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第四話 欲情
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自分のことを大好きと素直に口にするトモヤ。
それが疑似兄弟的なものだとしても嬉しく感じる自分がいる事に気づき、次第に弟のような存在以上の気持ちが湧き出てきた事に気づき始めたのはいつだっただろうか。
同じ学校の女子生徒から付き合って欲しいと、告白をされた事が何回かある。しかし接点があって交流がある人物ならまだしも告白してくる相手は知らない相手ばかりだった。
本人がどういう人物なのかどうかはおろか、名前すら知らない相手といきなり恋人同士になれと言われても困惑しかない。自分の事が好きというより、十代を謳歌する数あるカテゴリの中にある、恋人がいるというステータスが欲しいようにしか思えなかった。クラスメイトからは毎回よく知らない相手と付き合えないことを理由に告白を断る自分の事を贅沢すぎると非難されたが、勝手に十代を謳歌するためのステータスとして利用されるこっちもいい迷惑だ。
一方のトモヤは単純だ。ブロッコリーは嫌いだが、から揚げは好き。勉強は嫌いだが、ゲームは好き。俺のことは大好きらしいので、自惚れている訳ではないが、好きより一段階上らしい。
懐いてくるトモヤ。そっけなくしてしまってもめげずにちょろちょろとついてくるトモヤ。なんで無愛想な自分なんかに。決して本人には言わないが懐いてくれているのが愛らしく、嬉しいのが本心だった。カマキリの卵云々でゲームを取り上げられたから自宅にゲームをしにくるのをOKした時に抱きつかれた時も口では暑苦しいから抱きつくな、と嫌がるが本心ではそのスキンシップが嬉しく感じる自分がいた事も事実だ。
だがトモヤは基本誰にでも愛想がいい。まだ子供なこともあってあまり人と壁を作らないのが理由だが、トモヤが自分以外の誰かに笑いかけていると、胸の中がドロドロとしたもので侵食される。あの笑顔を独り占めしたいと大人気ない嫉妬心を抱いている事。首をもたげるトモヤに対する歪んだ感情、庇護欲以上の何か、それを抱いている自分に恐れを感じた。いけない、こんなことではダメだと思うのに、思えば思うほど欲が強くなる。だが幸い自分の中で完結している想いだ、矛先の向け用のない複雑な気持ちは心の奥にしまっておこう。
そう思っていた頃だった、あの日トモヤの家でトモヤと2人きりでの留守番を頼まれたのは。
◇
「よいしょ…っ」
目の間には白のワンピースを着てロングヘアのウィッグを被り、カンカン帽を被った女の子の姿をしたトモヤが自分のジーンズを脱がすのを手伝っている。異様な光景だった。なぜこんな事になってしまったのだろう。突然現れた白のワンピースを着た女の子、の姿をしたトモヤに驚いたと同時に息を呑み目を奪われた。よくよく見るとトモヤなのだが、中性的な容姿がかえって魅力を引き立たせていた。
そして更に自分に奉仕したいととんでもないことを言い出すトモヤを全力で止めた。だが涙目で上目遣いに自分にしたいと訴えかけてくるトモヤが、あまりにも健気で胸が締め付けられた。どうしてもダメかと、鼻にかかった声は幼いながらも色っぽさが微かにあり息を呑んでしまった。まっすぐな瞳で見つめられ、NOと言えなくなってしまった事を思い返した頃には下半身はボクサーパンツ一枚の下着姿になっていた。勃起しているのが視覚的にまざまざ思い知らされいたたまれない。
「俺が、脱がしてもいい?」
そうトモヤが申し出てきたので渋々頷く。先程からトモヤの小さい口やその中にチラつくピンク色の舌から目が離せなかった。
「ひゃっ!?」
下着から飛び出した自分の性器に驚いたのかトモヤが素っ頓狂な声をあげる。その瞬間カンカン帽が頭から落ちてしまった。トモヤの小さい口、その中にある舌はまだきっと小さい。小さくてピンク色の舌で舐められたら、どんな心地だろう。懸命に手で扱かれるのもいいがこの小さな舌で舐められてみたい。想像しただけで下半身が熱くなり、今まで蓋をしていたトモヤに対する欲望が止まらなかった。
「どうするの?手でやるの?」
「いや、手じゃなくて、その、口…」
「口?舐めればいい?」
恐る恐る、そして興味深そうに自分の性器を撫でているトモヤに思わず心の声を答えてしまってハッとする。しまった、完全に無意識だった。素直に頷くトモヤは実行に移し始める。トモヤの小さくてピンク色の舌。たどたどしい舌が、もどかしい。
目の前の光景が信じられない。トモヤが自分の性器を舐め啜っている事実に。しかも、女の子の姿で。少し緊張しているのか、小刻みに震える舌が却って快感を増長させる要因になっている事にトモヤは気づいていない。ちらちらと俺の様子を伺うトモヤ。
「ね、気持ちいい?」
上目遣いで聞いてきて、どきっとする、トモヤは無意識だろうが、結構くる。どう舐めればいいのか、上手くできているか、逐一聞いてきて自分を気持ち良くさせようとしてくれている。ふと奉仕してくれるトモヤの髪を撫でる、ウィッグ特有の人工的な質感の髪はツルツルとしている。トモヤは心地よさそうに目を細めた。
程なくして射精してしまい、トモヤの顔や口に精液がかかってしまった。トモヤは何が起こったのか理解していないのか手についた精液を眺めながらポカンとしていて、急いでテッシュで顔や手についた汚れを拭き取ると、トモヤと目が合う。口でしてくれたトモヤが無性に愛おしく感じトモヤを抱きしめると石鹸の匂いだろうか。いい匂いがした。基礎体温が高いのかトモヤを抱きしめていると暖かい。
どれくらいそうしていたのかわからないが、しばらくするとトモヤの肩をそっと掴んで身体を離した。自分の身体が離れていった事が寂しいのか、トモヤは自分を切なげに見上げる。男なのに女の子の姿をしたトモヤ、複雑な想いにとても心乱されて、でも愛おしく感じる。トモヤの唇は少し色づいて濡れていて、それを見つめた後吸い込まれるようにキスしてしまった。完全に無意識だった。
こうして二人の秘密の日々は始まった。
◇
トモヤはキスの飲み込みがうまかった。
最初のうちこそ舌扱いは自分に翻弄されてばかりだったが、そのうちトモヤの方から吸い付いてくるようになった。少し呼吸をさせた方がいいだろうと唇を離すともっと欲しいと強請ってきたりもした。
女の子の姿のトモヤは不思議な魅力に包まれていた。
トモヤであることは間違い無いのに、別人のような、色気を感じさせた。何か塗っているのだろうか。唇は自然と、でもぽってりと色づき、唾液で濡れて余計に舐め回したくなる唇になっていた。子供に形容していい言葉ではないのはわかっている。でも抱き合い、唇を吸い合ってこの特別な秘密の時間に溺れるトモヤは同じ学校のどんな女子生徒よりも魅力的だった。
トモヤの背中にはほくろがあって、背中が見えるワンピースを着る日はトモヤを前に向かせ抱え込むとちょうど背中にそのほくろが見える。思わずそこに吸い付いてしまい、ゆっくり唇を這わせるとトモヤはくすぐったいと笑った。トモヤ本人でさえ見たことないであろう背中のホクロは夜空に輝く一番星のようで、その時だけトモヤを世界中から独占したような気分になることができた。
加速していくトモヤを独り占めしたい欲望。キスの上達が早いトモヤとの口付けは次第に小鳥が啄み合うような優しいものから獣のように貪り合うようなものに変わっていった。もうただ夢中でトモヤだけを見つめていた日々だった。
だが、終わりの日は呆気なくやってきた。
その日もいつものようにトモヤを抱きしめようとした時、トモヤの身体が異様に緊張していることに気づき、顔を覗いて察した。トモヤの伏せられた瞳には戸惑いと迷いがあった。何がきっかけか知らないが、恐らく自分のしていることが普通でないことに気付いたのだろう。トモヤの肩をそっと掴む。
「トモヤ」
「え、あ?な、何?」
肩を掴まれたトモヤはぼうっとしていたのか、少しびっくりしたように自分を見上げた。
「無理しなくていい」
トモヤはぽかんとしていたが、意味を察したのか少し目を見開くと視線を伏せた。床を見つめる目は若干潤んでいるようにも見える。
「む、無理なんてしてないよ」
「そうか」
いつものように頭を撫でてやる。混乱しているのか、ぎゅっと両手を握ったまま動かず、いつものように抱きついてこなかった。それでいい、今まで俺たちがしていたことは普通ではなかったのだから。少しホッとした自分がいたのも事実だった。トモヤ自ら気づいてくれてよかったと。だが心のどこかでお前は本当にそう思っているのか?と囁く煩わしい声が聞こえた気がしたが無視をした。
それから自然とトモヤと距離を置くように勤めた。幸い大学進学に向けての本格的な受験期間に入ることもあって、自然と距離を置くことができた。トモヤとトモヤの母親が買い物の帰りですれ違う時も挨拶程度に留めた。トモヤは何か言いたげな目をしていたが、俺の勉強の邪魔をしてはいけないと母親に咎められそれ以上何も言ってこなかった。
受験に合格し、卒業や入学の準備や引っ越しで怒涛の日々が過ぎ、ほとんどトモヤと会うことはなかった。上京する車中、移動の最中に何やら安堵している自分がいたことに気づく。自分はトモヤから逃げたかったのだろうか。ふと手元の両手を眺めこの手でトモヤの事を抱きしめたこと、口付けをしたこと、そしてそれ以上の行為をした事を一瞬思い出したが、すぐに頭から振り払う。忘れたがっている自分が居る事に気づいて、なんて臆病者なんだろうと手を握る。だがこれでいい、お互いのためにも。そう自分に言い聞かせて、窓の外の景色を眺めた。
新しい季節が巡ってくる。
それが疑似兄弟的なものだとしても嬉しく感じる自分がいる事に気づき、次第に弟のような存在以上の気持ちが湧き出てきた事に気づき始めたのはいつだっただろうか。
同じ学校の女子生徒から付き合って欲しいと、告白をされた事が何回かある。しかし接点があって交流がある人物ならまだしも告白してくる相手は知らない相手ばかりだった。
本人がどういう人物なのかどうかはおろか、名前すら知らない相手といきなり恋人同士になれと言われても困惑しかない。自分の事が好きというより、十代を謳歌する数あるカテゴリの中にある、恋人がいるというステータスが欲しいようにしか思えなかった。クラスメイトからは毎回よく知らない相手と付き合えないことを理由に告白を断る自分の事を贅沢すぎると非難されたが、勝手に十代を謳歌するためのステータスとして利用されるこっちもいい迷惑だ。
一方のトモヤは単純だ。ブロッコリーは嫌いだが、から揚げは好き。勉強は嫌いだが、ゲームは好き。俺のことは大好きらしいので、自惚れている訳ではないが、好きより一段階上らしい。
懐いてくるトモヤ。そっけなくしてしまってもめげずにちょろちょろとついてくるトモヤ。なんで無愛想な自分なんかに。決して本人には言わないが懐いてくれているのが愛らしく、嬉しいのが本心だった。カマキリの卵云々でゲームを取り上げられたから自宅にゲームをしにくるのをOKした時に抱きつかれた時も口では暑苦しいから抱きつくな、と嫌がるが本心ではそのスキンシップが嬉しく感じる自分がいた事も事実だ。
だがトモヤは基本誰にでも愛想がいい。まだ子供なこともあってあまり人と壁を作らないのが理由だが、トモヤが自分以外の誰かに笑いかけていると、胸の中がドロドロとしたもので侵食される。あの笑顔を独り占めしたいと大人気ない嫉妬心を抱いている事。首をもたげるトモヤに対する歪んだ感情、庇護欲以上の何か、それを抱いている自分に恐れを感じた。いけない、こんなことではダメだと思うのに、思えば思うほど欲が強くなる。だが幸い自分の中で完結している想いだ、矛先の向け用のない複雑な気持ちは心の奥にしまっておこう。
そう思っていた頃だった、あの日トモヤの家でトモヤと2人きりでの留守番を頼まれたのは。
◇
「よいしょ…っ」
目の間には白のワンピースを着てロングヘアのウィッグを被り、カンカン帽を被った女の子の姿をしたトモヤが自分のジーンズを脱がすのを手伝っている。異様な光景だった。なぜこんな事になってしまったのだろう。突然現れた白のワンピースを着た女の子、の姿をしたトモヤに驚いたと同時に息を呑み目を奪われた。よくよく見るとトモヤなのだが、中性的な容姿がかえって魅力を引き立たせていた。
そして更に自分に奉仕したいととんでもないことを言い出すトモヤを全力で止めた。だが涙目で上目遣いに自分にしたいと訴えかけてくるトモヤが、あまりにも健気で胸が締め付けられた。どうしてもダメかと、鼻にかかった声は幼いながらも色っぽさが微かにあり息を呑んでしまった。まっすぐな瞳で見つめられ、NOと言えなくなってしまった事を思い返した頃には下半身はボクサーパンツ一枚の下着姿になっていた。勃起しているのが視覚的にまざまざ思い知らされいたたまれない。
「俺が、脱がしてもいい?」
そうトモヤが申し出てきたので渋々頷く。先程からトモヤの小さい口やその中にチラつくピンク色の舌から目が離せなかった。
「ひゃっ!?」
下着から飛び出した自分の性器に驚いたのかトモヤが素っ頓狂な声をあげる。その瞬間カンカン帽が頭から落ちてしまった。トモヤの小さい口、その中にある舌はまだきっと小さい。小さくてピンク色の舌で舐められたら、どんな心地だろう。懸命に手で扱かれるのもいいがこの小さな舌で舐められてみたい。想像しただけで下半身が熱くなり、今まで蓋をしていたトモヤに対する欲望が止まらなかった。
「どうするの?手でやるの?」
「いや、手じゃなくて、その、口…」
「口?舐めればいい?」
恐る恐る、そして興味深そうに自分の性器を撫でているトモヤに思わず心の声を答えてしまってハッとする。しまった、完全に無意識だった。素直に頷くトモヤは実行に移し始める。トモヤの小さくてピンク色の舌。たどたどしい舌が、もどかしい。
目の前の光景が信じられない。トモヤが自分の性器を舐め啜っている事実に。しかも、女の子の姿で。少し緊張しているのか、小刻みに震える舌が却って快感を増長させる要因になっている事にトモヤは気づいていない。ちらちらと俺の様子を伺うトモヤ。
「ね、気持ちいい?」
上目遣いで聞いてきて、どきっとする、トモヤは無意識だろうが、結構くる。どう舐めればいいのか、上手くできているか、逐一聞いてきて自分を気持ち良くさせようとしてくれている。ふと奉仕してくれるトモヤの髪を撫でる、ウィッグ特有の人工的な質感の髪はツルツルとしている。トモヤは心地よさそうに目を細めた。
程なくして射精してしまい、トモヤの顔や口に精液がかかってしまった。トモヤは何が起こったのか理解していないのか手についた精液を眺めながらポカンとしていて、急いでテッシュで顔や手についた汚れを拭き取ると、トモヤと目が合う。口でしてくれたトモヤが無性に愛おしく感じトモヤを抱きしめると石鹸の匂いだろうか。いい匂いがした。基礎体温が高いのかトモヤを抱きしめていると暖かい。
どれくらいそうしていたのかわからないが、しばらくするとトモヤの肩をそっと掴んで身体を離した。自分の身体が離れていった事が寂しいのか、トモヤは自分を切なげに見上げる。男なのに女の子の姿をしたトモヤ、複雑な想いにとても心乱されて、でも愛おしく感じる。トモヤの唇は少し色づいて濡れていて、それを見つめた後吸い込まれるようにキスしてしまった。完全に無意識だった。
こうして二人の秘密の日々は始まった。
◇
トモヤはキスの飲み込みがうまかった。
最初のうちこそ舌扱いは自分に翻弄されてばかりだったが、そのうちトモヤの方から吸い付いてくるようになった。少し呼吸をさせた方がいいだろうと唇を離すともっと欲しいと強請ってきたりもした。
女の子の姿のトモヤは不思議な魅力に包まれていた。
トモヤであることは間違い無いのに、別人のような、色気を感じさせた。何か塗っているのだろうか。唇は自然と、でもぽってりと色づき、唾液で濡れて余計に舐め回したくなる唇になっていた。子供に形容していい言葉ではないのはわかっている。でも抱き合い、唇を吸い合ってこの特別な秘密の時間に溺れるトモヤは同じ学校のどんな女子生徒よりも魅力的だった。
トモヤの背中にはほくろがあって、背中が見えるワンピースを着る日はトモヤを前に向かせ抱え込むとちょうど背中にそのほくろが見える。思わずそこに吸い付いてしまい、ゆっくり唇を這わせるとトモヤはくすぐったいと笑った。トモヤ本人でさえ見たことないであろう背中のホクロは夜空に輝く一番星のようで、その時だけトモヤを世界中から独占したような気分になることができた。
加速していくトモヤを独り占めしたい欲望。キスの上達が早いトモヤとの口付けは次第に小鳥が啄み合うような優しいものから獣のように貪り合うようなものに変わっていった。もうただ夢中でトモヤだけを見つめていた日々だった。
だが、終わりの日は呆気なくやってきた。
その日もいつものようにトモヤを抱きしめようとした時、トモヤの身体が異様に緊張していることに気づき、顔を覗いて察した。トモヤの伏せられた瞳には戸惑いと迷いがあった。何がきっかけか知らないが、恐らく自分のしていることが普通でないことに気付いたのだろう。トモヤの肩をそっと掴む。
「トモヤ」
「え、あ?な、何?」
肩を掴まれたトモヤはぼうっとしていたのか、少しびっくりしたように自分を見上げた。
「無理しなくていい」
トモヤはぽかんとしていたが、意味を察したのか少し目を見開くと視線を伏せた。床を見つめる目は若干潤んでいるようにも見える。
「む、無理なんてしてないよ」
「そうか」
いつものように頭を撫でてやる。混乱しているのか、ぎゅっと両手を握ったまま動かず、いつものように抱きついてこなかった。それでいい、今まで俺たちがしていたことは普通ではなかったのだから。少しホッとした自分がいたのも事実だった。トモヤ自ら気づいてくれてよかったと。だが心のどこかでお前は本当にそう思っているのか?と囁く煩わしい声が聞こえた気がしたが無視をした。
それから自然とトモヤと距離を置くように勤めた。幸い大学進学に向けての本格的な受験期間に入ることもあって、自然と距離を置くことができた。トモヤとトモヤの母親が買い物の帰りですれ違う時も挨拶程度に留めた。トモヤは何か言いたげな目をしていたが、俺の勉強の邪魔をしてはいけないと母親に咎められそれ以上何も言ってこなかった。
受験に合格し、卒業や入学の準備や引っ越しで怒涛の日々が過ぎ、ほとんどトモヤと会うことはなかった。上京する車中、移動の最中に何やら安堵している自分がいたことに気づく。自分はトモヤから逃げたかったのだろうか。ふと手元の両手を眺めこの手でトモヤの事を抱きしめたこと、口付けをしたこと、そしてそれ以上の行為をした事を一瞬思い出したが、すぐに頭から振り払う。忘れたがっている自分が居る事に気づいて、なんて臆病者なんだろうと手を握る。だがこれでいい、お互いのためにも。そう自分に言い聞かせて、窓の外の景色を眺めた。
新しい季節が巡ってくる。
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