私が聖女とかって笑うしかないんですけど!

Erie

文字の大きさ
4 / 11
第1章:私が聖女って冗談ですか?

腹黒王子の婚約者に認定されました!

しおりを挟む
「綺麗…」

連れてこられた王宮庭園は王族のみしか入れない特別なところで、色々な魔法植物や異国の花々も植えられていると話には聞いていたけれど、実際に見てみると、圧巻だった。王子様はすごい機嫌よく色々話しかけてくる。

めっちゃ、気に入られてる、私?

「ここは母上のお気に入りの場所でね。母上が育てた薔薇もあるんですよ」

そういって、ある程度の会話をして、私が少しリラックスした瞬間、どう考えても普通でない虹色の薔薇を手折られて、跪かれた。

「で、殿下?」

「カイルと呼んでください。ライラ、と呼んでも?」

「はい。あの…っ!」

「ライラ、この度は急な申し出で戸惑ってしまったと思うが、あなたのように素直で可愛らしい令嬢を私の妻に出来る事を幸運に思っている。こういう出会い方も運命というものにはならないだろうか?」

「カイル様」

「私はこの国を将来担う者として国と民の事を1番に考えなければならないが、君のことを大切にする。これから時間をかけてお互いを知り、愛を育むこともできると私は思う。聖女の義務としてではなく、君が私との婚約を承諾してくれると嬉しいのだが?私の妻になり、共に歩んでくれないか?」

カイル様は私の手取って、その美しく澄んだ青い瞳が私を射抜く。

こっ、これは玉の輿だわ。前世でも王族とは付き合ったことはなかった!それもこれほどの美形と!

「はい、私では役不足だと思いますが、お受けいたします」

「ふっ」

えっ?

私に虹の薔薇を手渡した王子の笑みが歓喜ではなく少し黒い笑みだったのは目の錯覚よね?

この世界では男といえば執事とお父様ぐらいしか知らない男爵令嬢の私が、初対面で少し話しただけの王子様の本性を見抜けなかったのは仕方ないと思いたい。

怒涛の展開で前世の男漁りをしていた頃のウハウハの記憶を総動員できなかった。

今となって思えば、あの時に感じた笑みの違和感はやはり「王子の本質は腹黒だ」と警告だったのに。

まあ知ったからといって婚約をなしにできるなんて思わなかったけれどね。

とりあえず、王子樣の薔薇を受け取って、引き続きお互いの身の上話をしたのだった。

私の方はたわいない男爵家での生活などをお話ししたのだけれど、名前だけの王子様だったカイル様の身の上は思ったより複雑だった。カイル王子は第一王子で正妃であられる隣国の第2王女様とのお子様で、現在18歳。側室のお子である第2王子のレオン様とは仲は良くなく、幼い時からほとんど顔をあわせることなく、育てたれたのだという。年の離れた弟君のシャール様とは異母弟でないためそういうことはなかったけれど、幼い時から暗殺されかけたり、色々危険な目にあってきたのだそう。第一王子でも自動的に王太子となれる国柄ではない為、王室内はカイル派とレオン派に分かれて激しい争いを繰り返してきたのだそう。過去に名前の上がった婚約者候補に上がった令嬢に危険が及んだこともあって、普通なら婚約者がいても不思議ではないのに「男爵令嬢がすんなり婚約者」になれたのはこういう理由もあったらしい。ちなみにレオン様にはすでにアライン公爵家のご令嬢が婚約者で、公爵家の財力と教会側の教皇様がバックに付いているので、側室の息子だからといってレオン様を押しのけて簡単に「王太子」になるわけにもいかず、という状態だったらしい。

「君が私のものになってくれて良かった。これで立太子できる」

「えっ?」

それが目的だったんですね。だからいきなり婚約してもニコニコな訳だ。

「さ、行こうか?早速父上に報告して、話を具体的に進めよう」

*****

謁見の間に戻ってみれば、お父様と王様の間で書面での誓約を結ぶための覚書が交わされており、正式な書類は後日交わされることになったと報告を受けた。

カイル様が私がカイル様の求婚を受けたという話を聞いた王様は「早速、婚約の通知と婚約の印の加護の指輪を作らねばな」といわれた。

加護の指輪とは王族の夫婦に与えられる魔力の宿る指輪で夫婦となる者の魔力を混じり合わせた魔石を元に作る指輪のことだそう。王宮魔術師の立会いのもと儀式が行われるのだという。

「とりあえず書類を交わした後、婚約したことを書面で発表し、王族の婚約者としての礼儀が身についた点で、婚約披露の宴を行い、2年後に挙式ということになるが、結婚までに最低限の王太子妃教育をし、その後もそれは続くことになるが、良いな?」

と王様にいわれて、謁見はお開きとなった。

普通は数十年かけてやる王太子妃教育を最低限とはいえたった2年でやるなんて冗談でしょう?と思うけれど、私に
断る余地はなく、翌日から教育を受ける為の王宮通いでいきなり私の周りは忙しくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず
恋愛
ある日、ユウとチカの姉妹が乙女ゲームの世界に聖女様として召喚された。 好きなゲームの世界に入れたと喜ぶ妹のチカ。 本来、聖女様として召喚されるのだったの一人。どちらかが死に、召喚された。 妹のことが大切な姉のユウは、妹がこの世界にいたいのならば私が偽物となってこの世界から消えようと決意する。 *乙女ゲーマーによる小説です。乙女ゲーになろう設定混ぜ込んでみました。 *乙女ゲーによくある設定(共通ルートやバッドエンドなどのよくある設定)の説明があります。分かりにくかったらすみません。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた

桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。 どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。 「もういい。愛されたいなんて、くだらない」 そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。 第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。 そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。 愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

処理中です...