攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)

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第十一章 ケンイチ 神々篇 《第三部》

第160.5話「『盟約』再び」

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 間に合わなかった。せっかくキャルロット達が用意してくれた虎を走らせたと言うのに。
 結局私が行くと決めた時点で既に遅かったのだ。もう世界の変化は始まっていた。
 それにオーディン、かの少女に正論を聞かされた。返す言葉が無かった。

 だって……心当たりしかなかったから。

 ついに世界が真っ白に染まった。

 ああ、キャルロット。私はあなたを愛していた。私の人生で初めて好きになった人。もしまた生まれ変われるのならもう一度あなたに……

「会いたい」

 ***

「……どう? 世界の一端が垣間見えたかしら? ケンイチ」
「…………俺はまだ了承してねぇ。お前、一方的に『盟約』を――」
「ええ、私には時間がないからね」
「そんな事をすれば代償がお前を襲うぞ」
「あら?心配してくれるなんて優しいわね。でも、それはありえない。世界は私を中心に回っているからね。代償もまた私の虜」

 代償無しの『盟約』……そんなものありえるのか。

「それで? お前は俺にコレを見せて何をしたいんだ? まさか、同情しろってか?」
「同情なんていらない。……もうそんなものでは私は止まらないの」
「……お前の目的はなんだ、サリナ」
「私の目的はオーディン・・・・・を殺す事」

 オーディン……さっき見せられた死の神オーディンのことか。今の創造神オーディンと同一人物、なのか?

「しかしあなた、本当に何も覚えてないのね」
「俺は俺だ。お前が見せた記憶の中に俺は居ねぇ」
「…………そう。じゃあ続き、見よっか」

 続きだと!? マズイ、こいつの言う通り本当に代償無しに『盟約』を発動出来るのだとしたら何をされる分かったもんじゃない。
 ここは一旦引くか……?

「言っとくけど逃さないわよ」

 なんだよ、全てお見通しってか。

「私の目的はオーディンを殺す、コレは私の個人的な……私情? かな」
「……何?」
「私の本当の目的はある男を目覚めさせ、私のものにすること」
「……言ってる意味が分からん」
「だから今から見せてあげるのよ、『盟約』でね」

 盟約。『イリアスのコア』とかいうやつの代わりに作られたルール。信じがたい話だが……

「そういえば、私のことをレイラの母親だと勘違いしていたようだけど、別に化けていた訳じゃないわ。勿論今もね」
「化けてないなら何だその頭の猫耳は。飾りか?」
「そう……あなたには私の頭に猫耳が付いているように見えているのね」
「は? 何だその言い方」
「だって事実だもの。あなたが私の事をそう見えているのは、その人だと信じたから」
「俺が……お前をレイラの母と信じた?」

 俺は心の何処かでレイラの母親を探していたってのか? ……いや、俺はレイラの母親なんて考えたことも……

「そうか……」
「そ、あなたが私をレイラの母親だと思って無かろうと関係ない。だって――」
「俺の中のアスフィ・シーネットがお前をレイラの母親だと認識した……」
「そういう事。私の『魅了』にかかった者の症状の一つね」

 くっそ……俺は知らないうちにコイツの訳の分からん力に掛かっていたってのか。
 俺であって俺じゃない俺が。

「……俺は結局何なんだ」
「それは自分は一体何人居るのか、ってこと?」
「……見透かされている様で屈辱だが、まぁそんなとこだ」

 ケンイチなのかアスフィ・シーネットなのかそれ以外の……くっそ……訳わかんねぇ。

「その答え、私なら知っている、『原初の神』の一人である私ならね」
「『原初の神』だと?」
「だからその辺を今から見せてあげるって言ってるの」

 俺が何者なのか……俺という人間の存在意義が知りたい。

「……分かった。続きを見せろ」
「いいよ。もとよりその気だけどね。コレも私の目的の一つだから……ね? じん

 そう言うとサリナは『盟約』の言葉を唱えた。
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