257 / 282
新章 第二幕 【NEO: Divergence】
Re:第二十五話「マキ&スドウ」
しおりを挟む
──そして時間は少し戻る。
「おい見ろ、マキ!」
「どうしたのスドウくん」
マキとスドウ。制服姿の二人組は、ゼウス・マキナを探し、この奇妙な世界を正すために行動していた。
そうは言っても、今の二人は心許ない存在だった。
かつて持っていた力も、今はない。
制服姿でただ歩くしかない、無力な少年と少女にすぎない。
それでも、どこか呑気な空気が流れていた。
「これって……」
「足跡、だな。それも人間のものじゃない……まさかとは思っていたが」
スドウの声に、マキは素直に首をかしげる。
「どういうこと?」
「……魔獣がいるってことだよ」
「そうなんだ」
あまりにあっさりとした反応に、スドウは肩を落とす。
「そうなんだ、じゃねえよ……」
無邪気なマキに、思わず呆れを隠せない。
だが、そんなやり取りもこの二人らしかった。
「だって我……じゃなくて、私が居るから問題ないよ」
「……はぁ。お前は相変わらずだな。……今の自分の姿、ちゃんと見てみろ」
言われてマキは自分を見下ろした。
制服。
それが今の彼女たちのすべてだった。
「目が回った」
「……制服なんだよ、俺たち。だから、多分……力は無い」
静かにスドウは現実を突きつける。
「え?それってもうビリビリ出せないの?」
(お前の中ではあれ、ビリビリだったのかよ……)
思わず心の中でツッコミを入れる。
「そうだ。ビリビリも、飛行も無理。つまり移動手段は……徒歩ってわけだ」
「面倒だね」
「そうだな。面倒で済めばいいが……ただの人間が魔物や魔獣に勝てると思うか?」
(……勝ててゴブリン一匹ってところだ)
「……無理かな」
「詰みだな。……俺たちは元々、そういう人間だ。今までが異常だっただけだ」
スドウの言葉は現実的だった。
それでもマキは、屈託のない笑顔で言った。
「でも、須藤 剣一。なら出来る」
「何を根拠に──」
「須藤剣一の剣術は“世界が与えたものじゃない”」
「──っ」
その一言は、スドウの胸に刺さる。
(俺の剣は……この世界の理を超えている?)
そう、どこかで自分でも理解していた。
「正直、一般人相手なら勝てるが、魔獣相手じゃどうなるか分からねぇ。……残念だがな」
「ううん、スドウくんならいける」
両手でガッツポーズをとるマキ。
スドウはその無邪気さに苦笑した。
「…………はぁ。お前には敵わねぇよ」
そう言いつつ、彼は近くに落ちていた木の棒を拾い上げる。
(竹刀にしては脆い……だが)
彼は迷わず振り下ろした。
「ハッ!」
軽い音と共に、木の棒はあっさりと折れた。
「…………やっぱりな」
スドウは苦笑するしかない。
そんな彼を見て、マキは無邪気に拍手を送った。
(賞賛か?いや……バカにされてるよな、これ)
「こんなんじゃダメだ」
「でも、腕は鈍ってない。いい感じだったよ」
「……まぁな」
少し照れ臭そうに、スドウは頭を掻く。
「ここってどの辺りなんだろうね」
「分からねぇ。今までの世界とは違う。……何かがおかしい」
彼はふと、足元を見た。
草木は枯れ、空気は澱んでいる。まるで世界そのものが狂っているかのようだった。
(理が反転しているかも……だなんて、マキには言えねぇな)
「とにかく、じっとしてても仕方ねぇ。行くぞ、マキ」
「どこに?」
「……誰かいないか、とか」
「なるほど。人探しだね」
二人は並んで歩き出した。
足元を踏みしめる音だけが、静寂に響く。
無力で、頼りない旅。それでも、止まる理由はなかった。
---
やがて、彼らは辿り着く。
「……これって」
「どうしたの、スドウくん」
スドウの前に現れたそれは、どこか見覚えのある光景だった。
「…………ミスタリス城じゃねぇか」
二人の眼前にそびえ立っていたのは──
どこかの魔王嬢が創り上げた、本物に酷似した偽物の城だった。
しかし偽物であろうと、その威容は圧倒的だった。
異様な存在感が、二人を無言のまま立ち尽くさせる。
(本当に……どうなってやがる)
スドウは心の中で呟いた。
マキとスドウ。
二人の小さな歩みは、否応なくこの世界の核心へと踏み込んでいく──。
「おい見ろ、マキ!」
「どうしたのスドウくん」
マキとスドウ。制服姿の二人組は、ゼウス・マキナを探し、この奇妙な世界を正すために行動していた。
そうは言っても、今の二人は心許ない存在だった。
かつて持っていた力も、今はない。
制服姿でただ歩くしかない、無力な少年と少女にすぎない。
それでも、どこか呑気な空気が流れていた。
「これって……」
「足跡、だな。それも人間のものじゃない……まさかとは思っていたが」
スドウの声に、マキは素直に首をかしげる。
「どういうこと?」
「……魔獣がいるってことだよ」
「そうなんだ」
あまりにあっさりとした反応に、スドウは肩を落とす。
「そうなんだ、じゃねえよ……」
無邪気なマキに、思わず呆れを隠せない。
だが、そんなやり取りもこの二人らしかった。
「だって我……じゃなくて、私が居るから問題ないよ」
「……はぁ。お前は相変わらずだな。……今の自分の姿、ちゃんと見てみろ」
言われてマキは自分を見下ろした。
制服。
それが今の彼女たちのすべてだった。
「目が回った」
「……制服なんだよ、俺たち。だから、多分……力は無い」
静かにスドウは現実を突きつける。
「え?それってもうビリビリ出せないの?」
(お前の中ではあれ、ビリビリだったのかよ……)
思わず心の中でツッコミを入れる。
「そうだ。ビリビリも、飛行も無理。つまり移動手段は……徒歩ってわけだ」
「面倒だね」
「そうだな。面倒で済めばいいが……ただの人間が魔物や魔獣に勝てると思うか?」
(……勝ててゴブリン一匹ってところだ)
「……無理かな」
「詰みだな。……俺たちは元々、そういう人間だ。今までが異常だっただけだ」
スドウの言葉は現実的だった。
それでもマキは、屈託のない笑顔で言った。
「でも、須藤 剣一。なら出来る」
「何を根拠に──」
「須藤剣一の剣術は“世界が与えたものじゃない”」
「──っ」
その一言は、スドウの胸に刺さる。
(俺の剣は……この世界の理を超えている?)
そう、どこかで自分でも理解していた。
「正直、一般人相手なら勝てるが、魔獣相手じゃどうなるか分からねぇ。……残念だがな」
「ううん、スドウくんならいける」
両手でガッツポーズをとるマキ。
スドウはその無邪気さに苦笑した。
「…………はぁ。お前には敵わねぇよ」
そう言いつつ、彼は近くに落ちていた木の棒を拾い上げる。
(竹刀にしては脆い……だが)
彼は迷わず振り下ろした。
「ハッ!」
軽い音と共に、木の棒はあっさりと折れた。
「…………やっぱりな」
スドウは苦笑するしかない。
そんな彼を見て、マキは無邪気に拍手を送った。
(賞賛か?いや……バカにされてるよな、これ)
「こんなんじゃダメだ」
「でも、腕は鈍ってない。いい感じだったよ」
「……まぁな」
少し照れ臭そうに、スドウは頭を掻く。
「ここってどの辺りなんだろうね」
「分からねぇ。今までの世界とは違う。……何かがおかしい」
彼はふと、足元を見た。
草木は枯れ、空気は澱んでいる。まるで世界そのものが狂っているかのようだった。
(理が反転しているかも……だなんて、マキには言えねぇな)
「とにかく、じっとしてても仕方ねぇ。行くぞ、マキ」
「どこに?」
「……誰かいないか、とか」
「なるほど。人探しだね」
二人は並んで歩き出した。
足元を踏みしめる音だけが、静寂に響く。
無力で、頼りない旅。それでも、止まる理由はなかった。
---
やがて、彼らは辿り着く。
「……これって」
「どうしたの、スドウくん」
スドウの前に現れたそれは、どこか見覚えのある光景だった。
「…………ミスタリス城じゃねぇか」
二人の眼前にそびえ立っていたのは──
どこかの魔王嬢が創り上げた、本物に酷似した偽物の城だった。
しかし偽物であろうと、その威容は圧倒的だった。
異様な存在感が、二人を無言のまま立ち尽くさせる。
(本当に……どうなってやがる)
スドウは心の中で呟いた。
マキとスドウ。
二人の小さな歩みは、否応なくこの世界の核心へと踏み込んでいく──。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる