婚約パーティーで婚約破棄を

あんど もあ

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中編

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 もっとも、「公募」なんて言っても誰も負け戦に応募なんてしないので、必然的に候補に選ばれるのは王太子と身分や年齢が釣り合う者で、落伍しそうにない教養を持ち、派閥などを考慮して選ばれた者だ。
 今回は、王太子の二歳年下の侯爵令嬢の私と、王太子と同じ歳の伯爵令嬢のローズマリー様、三歳年下の伯爵令嬢のフランソワーズ様の三人が争う事になるだろうと誰もが思っていた。

 しかし、実際に候補に選ばれてみると、ローズマリー様には思い人がいて
「候補になったのは、自分に『元王太子妃候補』って箔をつけて彼と婚約したかったの」
と、王太子など目に入っていない。

 フランソワーズ様は、お母様が国王陛下の妹君で王太子とは従姉妹になる。
「あんまり血が近いのも……って、我が家ではあまり歓迎していないのよ。私も、『親戚のお兄さん』としか思えないし」

 となると、必然的に選ばれるのは私だ。

 どうしよう、嬉しい。
 二歳年上のシリル様は、お転婆だった私と違って幼い頃から紳士的で、こっそり憧れていたのだ。
 これから一年間頑張れば、私がシリル様の妃に選ばれる……! そして、シリル様とハッピーラブラブウェディング……!!

 と、思っていたらシャノン様が自薦で応募したと知って「誰?」となった。
 


「本当にサフィラ様の聡明なこと! サフィラ様以上に王太子妃にふさわしい方はいらっしゃいませんわ。私も家庭教師に『とても優秀』と言われてちょっと自信をもっていたのに、この一年は自分の未熟さを実感するばかりでした」
と、シャノン様が恥じらう。
 どこが未熟よ。ハッピーラブラブウェディングのためにあなたに上に行かれないよう、この一年私がどれほど必死に勉強したか。

 シャノン様は、思わぬ伏兵だった。
 フランソワーズ様と同じ歳のシャノン様はあらゆる学問を苦も無く習得し、むしろ積極的に掘り下げていく。社交をあまりしていなかったので、ダンスやマナーに弱いのが救いだった。

 私が内心を隠して微笑んでいると、シャノン様はシリル様にもお祝いを言う。
 選ばれなくて辛くないのだろうか……と心配している私と対照的に上機嫌だ。
「本当に、シリル殿下には感謝しています。こんな一流の教師陣の講義を無料で!受けられるなんて」
 ん? 「!」を付ける場所がおかしくない?

「地学のアンドロ教授の、高低差を計算して貯水池の貯水量を決めるべきという説を知って、父は慌てて新しい貯水池の設計の見直しを検討しましたわ。服飾学のライファ教授が教えてくださった、先だっての戦で絶えたイルーナ織は、畑を失った人たちの新たな生きがいになっています」
 まだまだ売り物にはならないレベルですが、と笑うシャノン様に
「研究が実生活で役立つのは、学者冥利に尽きます」
と、教授たちも笑顔だ。
「こんな貴重な知識を無料で!教えていただけるなんて……!」

 ……そうだわ、確かシャノン様の子爵領は二、三年前に大きな水害があった。
 え? それでシャノン様は無料で学べる王太子妃候補になったの? 「無料」だから? シリル様はどこ行った?
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