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「マキナ世界構築篇:後継の刻」
Re:第五話【支離滅裂】
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「逃げられるとお思いですか、お姉様」
「……君も随分としつこくなったね」
カエデは険しい表情でアリスを見つめる。その目には迷いがないが、どこか哀しみも宿しているようだった。
「それ程お姉様が大事なだけです。さぁ、行きましょう?」
「…………どこにだい?」
アリスは小さく微笑む。その微笑みにはどこか皮肉めいた冷たさがあった。
「エルザとフィーの元へ」
「――っ!?」
カエデの表情が一瞬だけ硬直する。
【この世界に存在するのか……? いや、あり得ないことはない……でも、今戻れば僕の目的は達成されない】
「驚きましたか?」
「まぁね。でも僕の意思は変わらないよ?」
アリスはカエデに一歩近づく。その距離感には、かつての姉妹としての絆のようなものが感じられた。
「彼に会いたくないのですか?」
「……会いたいさ。でも、僕は皆を救うと決めたのさ」
その言葉に、アリスはため息をついた。
「はぁ……お姉様。あの少年をどうするおつもりで?」
「君には関係ないことだ」
「まさかとは思いますが、あの少年に世界の運命を背負わせる気ですか? 混じる前のあの少年に……」
その瞬間、カエデの目に鋭い光が宿る。
「…………アリス、いい加減にしないと怒りますよ?」
アリスはカエデの怒りを受けても動じることなく、静かに詠唱を口にする。
「わたくしも怒っています。どうしようもなく聞き分けの悪いお姉様に――水よ」
その一言で周囲の空気が変わった。洞窟の隙間から集まった水分がアリスを中心に渦を巻き、やがて鋭利な刃の形を取り始める。それは自然の美しさを感じさせると同時に、見る者に恐怖を与える圧倒的な威圧感を放っていた。
「君のその水で戦う戦闘スタイル、相変わらず美しいね」
「褒め言葉と受け取っておきます」
カエデは静かに魔法陣を展開し、その光に包まれる。あらゆる魔法を得意とする彼女は、これまでの経験で練り上げた独自のスタイルを駆使し、アリスに対抗する準備を整えていた。
「行くよ、アリス」
「来なさい、お姉様」
アリスが放った水の刃が高速で飛来する。しかし、カエデはそれを炎の壁で消し去る。その炎はただ燃え盛るだけでなく、魔力を込めた青白い光を放っていた。
「まだまだです」
アリスは再び「水よ」と詠唱する。それだけで天井から滴る水滴が槍となり、無数の矢となってカエデを取り囲む。
「この程度で……」
カエデは右手を掲げ、炎の魔法陣を展開させる。その炎が周囲を包み込み、全ての水を蒸発させた。
カエデの魔法が圧倒的な力を見せつける中、アリスは再び距離を取り、冷静に次の手を考える。
「お姉様、やはりその力……今の私では及びませんね」
そう言いながらも、アリスの目にはまだ諦めの色が見えない。
「でも、お姉様が間違っているのなら、私は何度でも立ち向かいます」
カエデはその言葉に一瞬、動揺を見せたが、すぐにその感情をかき消した。
「……君がどれだけ挑んできても、僕は僕の道を進む。それが間違いだとしても、今は信じるしかない。……縋るしかないのさ」
カエデは再び手をかざし、睡眠魔法を発動する。
「少しだけ休んでいてアリス……ゴメンね」
アリスが倒れた後、カエデはアスフィの元へと戻った。その顔にはどこか悲しげな表情が浮かんでいた。
「先生……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。でも、これからが本番だ」
カエデは遠くを見つめながら静かに呟いた。
「アスフィ」
「はい、何でしょう先生?」
「……これは僕のやり直しの物語だ。僕だけの……だから……その……」
カエデは視線を下げ、僅かに口を噤んだ。目の前にいるのはまだ五歳の少年。アスフィに全てを話すべきか否か――迷いが彼女の心を蝕む。
【分かってる……分かってますよ、アリス。あなたが言いたいことは……でも、この手はもう汚れている。私はもうあの頃のルクスではない。だから……追って来ないでほしい】
過去の自分と、今の自分。その狭間で苦悩するカエデ。
「先生……泣いてるんですか?」
「……いや、泣いてないよ。ごめんね、何も無い。さぁ行こうか」
振り向いた彼女の顔は、微笑みの形をしているものの、どこか寂しげだった。
「先生。あなたは捨てられていた僕をここまで育ててくれました。あなたは僕にとって親同然です」
その言葉に、カエデは息を呑んだ。
【違う】
「ですから先生が全部背負い込むことは無いと思います!」
【やめて】
「僕には先生が何を考えているのかは分かりません。でも、あの青髪の人、お知り合いなんですよね?」
【嫌だ】
「なら先生のやりたいこと、手伝ってもらいましょう! もちろん、僕も手伝います! だから――」
「やめろって言ってんだよっ!!!」
強く響く怒声。その瞬間、カエデは自身の声に驚いた。
「え……」
「ぁ……」
(やってしまった)
「違っ――」
何かを言いかけたカエデだったが、その言葉を遮るようにアスフィが俯いたまま言った。
「ごめんなさい。僕の考えが浅はかでした。偉そうに先生を手伝うなどと……おこがましいですよね。……僕はもう大丈夫です。先生に教えて頂いたことを活かして、これからは一人で生きていきます。今まで先生の足を引っ張ってごめんなさい」
少年の瞳に宿るのは、絶望の色。
(違うっ!僕が言いたかったのはそういうことじゃ……あれ……声が出ない……)
必死に言葉を紡ごうとするが、喉が塞がったように声が出ない。
アスフィはそのまま振り返り、洞窟の外へと駆け出していった。
(動け、僕の足!!動けよ!今すぐあの子を追えっ!)
カエデの体はその場に縫い止められたかのように動かない。ただ見つめるしかなかった。
アスフィの背中は次第に小さくなり、暗い洞窟の向こうに消えていった。
(……何故、動かない)
【――それが混じるってことさ】
内から聞こえる声に、カエデは静かに目を瞑った――。
「……君も随分としつこくなったね」
カエデは険しい表情でアリスを見つめる。その目には迷いがないが、どこか哀しみも宿しているようだった。
「それ程お姉様が大事なだけです。さぁ、行きましょう?」
「…………どこにだい?」
アリスは小さく微笑む。その微笑みにはどこか皮肉めいた冷たさがあった。
「エルザとフィーの元へ」
「――っ!?」
カエデの表情が一瞬だけ硬直する。
【この世界に存在するのか……? いや、あり得ないことはない……でも、今戻れば僕の目的は達成されない】
「驚きましたか?」
「まぁね。でも僕の意思は変わらないよ?」
アリスはカエデに一歩近づく。その距離感には、かつての姉妹としての絆のようなものが感じられた。
「彼に会いたくないのですか?」
「……会いたいさ。でも、僕は皆を救うと決めたのさ」
その言葉に、アリスはため息をついた。
「はぁ……お姉様。あの少年をどうするおつもりで?」
「君には関係ないことだ」
「まさかとは思いますが、あの少年に世界の運命を背負わせる気ですか? 混じる前のあの少年に……」
その瞬間、カエデの目に鋭い光が宿る。
「…………アリス、いい加減にしないと怒りますよ?」
アリスはカエデの怒りを受けても動じることなく、静かに詠唱を口にする。
「わたくしも怒っています。どうしようもなく聞き分けの悪いお姉様に――水よ」
その一言で周囲の空気が変わった。洞窟の隙間から集まった水分がアリスを中心に渦を巻き、やがて鋭利な刃の形を取り始める。それは自然の美しさを感じさせると同時に、見る者に恐怖を与える圧倒的な威圧感を放っていた。
「君のその水で戦う戦闘スタイル、相変わらず美しいね」
「褒め言葉と受け取っておきます」
カエデは静かに魔法陣を展開し、その光に包まれる。あらゆる魔法を得意とする彼女は、これまでの経験で練り上げた独自のスタイルを駆使し、アリスに対抗する準備を整えていた。
「行くよ、アリス」
「来なさい、お姉様」
アリスが放った水の刃が高速で飛来する。しかし、カエデはそれを炎の壁で消し去る。その炎はただ燃え盛るだけでなく、魔力を込めた青白い光を放っていた。
「まだまだです」
アリスは再び「水よ」と詠唱する。それだけで天井から滴る水滴が槍となり、無数の矢となってカエデを取り囲む。
「この程度で……」
カエデは右手を掲げ、炎の魔法陣を展開させる。その炎が周囲を包み込み、全ての水を蒸発させた。
カエデの魔法が圧倒的な力を見せつける中、アリスは再び距離を取り、冷静に次の手を考える。
「お姉様、やはりその力……今の私では及びませんね」
そう言いながらも、アリスの目にはまだ諦めの色が見えない。
「でも、お姉様が間違っているのなら、私は何度でも立ち向かいます」
カエデはその言葉に一瞬、動揺を見せたが、すぐにその感情をかき消した。
「……君がどれだけ挑んできても、僕は僕の道を進む。それが間違いだとしても、今は信じるしかない。……縋るしかないのさ」
カエデは再び手をかざし、睡眠魔法を発動する。
「少しだけ休んでいてアリス……ゴメンね」
アリスが倒れた後、カエデはアスフィの元へと戻った。その顔にはどこか悲しげな表情が浮かんでいた。
「先生……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。でも、これからが本番だ」
カエデは遠くを見つめながら静かに呟いた。
「アスフィ」
「はい、何でしょう先生?」
「……これは僕のやり直しの物語だ。僕だけの……だから……その……」
カエデは視線を下げ、僅かに口を噤んだ。目の前にいるのはまだ五歳の少年。アスフィに全てを話すべきか否か――迷いが彼女の心を蝕む。
【分かってる……分かってますよ、アリス。あなたが言いたいことは……でも、この手はもう汚れている。私はもうあの頃のルクスではない。だから……追って来ないでほしい】
過去の自分と、今の自分。その狭間で苦悩するカエデ。
「先生……泣いてるんですか?」
「……いや、泣いてないよ。ごめんね、何も無い。さぁ行こうか」
振り向いた彼女の顔は、微笑みの形をしているものの、どこか寂しげだった。
「先生。あなたは捨てられていた僕をここまで育ててくれました。あなたは僕にとって親同然です」
その言葉に、カエデは息を呑んだ。
【違う】
「ですから先生が全部背負い込むことは無いと思います!」
【やめて】
「僕には先生が何を考えているのかは分かりません。でも、あの青髪の人、お知り合いなんですよね?」
【嫌だ】
「なら先生のやりたいこと、手伝ってもらいましょう! もちろん、僕も手伝います! だから――」
「やめろって言ってんだよっ!!!」
強く響く怒声。その瞬間、カエデは自身の声に驚いた。
「え……」
「ぁ……」
(やってしまった)
「違っ――」
何かを言いかけたカエデだったが、その言葉を遮るようにアスフィが俯いたまま言った。
「ごめんなさい。僕の考えが浅はかでした。偉そうに先生を手伝うなどと……おこがましいですよね。……僕はもう大丈夫です。先生に教えて頂いたことを活かして、これからは一人で生きていきます。今まで先生の足を引っ張ってごめんなさい」
少年の瞳に宿るのは、絶望の色。
(違うっ!僕が言いたかったのはそういうことじゃ……あれ……声が出ない……)
必死に言葉を紡ごうとするが、喉が塞がったように声が出ない。
アスフィはそのまま振り返り、洞窟の外へと駆け出していった。
(動け、僕の足!!動けよ!今すぐあの子を追えっ!)
カエデの体はその場に縫い止められたかのように動かない。ただ見つめるしかなかった。
アスフィの背中は次第に小さくなり、暗い洞窟の向こうに消えていった。
(……何故、動かない)
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