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第十一章 ケンイチ 神々篇 《第三部》
第160話「Change of the World」【ケンイチ目線】
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俺のもとに最高の助っ人が来た。
「結構待った」
「コレでも結構探したよ」
「そうか」
二人の会話は薄い。待った事について言及することもなければ、どこに居て何をしていたのかを言及することはない。
この二人は似た者同士だ。それは二人もお互いに理解している。
『人間……それがどうしたの? 人間が私に勝てるわけ無いでしょ』
「マキはお前が思ってる程柔じゃない」
「そうだ、覚悟して」
マキのやつこの状況理解しているのか? 結構危機的状況なんだが。
『いいよ。その子に何が出来るか分からないけどかかってきなよ』
「おい、マキ。お前舐められてるぞ」
「え、そうなの? ……ならやるしかない」
マキはファイティングポーズを取った。軽快なステップと共に。
『……私が言うのも何だけど、その子大丈夫?』
「大丈夫だ。いつもこんな感じなんだ」
「シュッシュッ」
……俺も不安になってきた。
「……行くぞ、マキ」
「うん」
まずは俺から攻撃を仕掛ける。
「はああああああああああああ!!!」
『遅い。そんな剣当たるわけ無いでしょ』
軽く躱されてしまった。
「援護は任せてスドウくん」
「おう」
マキは未だ軽快なステップを踏んでいた。
『……分からない。ケンイチ、君は分かる。人間でありながら神にも等しい力、才能持ちだ。でも、その子は人間だ。才能もないただの人間』
「……ふぅ……そうだ。マキは人間だ。才能は持っちゃ居ない。だが、居るだけで俺の力になる」
『なにそれ。ただの置物?』
「さあ。どうかな」
『…………良くわからないけど私は待たされるのが嫌いなんだよね。さっと終わらせることにするよ』
来る……! 死の神オーディンが動く……!
「マキッ!!!」
「うん、任せて」
マキは懐から青い宝石のような石を取り出した。
『それは……!』
「そう、お前が欲しがっていた『イリアスのコア』だ」
『何故……』
「お前は俺達の作戦にハマったんだよ、『イリアスの異分子』」
『返せ!! それは私の――』
「やれ、マキ」
「本当にいいんだね?」
「……ああ。この世界はダメだ。次の世界に託そう」
俺達で変えるんだ。エシル、貴様の思い通りになんてさせない。
何度だって作り変える。俺が俺じゃなくなろうと。
『やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
マキは『コア』に向かって唱える。
「コード:クリエイション。対象……えっと……この世界」
『やめろおおおおおおおおおお』
「無駄だ。もう遅い」
マキの手の中にある石が青白く輝きを放つ。それを止めようとオーディンは手を伸ばすが……。
「だから無駄だって言ってんだろ」
『…………正気なのかい』
「ああ」
『これで君は重罪人だよ』
「だな」
『この世界が、生き物が、全て作り変えられることになるんだよ……?』
「ああ、そうだな」
『君は正気じゃない。君たちだってそれは例外じゃない』
「お前もな。オーディン。……俺はお前も救う」
こんな少女が死の神なんて可愛そうだろ。だったら俺はお前も含めて救う。
そうだ。次の世界からはルールを決めよう。
こんな『コア』なんて危ねぇもんを使わずとも、もっと単純に互いが満足する形のルールを。
『盟約』を。
世界が真っ白に景色に覆われていく。
『……ははは……やっちゃったね。はぁ……もうどうでもいいやぁ』
オーディンはその場に座り込んだ。
「やっと諦めたか」
『もうあがいても無駄だしね。……次の私はどうなるのかな』
「さあな。案外いい神になってんじゃねーか? 少なくとも死の神なんて呼ばれる事はない」
『ふーん。そっか。役割、終わるんだね』
「ああ。俺は死の神なんて呼ばれたお前も、この世界も救う」
『……その『イリアスのコア』はどうするの』
どうするか。こんなもの壊してしまいたいが、そんなことをすれば過去、未来の生物が消えてしまう。
くっそ……誰だよこんなもん作りやがったのは。
「――それなら私が預かるわ」
「誰だ!?」
気付かなかった……!
「ごめんなさい、驚かすつもりはなかったの。私の名前はエルザ。エルザ・ヒナカワ」
「……日本人か」
「夫が日本人だからまぁそれでいいわ」
「なんで出会ったばかりで素性もしれないあんたに世界の運命の鍵を握るコアを渡さねぇといけねぇんだ」
なんだこの金髪女。
「その人、信用してもいいよ」
「マキ、しってんのか?」
「うん、私をここに送ってくれた人」
「そういう事。だから信用してくれていいわ」
どういう事だよ。理由になってねえよ。……でも、
「マキが言うなら分かった。あんたにコレは預ける」
「あ、あら。結構すんなり受け入れるのね……お姉さんは嬉しいけどね……あ、そういうことね。あなたマキちゃんの事好きなのね」
「……」
「図星だわ! かわいい! 青春ね~」
うぜぇ……。
「ま、からかうのはこれくらいにしてっと。……マキちゃん、いいわね?」
「うん。はい、どうぞ」
「はい、しっかりと受け取りました」
マキは『イリアスのコア』を金髪の女に手渡した。
世界がもう半分近く白くなってきた。もうすぐか。
「……世界が変わったらどうなるんだろうな」
『怖いのかい?』
「ま、自分じゃなくなるって考えるとな」
「でも、今より良い世界になる。私はそう信じてる」
「……だといいな。俺やオーディンのような『逸脱者』が生まれない事を願うよ」
『逸脱者、か。いいね。なら私は君の味方であろうケンイチ』
「なんだよ急に」
『君がよりよい世界を作る為に手助けするのさ』
オーディンは立ち上がり俺に手を差し出してきた。
「ま、期待せずに待っててやるよ」
『うん。私はケンイチ、いつでも君の味方だよ』
「いいわね! ならこの四人はみんな味方で居ましょう?」
「……あんたとは今知り合ったばかりだろ」
「いいじゃない。私もよりよい世界ってやつを創造したいのよ」
もう世界の半分以上が真っ白だ。
次はどんな世界だろうな。平和だといいな。神や才能持ちなんてやつが居ない世界だと尚良い……。
「――ちょっと待って!! 嫌よ! 私まだこの世界で彼と一緒に居たいの!! 今すぐ止めて!!」
あの時助けた女か。確か、サリナだったか。ここまで来たのか。
「どうした?」
「私は反対! この世界の何が不満なの!? 皆優しいし、食べ物にも困らない! そんな世界のどこに不満があるのよ!」
「不満って言うけど――」
『ケンイチ。ここは私が』
オーディンがサリナの前に出た。
『やあ、あの時ぶりだね』
「オーディン……! あなたのせいなのね! 彼を殺したことまだ許してないから!」
オーディン、かなり恨みを買ってるな……。当然か。
『君に理由を説明したところでどうせ理解しないだろうから、君が聞いた質問だけに答えてあげる』
「……なに」
『皆優しい、食べ物に困らない。それは違う』
「何が違うのよ! 実際私はそうだった!」
『それは君だから、だよ。皆が君に優しかったのも君だけ。この世界は一人の少女に優しくする余裕なんてどこにも居ないんだよ。それと食べ物に困らないと言っていたね。君、他の人が食事をしている所をこの世界で一度でも見たことある?』
「そ、それは……」
サリナは口籠る。
『無いよね。そう、君だけなんだ。君の才能によるものだ。君に優しくする者はすればする程それ以上に自らが疲弊し、君に食べ物を恵んだ者たちは君に恵んだ分だけ自分たちの食べる量が減る。だから――』
「オーディン、そのへんにしといてやれ……」
俺はオーディンを止めた。オーディンの饒舌な正論を聞かされた彼女は、膝から崩れ落ち目が虚ろになっていたからだ。
「そんな……私……そんなの知らなかった……知らなかったよ……」
「……時間だ」
世界が変わる。せめて今より良い世界でありますように……。
「結構待った」
「コレでも結構探したよ」
「そうか」
二人の会話は薄い。待った事について言及することもなければ、どこに居て何をしていたのかを言及することはない。
この二人は似た者同士だ。それは二人もお互いに理解している。
『人間……それがどうしたの? 人間が私に勝てるわけ無いでしょ』
「マキはお前が思ってる程柔じゃない」
「そうだ、覚悟して」
マキのやつこの状況理解しているのか? 結構危機的状況なんだが。
『いいよ。その子に何が出来るか分からないけどかかってきなよ』
「おい、マキ。お前舐められてるぞ」
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『……私が言うのも何だけど、その子大丈夫?』
「大丈夫だ。いつもこんな感じなんだ」
「シュッシュッ」
……俺も不安になってきた。
「……行くぞ、マキ」
「うん」
まずは俺から攻撃を仕掛ける。
「はああああああああああああ!!!」
『遅い。そんな剣当たるわけ無いでしょ』
軽く躱されてしまった。
「援護は任せてスドウくん」
「おう」
マキは未だ軽快なステップを踏んでいた。
『……分からない。ケンイチ、君は分かる。人間でありながら神にも等しい力、才能持ちだ。でも、その子は人間だ。才能もないただの人間』
「……ふぅ……そうだ。マキは人間だ。才能は持っちゃ居ない。だが、居るだけで俺の力になる」
『なにそれ。ただの置物?』
「さあ。どうかな」
『…………良くわからないけど私は待たされるのが嫌いなんだよね。さっと終わらせることにするよ』
来る……! 死の神オーディンが動く……!
「マキッ!!!」
「うん、任せて」
マキは懐から青い宝石のような石を取り出した。
『それは……!』
「そう、お前が欲しがっていた『イリアスのコア』だ」
『何故……』
「お前は俺達の作戦にハマったんだよ、『イリアスの異分子』」
『返せ!! それは私の――』
「やれ、マキ」
「本当にいいんだね?」
「……ああ。この世界はダメだ。次の世界に託そう」
俺達で変えるんだ。エシル、貴様の思い通りになんてさせない。
何度だって作り変える。俺が俺じゃなくなろうと。
『やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
マキは『コア』に向かって唱える。
「コード:クリエイション。対象……えっと……この世界」
『やめろおおおおおおおおおお』
「無駄だ。もう遅い」
マキの手の中にある石が青白く輝きを放つ。それを止めようとオーディンは手を伸ばすが……。
「だから無駄だって言ってんだろ」
『…………正気なのかい』
「ああ」
『これで君は重罪人だよ』
「だな」
『この世界が、生き物が、全て作り変えられることになるんだよ……?』
「ああ、そうだな」
『君は正気じゃない。君たちだってそれは例外じゃない』
「お前もな。オーディン。……俺はお前も救う」
こんな少女が死の神なんて可愛そうだろ。だったら俺はお前も含めて救う。
そうだ。次の世界からはルールを決めよう。
こんな『コア』なんて危ねぇもんを使わずとも、もっと単純に互いが満足する形のルールを。
『盟約』を。
世界が真っ白に景色に覆われていく。
『……ははは……やっちゃったね。はぁ……もうどうでもいいやぁ』
オーディンはその場に座り込んだ。
「やっと諦めたか」
『もうあがいても無駄だしね。……次の私はどうなるのかな』
「さあな。案外いい神になってんじゃねーか? 少なくとも死の神なんて呼ばれる事はない」
『ふーん。そっか。役割、終わるんだね』
「ああ。俺は死の神なんて呼ばれたお前も、この世界も救う」
『……その『イリアスのコア』はどうするの』
どうするか。こんなもの壊してしまいたいが、そんなことをすれば過去、未来の生物が消えてしまう。
くっそ……誰だよこんなもん作りやがったのは。
「――それなら私が預かるわ」
「誰だ!?」
気付かなかった……!
「ごめんなさい、驚かすつもりはなかったの。私の名前はエルザ。エルザ・ヒナカワ」
「……日本人か」
「夫が日本人だからまぁそれでいいわ」
「なんで出会ったばかりで素性もしれないあんたに世界の運命の鍵を握るコアを渡さねぇといけねぇんだ」
なんだこの金髪女。
「その人、信用してもいいよ」
「マキ、しってんのか?」
「うん、私をここに送ってくれた人」
「そういう事。だから信用してくれていいわ」
どういう事だよ。理由になってねえよ。……でも、
「マキが言うなら分かった。あんたにコレは預ける」
「あ、あら。結構すんなり受け入れるのね……お姉さんは嬉しいけどね……あ、そういうことね。あなたマキちゃんの事好きなのね」
「……」
「図星だわ! かわいい! 青春ね~」
うぜぇ……。
「ま、からかうのはこれくらいにしてっと。……マキちゃん、いいわね?」
「うん。はい、どうぞ」
「はい、しっかりと受け取りました」
マキは『イリアスのコア』を金髪の女に手渡した。
世界がもう半分近く白くなってきた。もうすぐか。
「……世界が変わったらどうなるんだろうな」
『怖いのかい?』
「ま、自分じゃなくなるって考えるとな」
「でも、今より良い世界になる。私はそう信じてる」
「……だといいな。俺やオーディンのような『逸脱者』が生まれない事を願うよ」
『逸脱者、か。いいね。なら私は君の味方であろうケンイチ』
「なんだよ急に」
『君がよりよい世界を作る為に手助けするのさ』
オーディンは立ち上がり俺に手を差し出してきた。
「ま、期待せずに待っててやるよ」
『うん。私はケンイチ、いつでも君の味方だよ』
「いいわね! ならこの四人はみんな味方で居ましょう?」
「……あんたとは今知り合ったばかりだろ」
「いいじゃない。私もよりよい世界ってやつを創造したいのよ」
もう世界の半分以上が真っ白だ。
次はどんな世界だろうな。平和だといいな。神や才能持ちなんてやつが居ない世界だと尚良い……。
「――ちょっと待って!! 嫌よ! 私まだこの世界で彼と一緒に居たいの!! 今すぐ止めて!!」
あの時助けた女か。確か、サリナだったか。ここまで来たのか。
「どうした?」
「私は反対! この世界の何が不満なの!? 皆優しいし、食べ物にも困らない! そんな世界のどこに不満があるのよ!」
「不満って言うけど――」
『ケンイチ。ここは私が』
オーディンがサリナの前に出た。
『やあ、あの時ぶりだね』
「オーディン……! あなたのせいなのね! 彼を殺したことまだ許してないから!」
オーディン、かなり恨みを買ってるな……。当然か。
『君に理由を説明したところでどうせ理解しないだろうから、君が聞いた質問だけに答えてあげる』
「……なに」
『皆優しい、食べ物に困らない。それは違う』
「何が違うのよ! 実際私はそうだった!」
『それは君だから、だよ。皆が君に優しかったのも君だけ。この世界は一人の少女に優しくする余裕なんてどこにも居ないんだよ。それと食べ物に困らないと言っていたね。君、他の人が食事をしている所をこの世界で一度でも見たことある?』
「そ、それは……」
サリナは口籠る。
『無いよね。そう、君だけなんだ。君の才能によるものだ。君に優しくする者はすればする程それ以上に自らが疲弊し、君に食べ物を恵んだ者たちは君に恵んだ分だけ自分たちの食べる量が減る。だから――』
「オーディン、そのへんにしといてやれ……」
俺はオーディンを止めた。オーディンの饒舌な正論を聞かされた彼女は、膝から崩れ落ち目が虚ろになっていたからだ。
「そんな……私……そんなの知らなかった……知らなかったよ……」
「……時間だ」
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