この夏の夜、君を愛せるか

神木 瑠璃

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夏の学校

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階段を上り終え、部室のドアを勢いよく開ける。
瞬間、ぶわっと冷たい空気が頬を掠めた。
「…す、涼しいー!」
「ほんとだ、涼しい!クーラーつけていてくれたんだ」
私たちはキャッキャと喜ぶ。ついていなかったらどうしようかと思ったが、とても涼しくて心地よい。
「さすがに今日は暑いからね、顧問に言ってつけさせて貰ったよ」
先に居た先輩が、こっちに歩み寄りながら言った。
志木しき先輩…!」
八重ちゃんは嬉しそうに先輩の名前を呼ぶ。そう、八重ちゃんは志木先輩の事が好きなのだ。
一方、志木先輩はというと嫌っている素振りは無く、むしろ好きなのではないかと思う。相思相愛、両思いってやつだ。ずるい、羨ましい。
「二人とも暑そうだね、あそこに居るといいよ。風が良く当たる」
そう言って先輩は黒板の方を指差す。あそこはクーラーの風が良く当たる場所だ。授業中に、黒板の前に立っている先生が寒いと言っていた。
「ありがとうございます!」
八重ちゃんは先輩に優しい笑顔を向けて、黒板の方へ走っていく。それに私もついていく。
私は志木先輩と仲が悪いわけではないし、同じ部なのもあって話す方だ。でも八重ちゃんの恋を邪魔したくないし、応援しているのでなるべく余計な事はしないよう、注意している。

クーラーの風に当たり、あの地獄のような暑さが感じなくなった頃、部室のドアが勢いよく開いた。
「はあ、涼しいー!」
やって来たのは、私たちと同じ部で、志木先輩と同じクラスの伊藤いとう先輩だった。
「はは、藍花ちゃんと同じ登場の仕方だ」
「いやー、クーラーついてると思わなくてさ」
「みんなそう言うよね」
「だって、あの顧問がつけてくれると思うか?俺だって暑いんだよとか言ってくるだけだろ!」
「まあ…確かに」
先輩たちは相変わらず仲が良い。
私たちと似たような会話をしているなと思った時だった。
「ふふ、私たちと同じようなこと言ってるね」
こそこそと、八重ちゃんが私の耳元でそう言った。
「えへへ、同じこと思ってた」
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