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第十一章 ケンイチ 神々篇 《第三部》
第163話「『原初の神』」
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意識は『シーレンハイル』に戻ってきた。感情がまだ整理出来ない。
俺が何度も世界をやり直してるとか、その度に俺じゃ無い誰かになっていた。
……ありえない……が、腑に落ちる。
「俺が、ねぇ……」
「どう? 自分が何者で何を為すべきか分かった?」
膨大な情報量。普通なら受け止めきれないようなものばかりだった。俺だってまだ全てを受け止めきれてはいない。
「俺は一体何人目だサリナ」
「知らない」
ああそうか。コイツもまた『再構築』の影響によって覚えていないのか。
「うっ……」
「おい! どうした!?」
「……何? 心配してくれるの?」
「いや……そんなつもりは」
どうしちまったんだ俺。何でこんな奴を心配してんだよ。
まさかコイツの過去に同情でもしたってのか?
しかし、まだ分からない事がある。
「サリナ。お前、『盟約』の代償はどうした」
「……さて、何のことかな? 私にそんなものは無いと――」
「とぼけんな。そもそも 『盟約』を代償無しに一方的に結ぶなんて不可能なんだよ」
「……なんでそう思うのかな?」
「『イリアスのコア』の力は絶対だ。例外なんて存在しない。お前自身が俺に見せた事だろうが……何を代償にした」
サリナは言いづらそうな顔だった。でも、言ってもらわなくちゃ困る。
「サリナ、言え」
「嫌よ」
「サリナァァァッ!」
「嫌だったら嫌ッ! ――うっ」
サリナが再び頭を抑えだした。……きっとコレが代償だ。
何かを出さないようにもがいている……? まだ出てくるな等を言っている。
…………しばらく頭を抑えた後、サリナはついに顔を上げた。
『……やかましい、人間。わらわを誰だと思っている』
「……誰だ、お前…………」
見た目はサリナだが、明らかにさっきのサリナではない。
この雰囲気、まさか『神力』か。
『わらわは――』
「お前はサリナだろ」
『わらわの話を遮るな。それに、アレはわらわの過去の異物に過ぎん……だが、お前のお陰でわらわに再びこの体の所有権が渡った。感謝するぞ人間』
俺のおかげだと? 俺は何もしてないぞ。
「俺がなにをしたって?」
『アレに『盟約』を発動させたのだろう』
「何いってんだ。サリナは勝手に――」
『それだ。アレはわらわの過去の姿……人格。ふとした時に出てくるのだ。だが、やつは『代償』を払った』
代償……そういうことか。サリナ、お前が払ったのは体の所有権をこのよく分からん神に渡すというものだったのか。
それで言いたくなかった訳か。……サリナ、お前はそこまでして結局俺に何をさせたかったんだ……。
『それについてはわらわが教えてやろう』
「俺は何も言ってないぞ」
『わらわの前で嘘や隠し事などできん』
考えたことまでもこの女の前では、筒抜けってことか。
『その通り』
俺が一番苦手とするタイプだ。
『まぁそういうな。……そういえばお前がわらわの話を遮ったせいで自己紹介がまだだったな。わらわの名はバステト。原初の神の一人』
「原初の……神……サリナが見せた記憶の中にそんな単語があった」
『フッ……そうか。やはりアレはそんなものをお前に見せたのか。そんな事をしても意味など無いというのにな』
本当だよ。お前は何がしたかったんだよ……サリナ。
『原初の神は世界に三人居る』
「お前と、後二人は誰だ」
『その前にわらわ達の周りにいるハエが煩いな』
いつの間にか俺達は『ゼウスを信仰する者』に囲まれていた。
クソッ。さっき倒した奴ら……だけではないな。
「っておい、待て! 何だこの数!?」
百や二百なんてレベルじゃないぞ! この『シーレンハイル』全てを埋め尽くすほどの数。千は居るんじゃかこれ……。
『下がれ、お前たち。わらわ達は今大事な話の途中だ』
「…………おいお前今なんて言った?」
『何がだ人間』
「お前今コイツらに下がれって言ったのか」
『そうだが?』
「まさかお前がコイツの頭か!!」
俺の中に憎しみの感情が湧き出てくる。これは俺のものじゃない。
これは……フィーのものだ。
(待て、フィー! 今お前が出るのはマズイ!)
『ほう、お前もわらわと同じく内に異物を抱える者か……面白い。これは面白いぞ』
(フィー! 良いかよく聞け! お前が今出てきた所で勝てはしない!)
…………。
(クソッ……なんで返事しやがらねぇんだ)
「何故かお前たちを殺したくて殺したくて堪らない」
『わらわはいいが、お前はこの数を相手に勝てるのか?』
……無理だな。逃げるにしても逃げる道がない。コイツらまさかずっとこの『シーレンハイル』に潜んでいたというのか。
『本当の事を言うと、コレらはわらわの所有物ではない』
「……何?」
『これはある男が纏めていた集団。『ゼウスを信仰する者』とは、ゼウスマキナを崇拝する者達のこと』
「マキナ……を」
『いいや、お前にはこう言った方がいいか。マキ、あいつを崇拝する者達だ』
マキ。マキ……マキ…………サリナが見せた記憶に居た人物。
……いや待て! 何故こんな単純な事に気付かなかった! サリナはなんで記憶を持っているんだ!? おかしいだろ!
記憶を見せるという事は、つまり自分が持っていないと不可能なことだ。
『ようやく気づいたのか……そう、アレは再構築以降の記憶を所有している。原初の神とは、その者達の呼称だ』
サリナが『再構築』後も尚、記憶を所有して今まで生きてきた……?
何度も世界が変わり、その度自分だけが覚えていて周りは皆そのことを忘れている。
今まで何度『再構築』が行われたかは分からないが、きっと数十年なんてレベルじゃないだろう。
そんな体験をすれば感情がおかしくなる筈だ…………そうか、その果に生まれたのがこの『バステト』という人格か。
それがサリナ……バステトの他に、あと二人も居る……。
一体誰だ、残りの『原初の神』というやつらは。
俺が何度も世界をやり直してるとか、その度に俺じゃ無い誰かになっていた。
……ありえない……が、腑に落ちる。
「俺が、ねぇ……」
「どう? 自分が何者で何を為すべきか分かった?」
膨大な情報量。普通なら受け止めきれないようなものばかりだった。俺だってまだ全てを受け止めきれてはいない。
「俺は一体何人目だサリナ」
「知らない」
ああそうか。コイツもまた『再構築』の影響によって覚えていないのか。
「うっ……」
「おい! どうした!?」
「……何? 心配してくれるの?」
「いや……そんなつもりは」
どうしちまったんだ俺。何でこんな奴を心配してんだよ。
まさかコイツの過去に同情でもしたってのか?
しかし、まだ分からない事がある。
「サリナ。お前、『盟約』の代償はどうした」
「……さて、何のことかな? 私にそんなものは無いと――」
「とぼけんな。そもそも 『盟約』を代償無しに一方的に結ぶなんて不可能なんだよ」
「……なんでそう思うのかな?」
「『イリアスのコア』の力は絶対だ。例外なんて存在しない。お前自身が俺に見せた事だろうが……何を代償にした」
サリナは言いづらそうな顔だった。でも、言ってもらわなくちゃ困る。
「サリナ、言え」
「嫌よ」
「サリナァァァッ!」
「嫌だったら嫌ッ! ――うっ」
サリナが再び頭を抑えだした。……きっとコレが代償だ。
何かを出さないようにもがいている……? まだ出てくるな等を言っている。
…………しばらく頭を抑えた後、サリナはついに顔を上げた。
『……やかましい、人間。わらわを誰だと思っている』
「……誰だ、お前…………」
見た目はサリナだが、明らかにさっきのサリナではない。
この雰囲気、まさか『神力』か。
『わらわは――』
「お前はサリナだろ」
『わらわの話を遮るな。それに、アレはわらわの過去の異物に過ぎん……だが、お前のお陰でわらわに再びこの体の所有権が渡った。感謝するぞ人間』
俺のおかげだと? 俺は何もしてないぞ。
「俺がなにをしたって?」
『アレに『盟約』を発動させたのだろう』
「何いってんだ。サリナは勝手に――」
『それだ。アレはわらわの過去の姿……人格。ふとした時に出てくるのだ。だが、やつは『代償』を払った』
代償……そういうことか。サリナ、お前が払ったのは体の所有権をこのよく分からん神に渡すというものだったのか。
それで言いたくなかった訳か。……サリナ、お前はそこまでして結局俺に何をさせたかったんだ……。
『それについてはわらわが教えてやろう』
「俺は何も言ってないぞ」
『わらわの前で嘘や隠し事などできん』
考えたことまでもこの女の前では、筒抜けってことか。
『その通り』
俺が一番苦手とするタイプだ。
『まぁそういうな。……そういえばお前がわらわの話を遮ったせいで自己紹介がまだだったな。わらわの名はバステト。原初の神の一人』
「原初の……神……サリナが見せた記憶の中にそんな単語があった」
『フッ……そうか。やはりアレはそんなものをお前に見せたのか。そんな事をしても意味など無いというのにな』
本当だよ。お前は何がしたかったんだよ……サリナ。
『原初の神は世界に三人居る』
「お前と、後二人は誰だ」
『その前にわらわ達の周りにいるハエが煩いな』
いつの間にか俺達は『ゼウスを信仰する者』に囲まれていた。
クソッ。さっき倒した奴ら……だけではないな。
「っておい、待て! 何だこの数!?」
百や二百なんてレベルじゃないぞ! この『シーレンハイル』全てを埋め尽くすほどの数。千は居るんじゃかこれ……。
『下がれ、お前たち。わらわ達は今大事な話の途中だ』
「…………おいお前今なんて言った?」
『何がだ人間』
「お前今コイツらに下がれって言ったのか」
『そうだが?』
「まさかお前がコイツの頭か!!」
俺の中に憎しみの感情が湧き出てくる。これは俺のものじゃない。
これは……フィーのものだ。
(待て、フィー! 今お前が出るのはマズイ!)
『ほう、お前もわらわと同じく内に異物を抱える者か……面白い。これは面白いぞ』
(フィー! 良いかよく聞け! お前が今出てきた所で勝てはしない!)
…………。
(クソッ……なんで返事しやがらねぇんだ)
「何故かお前たちを殺したくて殺したくて堪らない」
『わらわはいいが、お前はこの数を相手に勝てるのか?』
……無理だな。逃げるにしても逃げる道がない。コイツらまさかずっとこの『シーレンハイル』に潜んでいたというのか。
『本当の事を言うと、コレらはわらわの所有物ではない』
「……何?」
『これはある男が纏めていた集団。『ゼウスを信仰する者』とは、ゼウスマキナを崇拝する者達のこと』
「マキナ……を」
『いいや、お前にはこう言った方がいいか。マキ、あいつを崇拝する者達だ』
マキ。マキ……マキ…………サリナが見せた記憶に居た人物。
……いや待て! 何故こんな単純な事に気付かなかった! サリナはなんで記憶を持っているんだ!? おかしいだろ!
記憶を見せるという事は、つまり自分が持っていないと不可能なことだ。
『ようやく気づいたのか……そう、アレは再構築以降の記憶を所有している。原初の神とは、その者達の呼称だ』
サリナが『再構築』後も尚、記憶を所有して今まで生きてきた……?
何度も世界が変わり、その度自分だけが覚えていて周りは皆そのことを忘れている。
今まで何度『再構築』が行われたかは分からないが、きっと数十年なんてレベルじゃないだろう。
そんな体験をすれば感情がおかしくなる筈だ…………そうか、その果に生まれたのがこの『バステト』という人格か。
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