私が聖女とかって笑うしかないんですけど!

Erie

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第1章:私が聖女って冗談ですか?

怒涛のお妃教育

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お父様が王家との婚約関係の書類にサインした後、お妃教育が早速始まったのは、別にびっくりしなかったけど、通いはここ1ヶ月で正式に「婚約の儀」が行われる2ヶ月後に間に合わせる為と安全面の為に私の身は王家の預かりということになった。

聖女を迎えることになるカイル様は「王太子」になることが決まっているので、私もそれに合わせた教育を施される為だ。

いやー、だからいきなり王宮住まいですか?

王宮にいる方が教育もかなり押し込んで進められるという魂胆もあるのだろう。

男爵家のサロンほど広い個室の部屋には王族らしい豪華な調度が並んでいるけれど、私が使うなんてベットと書き物をする机ぐらいだ。


客室用のお部屋と共に私専属の侍女も付いてきた。男爵家でお世話してくれた侍女は私のお世話以外にもお母様のお世話もあるから連れてはいけないから。

「エレーネでございます。ライラ様、これからよろしくお願い致します」

「私の方こそよろしくね?」

私よりも明らかに身分お高いお家の出身だということは所作でわかった。詳しい事情を聞いてはいないらしいけれど、王家にとって大事なお客様だということはわかっているみたいで、丁寧に接してくれるし、蔑まれている感じは受けない。

お妃教育の先生たちはおじいちゃん、おばあちゃん先生が多かったけれど、その道のプロで、丁寧だがかなり厳しい感じ。サボりなんかは許されない雰囲気。自己紹介が終わると早速勉強やレッスンが開始されたので、名前ぐらいしかわからない。

国の歴史と王家の歴史から始まって、近隣諸国の外国語とマナーを習ったり、ダンスの練習と魔法の練習から近隣諸国との関係の勉強などもあるけれど、まずは王家の一員になる為のプロトコールを叩き込ませることになった。それができないと公の場(婚約の儀)に出られないからね。

「初めからまっさらのライラ様は教えがいがあります」

とみんな意気込んで、まずは必要最小限の教育と立ち振る舞いの教育が開始された。朝から晩までみっちりと。お茶の時間もあるけれど、それもマナーの練習の一環で気を休めることができるのは部屋に帰ったあとぐらい。夕食の時間もカイル様とマナーの先生を交えてなので、リラックスはできない。

それにしても思ってたより大変すぎる!

普通の高位の令嬢が10年ぐらいかけて習得するものを2年で(最低限のラインとはいえ)やり遂げるにはこれぐらいのペースでないといけないらしかった。前世がお金持ちのお嬢様だったおかげでなんとかこなせてるけど!ベッドに入るとあっという間に眠りの彼方だ。

食事の時間はもっぱらカイル様のお話や先生のお話(食べ物に関する王家の歴史などが話される)で終わるから会話疲れはないのだけれど。

コンコンコン、

とドアがノックされる。

入ってきたのは、

「カイル様」

(書類の上では)私の婚約者様だ。だけど同士になったとはいえ夜分のご訪問はどうかと思うのだけれど、

「ライラ、夜分にすまない。これを渡そうと思って」

カイル様の手の中にあったのは桃色のキャンディーの袋。

「王太子妃教育は大変だろう。疲れた時は褒美がいると思ってな」

明らかに王宮で作られたものではない王都のお店で買ってきたような庶民向けのキャンディーだった。

「ほら、試してみろ。気に入らないなら他の味にするから」

キャンディーは優しいイチゴ味。日本に帰ってような懐かしい味がするこのキャンディーは男爵家で私がよく食べていたものだった。

「どうだ?」

「美味しい」

カイル様は私の頭を撫でると

「また明日」

といって開いていたドアを閉めて行ってしまった。

意外と優しい、のかも。

私は優しいキャンディーの味を噛み締めながらその夜眠りについた。











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