【R-18】ラクトスフィア~異世界転生したらミルクタンクとしてサキュバスに搾られる日々~

こころ さづき

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AMS:オートミルクシステム

002 リリアナのプレゼン

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 リリアナは目の前に置かれた、ふわりと柔らかな湯気を立てるミルクティーのカップを、しばし無言で見つめた。濃厚なミルクと芳醇な紅茶が織りなす、温かく、甘美な香りが鼻腔を優しくくすぐる。先ほど目の当たりにした、エリッサとミルクタンクの間で行われた、まるで神聖な儀式のような搾乳の光景が脳裏に蘇る。彼女はそっと、繊細な磁器のカップを、その白く細い指で持ち上げた。カップから伝わる穏やかな温もりを感じながら、深紅の唇をカップの縁に寄せ、静かに一口、その液体を含んだ。

 瞬間、リリアナの深紅の瞳が、驚きと感嘆によって、わずかに見開かれた。舌の上に広がるのは、想像を絶するほどに濃厚なミルクの甘みと、バターのような豊かなコク。しかし、それは決してくどくなく、後味には驚くほどすっきりとした、新鮮な青草を思わせる爽やかな風味が微かに感じられる。丁寧に淹れられたであろう上質な紅茶の芳醇な香りと渋みが、そのミルクの個性を完璧に引き立て、互いを高め合っている。温かく、とろりとした液体が喉を滑り落ちる際の、絹のように滑らかな舌触りと、身体の芯からじんわりと解きほぐされるような、深く満たされる感覚。それは、単なる飲み物を超えた、まさに「生命の雫」と呼ぶにふさわしい、力強いエネルギーの奔流だった。

 彼女はゆっくりとカップをソーサーに戻し、恍惚とした表情で、ふぅ、と長く甘い溜息をついた。

「まあ……これは……! なんという……深く、そして気高い味わいなのでしょう。エリッサ様、これほどの『生命の恵み』を、日々、その御手で育んでいらっしゃるとは……わたくし、感嘆のあまり、言葉を失いましたわ。エリッサ様と、そしてこの素晴らしいミルクを与えてくれたミルキーに、心からの敬意を表します。」

 リリアナの称賛は、もはや営業用の美辞麗句ではなく、その驚異的な品質に対する、偽りのない賞賛だった。

 エリッサは、リリアナのその率直な感嘆の言葉に、唇の端に微かな、しかし満足げな笑みを浮かべた。だが、その表情はすぐに、牧場主としての、そしてこの地の統治者としての、厳格で気品あるものへと戻った。

「当然のことですわ。わたくしの愛しい子供たちは、その存在価値にふさわしい、最大限の敬意をもって扱われるべき、尊い存在なのですから。…さて、リリアナ様。」

 エリッサは、カップを静かに持ち上げ、自らも一口、そのミルクティーを味わった。

「その優れた舌で、我がエナジーフィールドの誇りを直接お確かめいただいた上で、改めてお伺いいたしましょう。あなたが、このわたくしに提案したいとおっしゃる『最新の魔法』とは、一体、どのようなものですの?」

 その問いかけは、先ほどの搾乳を見せたことによる自信と、しかし依然として残る外部の技術への警戒心が同居した、静かな、しかし鋭いものだった。

 リリアナは、エリッサのその言葉を待っていたかのように、自信に満ちた、そしてどこか蠱惑的な微笑みを深紅の唇に浮かべた。

「エリッサ様のその高い理想に適うものかどうか…それは、これからご判断いただくことになりますわ。ですが、わたくしが本日お持ちいたしましたのは、あなたのその尊いこだわりと、ミルクタンクたちへの深い愛情を、決して損なうことなく、むしろ今以上に輝かせ、そしてこのエナジーフィールドの未来を、より豊かに、より確かなものにするための…確実な『鍵』となるものですわ。」

 そう言うと、リリアナは肩にかけていた上質な革製のビジネスバッグから、最新型の薄型タブレットを、滑るような、無駄のない動作で取り出した。

 彼女の指先が、タブレットの滑らかな表面を軽くタップすると、画面が静かに起動し、鮮やかで美しい映像が映し出された。画面に広がるのは、エナジーフィールドと見紛うばかりの、広大で瑞々しい緑の牧草地。そこでは、エリッサの牧場と同じように、四足歩行のミルクタンクたちが、自由に歩き回り、草を食んでいる。しかし、その牧歌的な風景の中に、いくつか、周囲の自然と調和しながらも、明らかに近未来的で洗練されたデザインの、白い箱型の建造物が点在しているのが見て取れた。

 映像は、その中の一頭のミルクタンクに焦点を当てる。そのミルクタンクは、特に誰かに指示されたわけでも、誘導されたわけでもないのに、まるで自らの意志で散歩を楽しむかのように、ゆっくりとした足取りで、近くにある白い箱型の建造物――搾乳ブースへと、まっすぐに歩いていく。

 ミルクタンクがブースの入り口をくぐると、内部に設置されたセンサーが瞬時に個体を認識したことを示すランプが点灯した。すると、壁面から滑るように、数本のアームが静かに伸びてくる。アームの先端には、柔らかそうな素材で作られたカップが付いており、それが寸分の狂いもなく、ミルクタンクの下腹部にある管状器官の先端へと、優しく、しかし確実に吸着した。次の瞬間、カップ内部で吸引が開始され、白く濃厚なミルクが、勢いよく、しかし穏やかに搾り出されていく様子が映し出される。全てが自動で、静かに、そして驚くほどスムーズに進行していく。

「ご覧くださいませ、エリッサ様。」

 リリアナは、タブレットの画面を指し示しながら、再びあの甘美で説得力のある声で語り始めた。

「これが、わたくしどもが開発いたしました『オートミルクシステム』…通称、AMSでございますわ。このシステムは、あなたのその素晴らしい放牧スタイルを、一切変える必要なく導入することが可能です。そして最大の特徴は、ミルクタンクたちが、自らの生理的な欲求に従って、搾ってほしいと感じた時に、自らの意志で、この搾乳ブースへとやってくるように、最新の魔法科学技術によって設計されている点ですの。」

 リリアナは、いたずらっぽく微笑んで付け加えた。

「まるで、ミルクタンクたちが『ねえ、エリッサ様、僕のミルク、今が一番飲み頃で、一番美味しい時です。どうぞ、お搾りになって?』と、自ら進んで申し出てくれるようなもの…そうお考えいただければ、分かりやすいかしら。」

 エリッサは、その驚くべき映像に、食い入るように見入っていた。その気品ある顔には、隠しきれない興味と、しかし同時に、根深い疑念が複雑に交錯している。彼女の美しい眉間に、わずかな皺が寄った。ミルクティーのカップを静かにテーブルに置き、腕を組むと、リリアナに向けて、静かだが鋭い視線を送った。

「……自らの、意志で、ですって?」

 エリッサの声には、わずかな皮肉と、深い懸念の色が滲んでいた。

「確かに、わたくしの子供たちは、他の多くの牧場のミルクタンクと比べれば、遥かに賢く、そして精神的にも満たされておりますわ。それは、この環境がもたらした当然の結果です。しかし、リリアナ様。あなたはサキュバスならば当然ご存じのはずですわね? ミルクタンクという存在は、その本能として、搾られるという行為そのものに、強い快楽を覚えてしまう。特に、わたくしの牧場のように、ストレスなく、自由に育った健康な子ほど、その傾向は顕著になるのです。」

 エリッサは一旦言葉を切り、リリアナの深紅の瞳を真っ直ぐに見据えた。

「この…見た目は確かに洗練されている機械は、その極めてデリケートで、一歩間違えれば彼女たちを破滅にも導きかねない『快楽』の問題を、一体どのように管理し、解決するというのですの? ただ機械的に搾るだけならば、それは無秩序な快楽を助長し、かえってわたくしの愛しい子供たちを、快楽の奴隷へと堕とし、不幸にするだけですわ。わたくしには、そのような未来は、到底受け入れられませんのよ。」

 エリッサが指摘したのは、この牧場にとって、そして彼女自身にとって、最も重要かつ根本的な問題点だった。彼女の言葉には、長年ミルクタンクと真摯に向き合ってきた者だけが持つ、深い洞察と、そして何よりも、彼女たちへの揺るぎない愛情が込められていた。それは、リリアナの甘美な言葉と最新技術だけでは、決して容易には乗り越えられない、高い壁のように思われた。
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