだと? 誰にだよ」
『お前だ、男。そうか、わらわに魅了され発言した事さえ覚えておらんだか』

(クソ……厄介な女だ。だが、嬢ちゃんの事はあえて詳しくは聞いてない。つまり、大事な事を俺は喋っちゃいない筈だ)

『このわらわに嘘をつく事は出来ん。まぁどうやら、こうなる事も予期してあえてポセイドンからは何も情報を得なかった様だが』
「…………」

(また喋っちまったってことか……俺の意識とは別に考えている事さえ無意識に喋っちまう。しかもそれを俺は覚えちゃいない。恐ろしい女だ……)

『しかしまぁ、ポセイドン等どうでも良い。あいつはわらわの何の障害にもなり得ん』
「いやいや、それはどうかな?」

『アルファ宮殿』にまた一人客人が入ってきた。

「――やぁ、久しぶりだね! バステト」
『……オーディンか。お前、わらわに何の用だ』
「用って程じゃないけどね!」
『…………やはりお前は嫌いだオーディン』
「あれ? 私何か嫌われるような事したかな?」
『とぼけるな。わらわの『魅了』が効いていないではないか』

 バステトの『魅了』にかかった者は、バステトに聞かれた事は本人の意思とは別に答えるのが絶対である。しかしオーディンはバステトに何用か聞かれても答えなかった。

 それがバステトは酷く不愉快であった。

「そんなことよりさ、ここに皆集結するだろ? だから見に来たんだよね」
『……わらわの目的は戦争では無い』
「うん! 知ってる! エルブレイド、だよね?」
『その通り』
「君も物好きだねー! あんなじいさんを欲しがるなんてさ」
『人類最強の駒を手にすれば、わらわに敵は居ない』
「えー、もう既に君に勝てる子は居ないだろう? 全盛期のゼウス・マキナならまだしもね~」

 オーディンはその場に座り込んだ。

『チッ……まだお前がいんだよ老害が』
「だってさ! 言われてるよ、君」
「俺に振るな。お前、オーディン……なのか?」
「うん! 久しぶりだね、ガーフィ・・・・
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