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エピローグ
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数年後――。
私は、ある国際テニス大会の会場、そのインタビューエリアにいた。目の前には、フラッシュの眩い光と、熱狂する大勢の観客。そして、その中心には、世界を舞台に活躍するプロテニス選手、双葉ほのかの姿があった。
「Futaba player, what are your plans for the next tournament?」 (双葉選手、次の試合の予定は…)
外国人記者が、英語で質問を投げかける。
「………」
ほのかちゃんは、いつものように、静かに微笑んでいる。…うん、相変わらず、言葉少なめだね!
「あ、えっと、She will be participating in the Australian Open next. Is that correct, Honoka?」(彼女は次に、オーストラリアオープンに出場予定です。…で、合ってるよね?ほのかちゃん…)
私は、慌てて通訳兼マネージャーとして、記者とほのかちゃんの間に割って入った。…って、ほのかちゃん、ちゃんと聞いてる!?
「………(コクッ)」
…うん、相変わらず、ほのかちゃんは、ほのかちゃんだった。無口で、マイペースで、ちょっぴり(かなり?)天然だけど、誰よりも優しくて、誰よりも努力家。そして、私の、たった一人の、最高の親友!そして、その「コク」は、私にしか理解できない、特別な言葉。
あの全国大会決勝での、奇跡的な勝利から数年。ほのかちゃんは、その才能をさらに開花させ、プロテニス選手として、世界中を飛び回っていた。そして、私田中美咲は、そんな彼女の夢を、言葉の面から支えたいと、大学で英語を専攻し、猛勉強の末、ほのかちゃんの通訳兼マネージャーとなったのだ。
最初は、不安でいっぱいだった。ほのかちゃんの「コク」を、正しく理解できるのか。彼女の想いを、世界中の人々に、きちんと伝えられるのか。
でも、ほのかちゃんと一緒に過ごす時間が増えるにつれ、その不安は、少しずつ、自信へと変わっていった。ほのかちゃんの「コク」には、様々な意味が込められている。「Yes」、「No」、「OK」、「ありがとう」、「嬉しい」、「頑張る」…。その時の状況、表情、声のトーン…全てを汲み取って、私は、ほのかちゃんの「コク」を、世界中の言葉に翻訳する。
「…美咲ちゃん…」
不意に、ほのかちゃんが、私を呼んだ。
「…ん?何、ほのかちゃん?」
「………ありがとう…」
ほのかちゃんは、少し照れくさそうに、そう言った。その声は、以前よりずっと、はっきりとしていて、力強かった。
「…どういたしまして!…でも、私も、ほのかちゃんに、ありがとうって言わなきゃね。」
「………?」
「…ほのかちゃんのおかげで、私、夢を叶えることができたんだから。」
「………私…美咲ちゃん…と一緒…嬉しい…」
「…私も、ほのかちゃんと一緒にいられて、本当に嬉しいよ。」
「………コク…」
私たちは、顔を見合わせて、微笑んだ。
「…さあ、ほのかちゃん、次の試合に向けて、準備しなきゃね!」
「………コク…」
「…まずは、記者会見で…。あ、その前に、スポンサーへの挨拶も…」
「………」
「…って、ほのかちゃん、聞いてる!?」
「………コク…」
…うん、相変わらず、ほのかちゃんは、ほのかちゃんだった。
「…あ、そうだ。ほのかちゃん、この後、時間ある…?」
「………?」
「…日本から、みんなが応援に来てくれてるんだ。…佐藤君も…」
「………!」
ほのかちゃんの目が、キラリと輝いた。
「…久しぶりに、みんなで、一緒にご飯でもどうかなって…」
「………行く…!」
ほのかちゃんは、いつになく、はっきりとした口調で、そう言った。…うん、やっぱり、佐藤君のこと、好きなんだね!
「…じゃあ、みんなに連絡しなきゃね!」
「………コク…」
こうして、私は、双葉ほのかの通訳兼マネージャーとして、世界中を飛び回る日々を送っている。
ほのかちゃんは、言葉少ないけれど、そのテニスは、どんな言葉よりも雄弁だ。彼女のプレーは、国境を越え、年齢を越え、多くの人々に感動を与えている。それは、言葉を超えた、魂のメッセージ。
私は、そんなほのかちゃんの想いを、彼女のテニスに込められたメッセージを、世界中に届けるために、これからも、彼女と共に歩んでいく。
そして、いつか、ほのかちゃんが世界最高の舞台で、最高の笑顔を見せてくれることを、私は、心から信じている。
私たちの物語は、これからも、ずっと、ずっと、続いていくんだ。
私は、ある国際テニス大会の会場、そのインタビューエリアにいた。目の前には、フラッシュの眩い光と、熱狂する大勢の観客。そして、その中心には、世界を舞台に活躍するプロテニス選手、双葉ほのかの姿があった。
「Futaba player, what are your plans for the next tournament?」 (双葉選手、次の試合の予定は…)
外国人記者が、英語で質問を投げかける。
「………」
ほのかちゃんは、いつものように、静かに微笑んでいる。…うん、相変わらず、言葉少なめだね!
「あ、えっと、She will be participating in the Australian Open next. Is that correct, Honoka?」(彼女は次に、オーストラリアオープンに出場予定です。…で、合ってるよね?ほのかちゃん…)
私は、慌てて通訳兼マネージャーとして、記者とほのかちゃんの間に割って入った。…って、ほのかちゃん、ちゃんと聞いてる!?
「………(コクッ)」
…うん、相変わらず、ほのかちゃんは、ほのかちゃんだった。無口で、マイペースで、ちょっぴり(かなり?)天然だけど、誰よりも優しくて、誰よりも努力家。そして、私の、たった一人の、最高の親友!そして、その「コク」は、私にしか理解できない、特別な言葉。
あの全国大会決勝での、奇跡的な勝利から数年。ほのかちゃんは、その才能をさらに開花させ、プロテニス選手として、世界中を飛び回っていた。そして、私田中美咲は、そんな彼女の夢を、言葉の面から支えたいと、大学で英語を専攻し、猛勉強の末、ほのかちゃんの通訳兼マネージャーとなったのだ。
最初は、不安でいっぱいだった。ほのかちゃんの「コク」を、正しく理解できるのか。彼女の想いを、世界中の人々に、きちんと伝えられるのか。
でも、ほのかちゃんと一緒に過ごす時間が増えるにつれ、その不安は、少しずつ、自信へと変わっていった。ほのかちゃんの「コク」には、様々な意味が込められている。「Yes」、「No」、「OK」、「ありがとう」、「嬉しい」、「頑張る」…。その時の状況、表情、声のトーン…全てを汲み取って、私は、ほのかちゃんの「コク」を、世界中の言葉に翻訳する。
「…美咲ちゃん…」
不意に、ほのかちゃんが、私を呼んだ。
「…ん?何、ほのかちゃん?」
「………ありがとう…」
ほのかちゃんは、少し照れくさそうに、そう言った。その声は、以前よりずっと、はっきりとしていて、力強かった。
「…どういたしまして!…でも、私も、ほのかちゃんに、ありがとうって言わなきゃね。」
「………?」
「…ほのかちゃんのおかげで、私、夢を叶えることができたんだから。」
「………私…美咲ちゃん…と一緒…嬉しい…」
「…私も、ほのかちゃんと一緒にいられて、本当に嬉しいよ。」
「………コク…」
私たちは、顔を見合わせて、微笑んだ。
「…さあ、ほのかちゃん、次の試合に向けて、準備しなきゃね!」
「………コク…」
「…まずは、記者会見で…。あ、その前に、スポンサーへの挨拶も…」
「………」
「…って、ほのかちゃん、聞いてる!?」
「………コク…」
…うん、相変わらず、ほのかちゃんは、ほのかちゃんだった。
「…あ、そうだ。ほのかちゃん、この後、時間ある…?」
「………?」
「…日本から、みんなが応援に来てくれてるんだ。…佐藤君も…」
「………!」
ほのかちゃんの目が、キラリと輝いた。
「…久しぶりに、みんなで、一緒にご飯でもどうかなって…」
「………行く…!」
ほのかちゃんは、いつになく、はっきりとした口調で、そう言った。…うん、やっぱり、佐藤君のこと、好きなんだね!
「…じゃあ、みんなに連絡しなきゃね!」
「………コク…」
こうして、私は、双葉ほのかの通訳兼マネージャーとして、世界中を飛び回る日々を送っている。
ほのかちゃんは、言葉少ないけれど、そのテニスは、どんな言葉よりも雄弁だ。彼女のプレーは、国境を越え、年齢を越え、多くの人々に感動を与えている。それは、言葉を超えた、魂のメッセージ。
私は、そんなほのかちゃんの想いを、彼女のテニスに込められたメッセージを、世界中に届けるために、これからも、彼女と共に歩んでいく。
そして、いつか、ほのかちゃんが世界最高の舞台で、最高の笑顔を見せてくれることを、私は、心から信じている。
私たちの物語は、これからも、ずっと、ずっと、続いていくんだ。
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「エースをねらえ!」の世代で(歳がバレる~♪)で、私もテニス好きなもので、氣になったんです。
ほのかちゃん、決してパーフェクトヒロインじゃないところが、共感が持てます。
優しい心の持ち主という、ヒロインの条件は備えてますしね♪
表紙イラストはAIですか?爽やかで、とても素敵です!
ふくろうさん、感想ありがとうございます!
今回は先に主人公の大体の設定を決めて、
そこから話を考えてみたのですが、
団体競技はほのかちゃんには難しそうだったので、
テニスを頑張ってもらいました!
私もテニスものは、
どうしてもスポ根みたいなイメージを
持ってしまっているみたいです。
そのため、顧問やライバルの個性が
かなりベタな感じになってしまったのですが、
それはそれで楽しかったです笑
ほのかちゃんはあまり喋らないけど、
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その優しさが伝わっているようなコメントを
いただけたのは、とても嬉しいです。
イラストはAIで作成しています。
ちゃんと文章を使って
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思って使って試しています!
最近はだいぶ簡単に作れるようになってきたので、
これもちょっとした楽しみとして遊んでみます。
ありがとうございました!